クロラッパタケ
クロラッパタケ | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Craterellus cornucopioides (L.) Pers. (1825)[1] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
ほか | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
クロラッパタケ |
クロラッパタケ(黒喇叭茸[2]、学名: Craterellus cornucopioides)はアンズタケ科クロラッパタケ属に属する小型から中型の食用キノコ[3]。日本国外では、英語でブラック・トランペット(black trumpet)、死のトランペット(trumpet of the dead)、フランス語由来のトロンペット・ド・ラ・モール(trompette de la mort、「死者のトランペット」の意)などとも呼ばれる[3][4][5]。和名の由来は、細長いラッパのような形をした黒いキノコであることから[2]。別名で「ウスタケ」[注 1]ともよばれる[6]。ラッパのような形で、フランス料理の食材にもなる。ただし、食べ過ぎると腸閉塞を起こすともいわれている。
生態と分布
[編集]日本各地を含む北半球やオーストラリアなど、世界的に分布している[3][7][6]。
菌根菌(共生性)[2]。夏から秋にかけて、主にコナラ・ミズナラなどのブナ科や、シラカバの広葉樹林、トドマツ・カラマツなどの針葉樹、またはこれらの混生林の地上に生え、単生あるいは2 - 3本ほど束生する[3][8][9][6]。子実体は一度発生すると長持ちし、1か月ほど姿を見ることができる[9]。色味が地味なので、地面に紛れて見つけるのが難しいキノコだともいわれている[2][5]。
形態
[編集]高さ5 - 11センチメートル (cm) ほどの細長いラッパ型をしている[3][8][9]。傘は極めて薄い膜質で、径は1 - 7 cm[9][7]。傘の周縁部が浅く裂け、著しく屈曲する[6]。傘と柄の境は不明瞭であり、柄の基部まで空洞が続いている[3]。ラッパの内側にあたる部分は細かい濃色のササクレ(小鱗片)に覆われており、暗褐色から灰褐色の色をしている[3][8][6]。中央の窪みは基部まで達する[6]。肉は傘上面と同色で、肉質で弾力があり柔軟[7][6]。外側の胞子ができる子実層は、目立たない細かなヒダと皺に基部まで覆われていて、灰色を帯びる[9][5][6]。
子実体(キノコ)を構成する菌糸は一菌糸型で、クランプを有す[6]。担子胞子は11 - 13 × 6 - 8マイクロメートル (μm) の楕円形で、平滑、非アミロイド性[6]。胞子紋は白色[6]。
食用
[編集]肉は薄くて質が非常にやわらかく、見た目に反してとても美味と評されている[2]。ヨーロッパではキノコ狩りの対象にされ[7]、市場にも出回っており[2]、煮込み料理やスープ料理に用いられている[3][8]。特にフランス料理で一般的に使われていることはよく知られている[9][7]。卵との相性が良く、ピューレにしたものは、鳩、鴫、鶉などと合わせて用いられる[4]。
日本でも自生しているが、食材としての馴染みは薄く[9]、香りが弱いために料理に使われることはあまりない[3]。過食すると腸閉塞を起こすともいわれるが確かではない[9]。和風料理では、下処理をしてから鉄板焼き、すまし汁、けんちん汁、茶碗蒸し、バター炒めなどに利用する[9]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j “Craterellus cornucopioides”. MYCOBANK Database. 国際菌学協会 (IMA) とウェスターダイク菌類生物多様性研究所. 2025年3月2日閲覧。
- ^ a b c d e f 大作晃一 2015, p. 88.
- ^ a b c d e f g h i ホクトきのこ総合研究所「クロラッパタケ」『きのこ検定 公式テキスト』(改訂版)実業之日本社、2016年、46頁。ISBN 978-4408008929。
- ^ a b “【保存版】信州キノコ図鑑”. 料理王国 (2020年11月16日). 2024年1月10日閲覧。
- ^ a b c 秋山弘之 2024, p. 91.
- ^ a b c d e f g h i j k 前川二太郎 編著 2021, p. 339.
- ^ a b c d e 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編著 2011, p. 402
- ^ a b c d 大作晃一、吹春俊光、吹春公子「アンズタケ科」『おいしいきのこ毒きのこハンディ図鑑』主婦の友社、2016年、205頁。ISBN 978-4074168415。
- ^ a b c d e f g h i 瀬畑雄三 監修 2006, p. 55.
参考文献
[編集]- 秋山弘之『知りたい会いたい 色と形ですぐわかる 身近なキノコ図鑑』家の光協会、2024年9月20日。ISBN 978-4-259-56812-2。
- 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編著『日本のきのこ』(増補改訂新版)山と渓谷社〈山渓カラー名鑑〉、2011年12月25日。ISBN 978-4-635-09044-5。
- 大作晃一『きのこの呼び名事典』世界文化社、2015年9月10日。ISBN 978-4-418-15413-5。
- 瀬畑雄三 監修、家の光協会 編『名人が教える きのこの採り方・食べ方』家の光協会、2006年9月1日。ISBN 4-259-56162-6。
- 前川二太郎 編著『新分類 キノコ図鑑:スタンダード版』北隆館、2021年7月10日。ISBN 978-4-8326-0747-7。