カミング・アップ (曲)
「カミング・アップ」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ポール・マッカートニー の シングル | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
初出アルバム『マッカートニーII』 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
B面 | ランチ・ボックス〜オッド・ソックス | |||||||||||||||||||||||||||||||||
リリース | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
規格 | 7インチシングル | |||||||||||||||||||||||||||||||||
録音 | 1979年7月 - 8月 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ジャンル | ポップ・ファンク[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
時間 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
レーベル | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
作詞・作曲 | ポール・マッカートニー | |||||||||||||||||||||||||||||||||
プロデュース | ポール・マッカートニー | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ゴールドディスク | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
後述を参照 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
後述を参照 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「カミング・アップ」(Coming Up)は、ポール・マッカートニーの楽曲である。1980年4月11日にアルバム『マッカートニーII』からの先行シングルとして発売、B面にはウイングスの英国ツアーから、1979年12月17日に行われたスコットランド・グラスゴー公演での同曲のライブ音源と、ウイングスのアルバム『ヴィーナス・アンド・マース』(1975年)制作時に録音され、未発表となっていた「ランチ・ボックス〜オッド・ソックス」が収録されている。この関係からB面収録曲のみ、クレジットが「ポール・マッカートニー & ウイングス」となっている。
本曲は、全英シングルチャートで最高位2位を獲得、また、Billboard Hot 100ではB面のライブ音源が第1位を獲得した。
背景
[編集]マッカートニーは、「元々はスコットランドにある僕の農場で作ったもの。毎日のようにスタジオに行って、まずはドラムのトラックを作ってみたんだ。どんな曲になるのか分からないまま、少しずつ作り上げていって、ドラムを叩いた後にギターやベースを加えてバッキング・トラックを作っていったんだ」と語っている[2][3]。また、マッカートニーは同インタビューで「自分の声を速くしたり、少し下げたりできるスピード・マシンを使って作業をしていたんだ。それで声の響きが生まれたんだよ。で、少しスピードを上げて、僕が遊んでいたエコー・マシンに通したんだ」と語っている[2]。
ジョン・レノンは、1980年の秋に行われたインタビューで本曲について「良い仕事だと思った」と評価している[4][5]。本曲が発表された当時、活動休止中だったレノンは同年4月9日に一家でロング・アイランドを訪れ、その翌日に車中のラジオで本作を聴き「頭から離れない」と言って、本曲のメロディを口ずさんでいたという。こうしてレノンは、「ディア・ヨーコ」の作曲を皮切りに、6月から7月にかけて9曲のデモ・テープを作成、音楽活動を再開させた[6]。
また、マッカートニーは「どうやらジョンはニューヨークでこの曲を聞いたらしい。ジョンのドキュメンタリーを見ていたら、誰かが『ポールのレコードを持ってきて、ジョンに聞かせた』と話していたんだ。するとジョンは『ちくしょう、やりやがったな。俺も頑張らないと!』となってね。嬉しくなる話じゃないか。つまり僕が彼のお尻を押したのだよ」[7]、「ジョンをインスパイア出来た曲だから「カミング・アップ」を誇りに思っている」[8]と語っている。
イエロー・マジック・オーケストラのアルバム『増殖』に収録の「NICE AGE」で、訪日したマッカートニーが大麻不法所持容疑で逮捕勾留されたことをニュース速報として読み上げるパートがあり、そこで"Coming up Like a Flower"というフレーズが登場する[6]。
ライブ音源
[編集]B面に収録されているライブ音源は、1979年12月のウイングスのグラスゴー公演で録音されたもの[6]。この関係から、B面に収録されているこのライブ音源とアルバム『ヴィーナス・アンド・マース』からのアウトテイク[9]となる「ランチ・ボックス〜オッド・ソックス」のクレジットは、ポール・マッカートニー & ウイングスとなっている。
B面に収録の「カミング・アップ (ライヴ)」は、1987年発売のベスト・アルバム『オール・ザ・ベスト』(アメリカ盤)および2001年の『夢の翼〜ヒッツ&ヒストリー〜』にも収録されたものの、シングル収録テイクと収録時間が異なっている。
ミュージック・ビデオ
[編集]「カミング・アップ」のミュージック・ビデオでは、マッカートニーがハンク・マーヴィン(シャドウズ)、ジョン・ボーナム(レッド・ツェッペリン)[10]やバディ・ホリー[11]、サックス奏者のアンディ・マッケイやフランク・ザッパ[12]、ビートルズ時代のマッカートニー[13]など、自分自身を含む10人のミュージシャンを演じ、リンダ・マッカートニーが2名のコーラス役を演じている[6]。ドラムセットには「THE PLASTIC MACS」と書かれているが、これはレノンが『ロックンロール・サーカス』に出演した際に結成したバンドのザ・ダーティー・マックと、プラスティック・オノ・バンドに由来している[6]。
ミュージック・ビデオは、イギリスでは『ケニー・エベレット・ビデオ・ショー』(1980年4月14日放送回)、アメリカでは『サタデー・ナイト・ライヴ』(1980年5月17日放送回)でプレミア公開された[14]。
シングル収録曲
[編集]# | タイトル | 作詞・作曲 | アーティスト名義 | 時間 |
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1. | 「カミング・アップ」(Coming Up) | ポール・マッカートニー | ポール・マッカートニー | |
2. | 「カミング・アップ (ライヴ)」(Coming Up (Live At Glasgow)) | ポール・マッカートニー | ポール・マッカートニー & ウイングス | |
3. | 「ランチ・ボックス〜オッド・ソックス」(Lunch Box/Odd Sox) |
| ポール・マッカートニー & ウイングス | |
合計時間: |
クレジット
[編集]- スタジオ音源
- ライブ音源
-
- ポール・マッカートニー - リード・ボーカル、ベース
- リンダ・マッカートニー - キーボード、ボーカル
- デニー・レイン - ギター、ボーカル
- ローレンス・ジューバー - ギター
- スティーブ・ホーリー - ドラム
- トニー・ドージー - トロンボーン
- サディアス・リチャード - サクソフォーン
- ハウイー・ケイシー - サクソフォーン
- スティーブ・ハワード - トランペット
- ランチ・ボックス〜オッド・ソックス
-
- ポール・マッカートニー - ピアノ
- リンダ・マッカートニー - モーグ・シンセサイザー
- デニー・レイン - ギター
- ジェフ・ブリトン - ドラム
- トニー・ドーシー - ベース
チャート成績
[編集]週間チャート
[編集]チャート (1980年) | 最高位 |
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オーストラリア (Kent Music Report)[15] | 2 |
オーストリア (Ö3 Austria Top 40)[16] | 15 |
ベルギー (Ultratop 50 Flanders)[17] | 18 |
Canada Top Singles (RPM)[18] | 1
|
オランダ (Single Top 100)[19] | 20 |
ドイツ (GfK Entertainment charts)[20] | 11 |
ニュージーランド (Recorded Music NZ)[21] | 2 |
ノルウェー (VG-lista)[22] | 2 |
UK シングルス (OCC)[23] | 2 |
1
| |
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48
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認定
[編集]国/地域 | 認定 | 認定/売上数 |
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アメリカ合衆国 (RIAA)[31] | Gold | 1,000,000^ |
^ 認定のみに基づく出荷枚数 |
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ Buckley, Peter, ed (2003). The Rough Guide to Rock. Rough Guides. p. 652. ISBN 1-8435-3105-4
- ^ a b Gambaccini, Paul (1980年6月26日). “Paul McCartney's one man band”. Rolling Stone (Penske Media Corporation): pp. 11, 20
- ^ uDiscover 2020a.
- ^ Sheff 1981, p. 70.
- ^ OVO 2016.
- ^ a b c d e uDiscover 2020b.
- ^ ポール・デュ・ノイヤー『ポール・マッカートニー 告白』奥田祐士(翻訳)、DU BOOKS、2016年。ISBN 4-9075-8358-3。
- ^ マッカートニーII 初回限定盤ハードカヴァーブック インタビューより
- ^ Evans, Mike (2021). Paul McCartney: The Stories Behind 50 Classic Songs, 1970-2020. Welbeck Publishing. p. 48. ISBN 1-7873-9962-1
- ^ The McCartney Years DVD, Warner Music, Rhino Entertainment, 2007, MPL
- ^ Womack, Kenneth (2014). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four [2 volumes]: Everything Fab Four. Greenwood. p. 197. ISBN 978-0313391712
- ^ Bronson, Fred (2003). The Billboard Book of Number 1 Hits. Billboard Books. p. 526
- ^ McGee, Garry (2003). Band on the Run: A History of Paul McCartney and Wings. Taylor Trade Pub.. p. 139. ISBN 0-8783-3304-5
- ^ “Saturday Night Live: Steve Martin/Paul and Linda McCartney Episode Summary”. TV.com. CBSインタラクティブ. 2020年4月28日閲覧。
- ^ a b Hung, Steffen. “Forum - Top 100 End of Year AMR Charts - 1980s (ARIA Charts: Special Occasion Charts)”. Australian-charts.com. 2014年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月27日閲覧。
- ^ "Austriancharts.at – Paul McCartney – Coming Up" (in German). Ö3 Austria Top 40. 2021年3月14日閲覧。
- ^ "Ultratop.be – Paul McCartney – Coming Up" (in Dutch). Ultratop 50. 2021年3月14日閲覧。
- ^ “Top RPM Singles: Issue 153”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年3月30日閲覧。
- ^ "Dutchcharts.nl – Paul McCartney – Coming Up" (in Dutch). Single Top 100. 2021年3月14日閲覧。
- ^ "Offiziellecharts.de – Paul McCartney – Coming Up". GfK Entertainment Charts. 2021年3月14日閲覧。
- ^ “charts.nz – Paul McCartney – Coming Up”. Recorded Music NZ. 2021年3月14日閲覧。
- ^ "Norwegiancharts.com – Paul McCartney – Coming Up". VG-lista. 2021年3月14日閲覧。
- ^ "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2021年3月14日閲覧。
- ^ “The Hot 100 Chart”. Billboard (1974年6月8日). 2020年4月27日閲覧。
- ^ “Paul McCartney Chart History (Adult Contemporary)”. Billboard. 2022年3月30日閲覧。
- ^ “Top Singles - Volume 34, No. 6, December 20 1980”. RPM. Library and Archives Canada. 2021年3月30日閲覧。
- ^ “Hit Parade Italia - Top Annuali Single: 1980”. hitparadeitalia.it. 2022年3月30日閲覧。
- ^ “Top Selling Singles of 1980”. The Official New Zealand Music Chart. 2021年3月14日閲覧。
- ^ “1980 Talent in Action – Year End Charts : Pop Singles”. Billboard 92 (51): TIA-10. (December 20, 1980) .
- ^ “Billboard Hot 100 60th Anniversary Interactive Chart”. Billboard. 2021年3月14日閲覧。
- ^ "American single certifications – Paul Mc Cartney – Coming Up". Recording Industry Association of America. 2022年3月30日閲覧。
参考文献
[編集]- Sheff, David (1981). The Playboy Interviews with John Lennon and Yoko Ono. Putnam Pug Group. ISBN 0-8722-3705-2
- “【スピリチュアル・ビートルズ】ジョンを鼓舞したポールの曲「カミング・アップ」”. OVO. 共同通信社 (2016年9月4日). 2021年3月14日閲覧。
- “ビートルズ解散後のポール・マッカートニーのベスト・ソング20曲 : 本人のコメントなどで振り返る【全曲試聴動画付】”. uDiscover. UNIVERSAL MUSIC JAPAN (2020年4月4日). 2021年3月14日閲覧。
- “連載:“マッカートニー・シリーズ”とは?【第5回:『McCartney II』の内容、ジョンやYMOとの関係】”. uDiscover. UNIVERSAL MUSIC JAPAN (2020年11月27日). 2021年3月14日閲覧。