カイノス
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種類 | 株式会社 |
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市場情報 | |
本社所在地 |
日本 〒113-0033 東京都文京区本郷二丁目38番18号 |
設立 | 1975年5月1日 |
業種 | 医薬品 |
法人番号 | 5010001001710 |
代表者 |
|
資本金 | 8億3,141万3千円 |
発行済株式総数 | 4,558,860株(2024年3月期) |
売上高 | 50億5646万円(2024年3月期) |
営業利益 | 8億6521万円(2024年3月期) |
経常利益 | 9億2850万円(2024年3月期) |
純利益 | 6億3796万円(2024年3月期) |
純資産 | 62億6628万円(2024年3月期) |
総資産 | 85億9098万円(2024年3月期) |
従業員数 | 153名(2024年4月1日現在) |
決算期 | 3月31日 |
外部リンク | http://www.kainos.co.jp/ |
株式会社カイノス(英語名称KAINOS Laboratories,Inc.)は、医薬品会社の一つ。本社は東京都文京区本郷二丁目38番18号に置く。
概要
[編集]臨床検査薬や医療機器の開発、生産、販売を主とする。1975年(昭和50年)5月、資本金3000万円で株式会社ドムスヤトロンとして創業。同年7月に現社名に変更した。社名の由来はギリシャ語で「新生の、革新的な」を意味する「 κ α ι ν σ ζ」である。
ロゴはKAINOSの頭文字であるKに左に90度傾けたブドウがついているものと、Oの内側がブドウの形になっているものの2種類が存在し、いずれも紫色である。これは新約聖書(マタイ伝9-17)の教訓である”Don't put new wine into old bottles.”、つまり「新しい葡萄酒を古い革袋に入れるな」に由来する。
- 1975年(昭和50年)
- 1976年(昭和51年)11月 - 三井製薬工業(株)(現 バイエル薬品(株))と酵素免疫定量法(EIA法)の技術提携契約を締結。
- 1977年(昭和52年)12月 - 世界に先駆けてEIA法によるα-フェイトプロテイン測定試薬キットを発売。
- 1978年(昭和53年)8月 - 静岡県伊東市に伊東研究所を設置。生化学・免疫検査試薬の研究開発を開始。
- 1981年(昭和56年)4月 - 日立化成工業(株)(現 ミナリスメディカル(株))と臨床分析装置用試薬に関する事業提携契約を締結。
- 1983年(昭和58年)
- 3月 - GAMMA BIOLOGICALS, Inc.(米国)と輸血検査用試薬に関する販売契約を締結。
- 4月 - 酵素法によるクレアチニン測定試薬キットを発売。
- 1984年(昭和59年)4月 - 板橋工場を廃止。静岡県富士市の静岡工場に生産拠点を移転。
- 1987年(昭和62年)
- 1992年(平成4年)
- 1993年(平成5年)
- 1994年(平成6年)5月 - 茨城県笠間市に配送センターを移転。
- 1995年(平成7年)
- 1996年(平成8年)2月 - 茨城県笠間市に笠間研究所を新設。
- 2000年(平成12年)
- 2003年(平成15年)12月 - 米国Immucor社の輸血検査試薬の輸入承認を三光純薬から承継[3]。
- 2004年(平成16年)
- 4月 - 東京都文京区に品質保証センターを新設。
- 5月 - 日本ビオメリュー(株)(現 ビオメリュー・ジャパン(株))と「遺伝子検査関連製品」の国内販売に関する契約を締結。
- 11月 - (株)ニチレイ(現 (株)ニチレイバイオサイエンス)と共同開発したインフルエンザウイルス検出試薬「スタットマークTMインフルエンザA/B」を発売。
- 2005年(平成17年)
- 6月 - 輸血検査用事業を新設分割してBB株式会社を設立。
- 7月 - Immucor社と合弁契約を締結し、BB株式会社をイムコア・カイノス株式会社に商号変更[4]。
- 2006年(平成18年)
- 2008年(平成20年)5月 - イムコア・カイノス(現・イムコア)の全体株式を米国Immucor社に譲渡し、輸血事業から撤退。
- 2011年(平成23年)9月 - グリフォルス(スペイン)社と輸血事業に関する販売契約を締結し、輸血事業に再参入。
- 2018年(平成30年)
- 2019年(令和元年)5月 - 旭化成ファーマがカイノスの株式を取得し、事業提携関係を強化。
- 2020年(令和2年)9月 - 遺伝子治療研究所に出資し、遺伝子治療分野へ参入[6]。
- 2021年(令和3年)
- 6月 - 新型コロナウイルス検査薬3種を同時発売。
- 7月 - 笠間工場に新自動充填機を導入。
- 12月 - 新型コロナウイルス検査薬1種を発売。
- 2022年(令和4年)
- 2024年(令和6年)
- 2025年(令和7年) - 笠間工場に用手法充填作業の自動化機器を導入予定。
事業所
[編集]- 本社、東京営業所 - 東京都文京区
- 笠間事業所(笠間研究所、笠間工場、配送センター) - 茨城県笠間市[14][15][16]
- 札幌営業所 - 北海道札幌市北区
- 仙台営業所 - 宮城県仙台市太白区
- 名古屋営業所 - 愛知県名古屋市千種区
- 大阪営業所 - 大阪府大阪市東淀川区
- 広島営業所 - 広島県広島市中区
- 福岡営業所 - 福岡県福岡市博多区
主要製品
[編集]- 生化学試薬(アクアオート カイノス[17])
- 免疫学試薬(ADAMTS13) - 奈良県立医科大学との共同研究により製品化[18]。
- 輸血検査用機器・試薬(DG Gel カイノス、Erytra、Erytra Eflexis[19]、WADiana Compact[20])
- 遺伝子試薬(スイフトジーン) - 「迅速肺炎診断を目的としたカセット式簡易診断器の開発」として、山口大学・山口TLO・岐阜大学との共同研究により製品化[21][22][23]。NASBA(等温核酸増幅技術)-核酸クロマト法による感染症検査キット[24]。
- 研究用試薬(スイフトジーン、FGF-23測定試薬、Cotinine測定試薬)
- POCT検査試薬(スタットマーク)
- コントロール・キャリブレーター(リキッドキャリブレーター「カイノス」)[25]
- 新型コロナウイルス検査薬(遺伝子検出試薬2種、抗原検出試薬2種、抗体検出試薬1種)
研究開発
[編集]- 抗AAV抗体測定キット - 一般に、AAV(アデノ随伴ウイルス:Adeno-associated virus)をベクター(遺伝子の運び屋)として用い、遺伝子疾患を治療することが可能。しかし、健常人の多くがAAVに不顕性感染し、抗体を有している。このことから、治療効果を予測し、投与判断を補助するため、患者の抗体価を事前測定する必要があり、そのためのキットを開発している。2009年11月、自治医科大学の村松慎一特命教授の指導を仰ぎ、AAV2抗体測定キットを開発、論文化した[26]。2020年11月、遺伝子治療研究所との資本提携・共同開発を発表。2021年度に、遺伝子治療研究所が行う孤発性ALS(筋萎縮性側索硬化症)に対する遺伝子治療薬の治験に向け、その治療用AAVベクターに対する抗体を検査するELISAキットを開発することとした。2020年10月から2022年3月まで、遺伝子治療研究所に笠間研究所の研究員を派遣し、その後別の研究員も派遣している。
- 新型コロナウイルス検出試薬 - NASBA-核酸クロマト法による検出試薬を開発。ヒートブロック(加温装置)を用いたNASBAによる核酸増幅に約50分、その後のクロマトストリップ(試験紙)による目視での検出に約10分と、短時間かつ一般的な機器で検出結果を得られる。この仕組みは、主要製品の項目中にあるスイフトジーンのものと同様である。2020年11月、検出系の構築完了。2021年1月29日、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ体外診断用医薬品として製造販売承認申請を行った[27][28]。2021年5月承認。イムノクロマト法による抗原検出薬(対外診断用医薬品)、同じくイムノクロマト法による抗体検出薬(研究用試薬)、合計3試薬を2021年6月に発売[29][30]。イムノクロマト法による抗原検出薬(体外診断用医薬品)を2021年12月に追加発売。qSTAR法(新規の核酸増幅法)による検出薬(体外診断用医薬品)を2022年5月に追加発売。
- プロカルシトニン測定試薬 [31][32]- プロカルシトニンは、敗血症のバイオマーカーであり、このプロカルシトニンのラテックス凝集比濁法による測定試薬を開発。一般に、プロカルシトニン測定には専用の分析装置が必要で、主に大規模病院でのみ実施されている。しかし、本試薬は、汎用の生化学自動分析装置を用いて約10分で定量可能であり、市中の一般病院や夜間休日などで新規にプロカルシトニンの検査が可能となる。2024年1月16日に「LATECLE PCT試薬」として発売。
- 婦人科・性腺ホルモンの免疫検査パネル[33] [34]- 婦人科・性腺ホルモンの免疫検査パネル6項目をシスメックスと共同開発し、全自動免疫測定装置「HISCL」シリーズ向けに、2024年3月28日に追加販売。
主な契約締結先
[編集]- 技術提携契約 - 三井製薬工業(日本シエーリング(現・バイエル薬品))、旭化成ファーマ、日本化薬、協和キリン(株)
- 販売契約 - GAMMA BIOLOGICALS, Inc.(アメリカ)、日本ビオメリュー(現・ビオメリュー・ジャパン(株))、グリフォルス社
- 共同開発契約 - ニチレイ(現・ニチレイバイオサイエンス)
- 事業提携契約 - 日立化成工業(現・ミナリスメディカル)
- 資本提携契約 - 遺伝子治療研究所
- 資本業務提携契約 - シスメックス
脚注
[編集]- ^ “株式会社カイノス 有価証券報告書 第43期- EDINET”. disclosure.edinet-fsa.go.jp. 2021年3月3日閲覧。
- ^ “(株)カイノスの会社概要 | マイナビ2025”. job.mynavi.jp. 2024年5月17日閲覧。
- ^ “カイノス 米社製輸血検査試薬の輸入承認を三光純薬から承継 | ニュース | ミクスOnline”. www.mixonline.jp. 2021年2月22日閲覧。
- ^ “会社概要”. www.immucor.com. 2021年1月4日閲覧。
- ^ “カイノスがストップ高、紫斑病向け測定キットが保険適用に”. 2021年5月25日閲覧。
- ^ “カイノス、遺伝子治療分野へ参入、国内VBに出資・薬効予測の検査薬開発 | 化学工業日報”. 2020年11月9日閲覧。
- ^ “シスメックス、免疫検査分野の成長加速に向けカイノスとの資本業務提携に合意”. 日本経済新聞 (2022年2月25日). 2022年3月16日閲覧。
- ^ “免疫検査分野の成長加速に向けカイノスとの資本業務提携に合意~診断薬開発・生産の連携を深め、両社のさらなる成長を目指す~|BtoBプラットフォーム 業界チャネル”. BtoBプラットフォーム 業界チャネル. 2022年3月16日閲覧。
- ^ “シスメックス株式会社 | Sysmex”. www.sysmex.co.jp. 2022年3月16日閲覧。
- ^ “カイノス、コロナ検査薬月内発売、30分で簡便測定 - 化学工業日報”. 化学工業日報 - 化学工業をコアに周辺産業を網羅する「化学工業日報」のWebサイトです (2022年5月23日). 2022年8月17日閲覧。
- ^ 日経バイオテクONLINE. “カイノス、敗血症診断に寄与するプロカルシトニンキット「LATECLE PCT試薬」体外診断用医薬品 製造販売承認取得のお知らせ”. 日経バイオテクONLINE. 2024年6月3日閲覧。
- ^ 日経バイオテクONLINE. “カイノス、婦人科・性腺ホルモンの免疫検査試薬6項目の製造・販売開始のお知らせ”. 日経バイオテクONLINE. 2024年6月3日閲覧。
- ^ “婦人科・性腺ホルモンの免疫検査パネル6項目を国内から販売開始”. www.sysmex.co.jp (2024年3月28日). 2024年6月3日閲覧。
- ^ “株式会社カイノス | 笠間市公式ホームページ”. www.city.kasama.lg.jp. 2020年5月27日閲覧。
- ^ “株式会社カイノス | 会員企業情報”. 笠間市商工会. 2020年5月27日閲覧。
- ^ “笠間市企業立地ガイド公式ホームページ”. www.city.kasama.lg.jp. 2024年8月7日閲覧。
- ^ 三好, 雅士; 西岡, 麻衣; 秦, 真公人; 中尾, 隆之; 土井, 俊夫 (2017). “クレアチニン測定試薬6試薬における測定誤差の比較”. 医学検査 66 (5): 547–553. doi:10.14932/jamt.17-41 .
- ^ 伊藤晋、山本茂一、林司、加藤誠司、日裏久英、松本雅則、藤村吉博「ADAMTS13活性測定用ELISAキットの開発」『日本輸血細胞治療学会誌』第56巻第1号、日本輸血・細胞治療学会、2010年、27-35頁、doi:10.3925/jjtc.56.27、ISSN 1881-3011、NAID 130004542601。
- ^ 加藤, 千秋; 渡邉, 樹里; 松岡, 弘樹; 遠藤, 比呂子; 渡邊, 友美; 松下, 正 (2022). “全自動輸血検査装置Erytra Eflexisを用いた不規則抗体スクリーニング”. 医学検査 71 (1): 87–94. doi:10.14932/jamt.21-71 .
- ^ Naoki, Otomo; Keiko, Aikawa; Yukiko, Oishi; Shigeru, Ichihara; Masateru, Sasaki; Michiko, Kajiwara (2013). “全自動輸血検査装置WADiana CompactによるDG Gelカイノスカードの反応態度の検討” (英語). 医療と検査機器・試薬 36 (6): 845–850. ISSN 1347-0434 .
- ^ “[INPIT]有限会社山口ティー・エル・オー | 独立行政法人 工業所有権情報・研修館”. www.inpit.go.jp. 2021年2月22日閲覧。
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- ^ “山口大学大学院医学系研究科 白井睦訓教授と岐阜大学、(株)カイノスとの共同研究成果により「肺炎原因菌5種の遺伝子検出試薬」を製品化・販売開始!|お知らせ|医学部・大学院|山口大学”. ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp. 2020年12月21日閲覧。
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- ^ Ito, Tetsuo; Yamamoto, Shigekazu; Hayashi, Tsukasa; Kodera, Mika; Mizukami, Hiroaki; Ozawa, Keiya; Muramatsu, Shin-ichi (2009-11-01). “A convenient enzyme-linked immunosorbent assay for rapid screening of anti-adeno-associated virus neutralizing antibodies” (英語). Annals of Clinical Biochemistry 46 (6): 508-510. doi:10.1258/acb.2009.009077. ISSN 0004-5632 .
- ^ “カイノス、新型コロナウイルス遺伝子を試験紙で検出、検査キットを承認申請 | 化学工業日報”. 2021年2月12日閲覧。
- ^ 日経バイオテクONLINE. “カイノス、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2) 遺伝子検出試薬の製造販売承認申請のお知らせ”. 日経バイオテクONLINE. 2021年2月17日閲覧。
- ^ “カイノス、新型コロナ検査薬3種同時発売、手軽な試験紙検出など | 化学工業日報”. 2021年5月30日閲覧。
- ^ “カイノスが急騰、「新型コロナ感染症の検査試薬を同時発売」で - 東洋経済兜町特捜班 - 経済:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年5月30日閲覧。
- ^ “カイノス[4556:敗血症診断に寄与するプロカルシトニンキット「LATECLE PCT試薬」 体外診断用医薬品 製造販売承認取得のお知らせ 2023年12月27日(適時開示) :日経会社情報DIGITAL:日本経済新聞]”. 日本経済新聞 電子版. 2024年5月20日閲覧。
- ^ 日経バイオテクONLINE. “カイノス、敗血症診断に寄与するプロカルシトニンキット「LATECLE PCT試薬」体外診断用医薬品 製造販売承認取得のお知らせ”. 日経バイオテクONLINE. 2024年5月20日閲覧。
- ^ “婦人科・性腺ホルモンの免疫検査パネル6項目を国内から販売開始”. www.sysmex.co.jp (2024年3月28日). 2024年5月20日閲覧。
- ^ kona36 (2024年4月7日). “【新発売】婦人科領域のHISCL試薬6項目 シスメックス”. MTJ Mail News. 2024年5月20日閲覧。