クレイトス (ギリシア神話)
クレイトス(古希: Κλεῖτος, Kleitos, 英: Cleitus)は、ギリシア神話の人物である。主に、
の4人のほか数名が知られている。以下に説明する。
アイギュプトスの子
[編集]このクレイトスは、エジプト王アイギュプトスの50人の子供の1人である。母の名はテュリアーで、ステネロス、クリューシッポスと兄弟。アイギュプトスの息子たちはダナオスの50人の娘たち(ダナイデス)と結婚したが、クレイトスら3兄弟は、彼らと同じ名前を持つダナオスとメムピスの3人の娘(クレイテー、ステネレー、クリューシッペー)と結婚し[注釈 1]、他の兄弟と同様に殺された[1]。
マンティオスの子
[編集]このクレイトスは、ホメーロスによるとマンティオスの子で、ポリュペイデースと兄弟。予言者メラムプースの孫にあたる。美男子であったので、女神エーオースに愛された。エーオースはクレイトスを地上から連れ去り、神々に加えようとしたと伝えられている[2]。クレイトスの家系からはコイラノス、 予言者ポリュイードスと続いたが[3]、パウサニアスによれば、コイラノスはアバースの子となっている[4]。
ポリュイードスの子
[編集]このクレイトスは、予言者ポリュイードスの子で[3]、トロイア戦争に参加したエウケーノール[5]ほか、アステュクラテイア、マントーと兄弟[4]。上述のクレイトスの曾孫[3]。
パレーネーの求婚者
[編集]このクレイトスは、トラーキア王シートーンの娘パレーネーの求婚者である[6][7]。パレーネーには多くの求婚者がいたが、最初、シートーンは勝利者に娘を与える代わりに敗けたら殺すという条件で、多くの求婚者を自分に挑ませて殺した。しかし後に娘にも夫が必要であると考え、クレイトスとドリュアースの2人の求婚者が現れたとき、2人を戦わせ、勝利した者に娘と王国を与えるとした。クレイトスは彼に恋をしたパレーネーの助けでドリュアースに勝利し、パレーネーと結婚した[6]。
その他のクレイトス
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ クレイテー、ステネレー、クリューシッペーは、それぞれクレイトス、ステネロス、クリューシッポスの女性形。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- パウサニアス『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年)
- ホメロス『イリアス(下)』松平千秋訳、岩波文庫(1992年)
- ホメロス『オデュッセイア(下)』松平千秋訳、岩波文庫(1994年)
- クイントゥス『トロイア戦記』松田治訳、講談社学術文庫(2000年)