コンテンツにスキップ

アレックス・リオス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アレクシス・リオスから転送)
アレックス・リオス
Alex Ríos
カンザスシティ・ロイヤルズ時代
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 アラバマ州コーヒー
生年月日 (1981-02-18) 1981年2月18日(43歳)
身長
体重
6' 5" =約195.6 cm
215 lb =約97.5 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 外野手
プロ入り 1999年 ドラフト1巡目(全体19位)でトロント・ブルージェイズから指名
初出場 2004年5月27日
最終出場 2015年10月4日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム プエルトリコの旗 プエルトリコ
WBC 2006年2009年2013年
獲得メダル
プエルトリコの旗 プエルトリコ
ワールド・ベースボール・クラシック
2013 野球

アレクシス・イスラエル・リオスAlexis Israel Ríos, 1981年2月18日 - )は、アメリカ合衆国アラバマ州コーヒー出身の元プロ野球選手外野手)。右投右打。

経歴

[編集]

プロ入り前

[編集]

1981年にアメリカ合衆国アラバマ州で誕生、生後2か月のときにプエルトリコ北部グアイナーボへ移住し、5歳で野球を始める[1]

プロ入りとブルージェイズ時代

[編集]

1999年MLBドラフトトロント・ブルージェイズから1巡目(全体19位)指名を受け、その年の6月4日に契約を結ぶ。1巡目指名された理由は「契約金要求額が他選手より安いから」というもので[2]、多くの他球団からは「実力は2巡目か3巡目の指名が妥当なレベル」とみなされるなど、それほど期待されていたわけではなかった[3]。プロ入り後に、それまで主に守ってきた三塁手から外野手へ転向する[1]

2003年マイナーリーグのAA級ニューヘイブン・レイブンズ打率.352、11本塁打、82打点という成績を収めてMVPに選ばれ、さらにシーズン終了後参加したプエルトリコのウィンターリーグでもMVPに選ばれた。この活躍によってフアン・ゴンザレスと比較されるようになったり、将来のクリーンナップを期待されるようになった[4]

2004年5月27日、フランク・カタラノットの故障や代替選手の不振によってメジャーデビューの機会が与えられると、以降ポジションを譲ることなく111試合に出場し打率.286、1本塁打、28打点、15盗塁を記録する。

2005年には、打率(.262)こそ下がったものの10本塁打、59打点、14盗塁を記録、シーズン終盤には5番に座った。

2006年開幕前の3月に第1回WBCプエルトリコ代表に選出された。

シーズンでは6月27日までの72試合で打率.330、15本塁打という成績を残し、オールスターにも初めて選出されるなど活躍していた。しかし左足にできた傷口から真正細菌に感染したことで1か月の欠場を余儀なくされ、オールスター出場を辞退。復帰後は打撃が狂い、シーズン終盤まで自分の打撃を取り戻すのに精一杯だった[5]。それでもシーズン通算で打率は3割台を維持、そのほかにもOPS・本塁打・打点など各部門で自己最高の数字を残している。

2007年はチーム最多の161試合に出場し、191安打(リーグ7位)、74長打(同6位)を記録。前年に出場を辞退していたオールスターに再び選出され、試合前日に開催された本塁打競争にも初めて出場した。シーズン終了後には、得点数リーグワースト2位と貧打に喘いでいたサンフランシスコ・ジャイアンツがリオスに興味を示し、先発投手のマット・ケインティム・リンスカムとのトレード交渉が進んでいると報じられたが[6][7]、交渉は決裂。ジャイアンツはFAアーロン・ローワンドを獲得し、一方のブルージェイズは翌2008年4月、2009年から2014年までの6年総額6400万ドルでリオスと契約を延長した[8]

2008年、リオスはチームの中心打者へ成長。チームは、リオスに対し常に好きなように打たせた[9]。結果、打撃3部門(打率・本塁打・打点)は前年を下回ったが、47二塁打(リーグ5位)、32盗塁(リーグ8位)は自己最高の数字となった。

2009年開幕前の3月に開催された第2回WBCプエルトリコ代表に選出され、2大会連続2度目の選出を果たした。

シーズンでは開幕から打撃不振に陥る。自己最悪の1試合5三振を喫した6月4日のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム戦では、試合後に球場の外でファンと口論になったリオスが、放送禁止用語を使ってファンを罵倒する様子が動画投稿サイト "YouTube" にアップロードされるというトラブルも発生[10]。リオスは後日、この騒動について「冷静さを欠いていた」と自らの非を認め謝罪した[11]。成績はその後も、7月終了時点で打率.263、出塁率.319と低迷。これにより前年に結んだ大型契約が、その後の選手の低迷によって失敗に終わる、いわゆる "不良債権" となる恐れが高まった[12][13]。ブルージェイズは所属するアメリカンリーグ東地区で5球団中4位と、ポストシーズン進出争いに絡めず。そのため、ロイ・ハラデイトレード交渉が進行したり(結局成立せず)、スコット・ローレンが放出されたりするなど、チーム解体の雰囲気が濃くなっていった。

ホワイトソックス時代

[編集]

2009年8月に入り、ブルージェイズがリオスをウェイバー公示したところ、シカゴ・ホワイトソックスが獲得希望を表明。ホワイトソックス側は交換要員を選定してブルージェイズとトレード交渉を行おうとしたが、ブルージェイズ側は見返りなしでリオスの保有権を手放し、8月10日にホワイトソックスへ譲渡した[14]。ブルージェイズGMJ・P・リッチアーディはリオスをウェイバーにかけた目的について「年俸総額削減のためではない」としつつも、その一方で「チームの財政に余裕を持たせる必要性は認識している」とも話している[15]

ホワイトソックス移籍後はシーズン終了まで41試合に出場したが、打率.199、出塁率.229と成績はさらに悪化。監督のオジー・ギーエンは記者に「ここまでリオスに何を見せてもらったか、だって? アウトの山だよ」と語るなど[16]、リオスにとっては自己最悪のシーズンとなった。シーズン終了後には、ESPNから「ア・リーグで最も期待を裏切った選手」に選ばれた[17]

2010年は前半戦終了時点で打率.302、OPS.878の好成績を挙げる。後半戦は打率.258、OPS.684と低迷したが、シーズン通算では自己最多の34盗塁と同2位の21本塁打を記録した。

2012年は、打率、本塁打、打点などキャリアハイの成績を収めた。

2013年開幕前の3月に開催された第3回WBCプエルトリコ代表に選出され、3大会連続3度目の選出を果たした[18]。3月17日の日本戦で能見篤史から本塁打を記録し、プエルトリコを決勝へ導いた[19]

レンジャーズ時代

[編集]

2013年8月9日にトレードでテキサス・レンジャーズへ移籍した[20]9月23日ヒューストン・アストロズ戦でサイクル安打を達成した。

2014年は131試合に出場し、打率.280、4本塁打、54打点、17盗塁だった。オフの10月15日にレンジャーズが2015年・1400万ドルの球団オプションを破棄したため[21]FAとなった。

ロイヤルズ時代

[編集]

2014年12月19日にカンザスシティ・ロイヤルズと1100万ドルの1年契約(2016年・1250万ドルのミューチュアル・オプション付き[22])を結んだ[23][24]

2015年は離脱もあり、105試合の出場に留まった。98安打は、メジャーデビュー以来で初めて100未満だった。打率.255、4本塁打、32打点という打撃成績を記録したほか、失敗なしで9盗塁を決め、通算250盗塁を達成した。守備ではDRS-6だった。11月4日にFAとなった[25]

選手としての特徴

[編集]

俊足の中距離打者で二塁打三塁打を量産するタイプ。二塁打が2007年は43本でリーグ6位、2008年は47本でリーグ5位。三塁打が2007年は7本でリーグ9位、2008年は8本でリーグ4位。スウィングが大きいため三振が多いのが課題である[26]

外野守備は、右翼中堅左翼のいずれもこなすことができるが[14]、ブルージェイズでは中堅にバーノン・ウェルズがいるためリオスは右翼を守ることが多かった。右翼手としての守備は一級品で、打球反応の良さや守備範囲の広さは中堅手並みのものを持っている[27]。また失策も少なく、細身だが強肩補殺数も多い。プラス・マイナス・システムという守備指標を考案したジョン・デュワンの試算によれば、リオスの守備は2006年から2008年の3年間でチームの失点を49点減らし、およそ5勝の上積みをもたらしたことになるという[28]

詳細情報

[編集]

年度別打撃成績

[編集]
















































O
P
S
2004 TOR 111 460 426 55 122 24 7 1 163 28 15 3 1 0 31 0 2 84 14 .286 .338 .383 .720
2005 146 519 481 71 126 23 6 10 191 59 14 9 0 5 28 1 5 101 14 .262 .306 .397 .703
2006 128 498 450 68 136 33 6 17 232 82 15 6 0 10 35 1 3 89 10 .302 .349 .516 .865
2007 161 711 643 114 191 43 7 24 320 85 17 4 0 7 55 3 6 103 9 .297 .354 .498 .852
2008 155 686 635 91 185 47 8 15 293 79 32 8 0 5 44 2 2 112 20 .291 .337 .461 .798
2009 108 479 436 52 115 25 2 14 186 62 19 3 0 6 31 1 6 78 14 .264 .317 .427 .744
CWS 41 154 146 11 29 6 0 3 44 9 5 2 1 1 6 0 0 29 7 .199 .229 .301 .530
'09計 149 633 582 63 144 31 2 17 230 71 24 5 1 7 37 1 6 107 21 .247 .296 .395 .691
2010 147 617 567 89 161 29 3 21 259 88 34 14 0 5 38 4 7 93 21 .284 .334 .457 .791
2011 145 570 537 64 122 22 2 13 187 44 11 6 0 4 27 4 2 68 20 .227 .265 .348 .613
2012 157 640 605 93 184 37 8 25 312 91 23 6 0 5 26 3 4 92 18 .304 .334 .516 .850
2013 109 465 430 57 119 22 2 12 181 55 26 6 0 1 32 2 1 78 12 .277 .328 .421 .749
TEX 47 197 186 26 52 11 2 6 85 26 16 1 0 1 9 0 1 30 5 .280 .315 .457 .772
'13計 156 662 616 83 171 33 4 18 266 81 42 7 0 2 41 2 2 108 17 .278 .324 .432 .756
2014 131 521 492 54 138 30 8 4 196 54 17 9 0 5 23 3 1 93 19 .280 .311 .398 .709
2015 KC 105 411 385 40 98 22 2 4 136 32 9 0 0 6 15 0 5 67 10 .255 .287 .353 .640
MLB:12年 1691 6929 6419 885 1778 374 63 169 2785 794 253 77 2 61 400 24 45 1117 193 .277 .321 .434 .755

年度別守備成績

[編集]


左翼(LF) 中堅(CF) 右翼(RF)




































2004 TOR - 3 1 0 0 0 1.000 108 217 11 2 4 .991
2005 - 5 12 0 0 0 1.000 138 245 7 2 1 .992
2006 - 6 6 1 0 0 1.000 124 218 7 1 2 .996
2007 - 22 44 1 2 0 .957 147 243 10 5 1 .981
2008 - 62 156 10 3 1 .982 93 170 4 1 2 .994
2009 - 8 19 0 0 0 1.000 103 217 4 3 0 .987
CWS - 34 82 0 2 0 .976 7 11 0 0 0 1.000
'09計 - 42 101 0 2 0 .981 110 228 4 3 0 .987
2010 1 4 0 0 0 1.000 143 384 6 5 3 .987 -
2011 - 143 349 5 3 3 .992 -
2012 - - 156 333 9 7 2 .980
2013 - - 108 228 8 3 1 .987
TEX - 1 0 0 0 0 47 99 1 0 0 1.000
'13計 - 1 0 0 0 0 155 327 9 3 1 .991
2014 - - 114 250 6 6 2 .977
2015 KC - - 105 215 4 3 0 .986
MLB 1 4 0 0 0 1.000 427 1053 23 15 7 .986 1250 2446 71 33 15 .987
  • 各年度の太字はリーグ最高

記録

[編集]

背番号

[編集]
  • 15(2004年 - 2009年途中、2015年)
  • 51(2009年途中 - 2014年)

代表歴

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b Allan Ryan. “Superstar in waiting”. Toronto Star. 2007年7月10日閲覧。
  2. ^ 出野哲也 「30チーム最新レポート&全選手成績 トロント・ブルージェイズ/TOR 安く買ったリオスの成長」 『月刊スラッガー』2004年11月号、日本スポーツ企画出版社、2004年、雑誌15509-11、74頁。
  3. ^ John Sickels. “Blue Jays outfield prospect Alexis Rios”. ESPN.com. 2003年10月14日閲覧。
  4. ^ 大冨真一郎 「2004 両リーグ新人王候補注目ルーキー紹介」 『月刊メジャー・リーグ』2004年3月号、ベースボール・マガジン社、2004年、雑誌08625-3、91頁。
  5. ^ 阿部寛子 「MLB30球団最新レポート&全選手個人成績 トロント・ブルージェイズ/TOR 今年こそ満を持して初のオールスターの舞台へ」 『月刊スラッガー』2007年8月号、日本スポーツ企画出版社、2007年、雑誌15509-8、76頁。
  6. ^ John Shea. “BASEBALL WINTER MEETINGS Jays dangling Rios for Cain”. San Francisco Chronicle. 2007年12月5日閲覧。
  7. ^ Dave Perkins. “Rios trade talk is a sign of the baseball times”. Toronto Star. 2007年12月8日閲覧。
  8. ^ Jordan Bastian / MLB.com. “Blue Jays lock up their core / Rios gets six-year pact, while Hill nets four years in his deal”. bluejays.com. 2008年4月4日閲覧。
  9. ^ 友成那智村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2009』廣済堂出版、2009年、95頁。ISBN 978-4-331-51370-5 
  10. ^ effingbrilliant. “Alex Rios having a bad night”. YouTube. 2009年6月8日閲覧。
  11. ^ Erika Gilbert / MLB.com, "Rios apologizes for off-field incident / Jays right fielder involved in brief shouting match with fan, bluejays.com, June 5, 2009.2009年10月11日閲覧。
  12. ^ Joe Posnanski. “When it comes to bad contracts, Jays' Ricciardi is hard to beat”. SI.com. 2009年8月13日閲覧。
  13. ^ 李啓充トレード市場最大の目玉商品。ロイ・ハラデーの「値段」。」 『Number Web』、2009年7月14日。2009年10月9日閲覧。
  14. ^ a b Christian Caple (2009年8月10日). “White Sox claim Jays' Rios off waivers / Chicago assumes outfielder's nearly $70 million contract” (英語). MLB.com. 2017年3月6日閲覧。
  15. ^ ESPN.com news services. “White Sox acquire Rios from Toronto”. ESPN.com. 2009年8月11日閲覧。
  16. ^ Jerry Crasnick. “Promising careers at a crossroads”. ESPN.com. 2009年9月23日閲覧。
  17. ^ Jayson Stark. “MVPs and LVPs, Cy Youngs and Yuks …”. ESPN.com. 2009年10月3日閲覧。
  18. ^ PUERTO RICO ROSTER
  19. ^ Rios homers to end Classic slump
  20. ^ T.R. Sullivan (2013年8月9日). “Rangers acquire Rios from White Sox” (英語). MLB.com. 2017年3月6日閲覧。
  21. ^ T.R. Sullivan (2014年10月16日). “Rangers buy out Rios, pass on 2015 option”. MLB.com. 2014年12月20日閲覧。
  22. ^ 違約金は150万ドル。
  23. ^ "Royals, outfielder Alex Rios agree to one- year deal with mutual option" (Press release). MLB.com (Kansas City Royals). 19 December 2014. 2014年12月20日閲覧
  24. ^ Royals sign Rios to $11 million, 1-year deal”. ESPN MLB (2014年12月19日). 2014年12月20日閲覧。
  25. ^ Transactions | royals.com” (英語). MLB.com (2015年11月4日). 2015年11月5日閲覧。
  26. ^ 阿部寛子 「MLB30球団レポート&全選手シーズン最終成績 トロント・ブルージェイズ/TOR 期待の生え抜き5ツールが健康を保って3番に定着」 『月刊スラッガー』2007年12月号、日本スポーツ企画出版社、2007年、雑誌15509-12、69頁。
  27. ^ Lindy's, "Preview 2008: Toronto Blue Jays," FOX Sports on MSN, March 12, 2008. 2008年3月22日閲覧。(2008年3月18日時点のアーカイブ
  28. ^ Eric Neel. “Smell the Glove”. ESPN.com. 2009年3月31日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]