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アスナプレビル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アスナプレビル
臨床データ
法的規制
薬物動態データ
生物学的利用能9.3%
血漿タンパク結合99.8%
代謝CYP3A4、CYP3A5
半減期15.4〜21.2 時間
排泄
データベースID
PubChem CID: 16076883
ChemSpider 17235944
KEGG D10093
ChEMBL CHEMBL2105735
化学的データ
化学式C35H46ClN5O9S
分子量748.29 g·mol−1
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アスナプレビル(Asunaprevir)はC型肝炎経口治療薬の一つである。商品名スンベプラ。日本ではダクラタスビルとの併用療法が臨床試験に付され[1] 、2015年3月に承認された[2]。アスナプレビルはC型肝炎ウイルスの酵素セリンプロテアーゼNS3英語版/4Aの阻害剤である[3]。開発コードBMS-650032。なお日本での販売は2021年に中止された。

効能・効果

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セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善

禁忌

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アスナプレビルは下記の患者には禁忌である[4]

  • 製剤の成分に過敏症の既往歴のある患者
  • 中等度以上(Child-Pugh分類BまたはC)の肝機能障害 または 非代償性肝疾患 のある患者
  • 下記の薬剤・食品を使用中の患者
  • アゾール系抗真菌剤(経口または注射剤)
  • クラリスロマイシン
  • エリスロマイシン
  • ジルチアゼム
  • ベラパミル塩酸塩
  • コビシスタット含有製剤
  • HIVプロテアーゼ阻害剤
血中濃度が増加する
  • リファンピシン
  • リファブチン
  • フェニトイン
  • カルバマゼピン
  • フェノバルビタール
  • デキサメタゾン全身投与
  • モダフィニル
  • 非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(リルピビリン塩酸塩を除く)
  • ボセンタン水和物
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
血中濃度が低下する
  • シクロスポリン
アスナプレビルの肝臓での取り込みが減少する
  • フレカイニド
  • プロパフェノン
これらの薬剤のCYP2D6による代謝が阻害される

慎重投与

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  • 重度の腎機能障害患者で血液透析を行っていない場合は、血中濃度が上昇することがある。
  • B型肝炎ウイルス感染の患者または既往感染者では、ウイルスが再活性化される場合がある。

副作用

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添付文書に記載されている重大な副作用は、ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、血中ビリルビン増加、多形紅斑、血小板減少、間質性肺炎である[4]

これらの内、ALT(GPT)増加の発現率が17.4%、AST(GOT)増加の発現率が14.4%であるほか、好酸球増加症、発熱、倦怠感、頭痛、下痢、悪心が5%以上に発現する。

臨床試験

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アスナプレビルはダクラタスビルとの併用のほか、ペグインターフェロン英語版リバビリンとの3剤併用療法が試験された[5][6][7]

日本では、第I相臨床試験(単回投与、反復投与)のほか、次の第IIa相臨床試験と第III相臨床試験が実施された。

AI447017試験(第IIa相)

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インターフェロンを含む治療に不適格、不忍容、無反応のジェノタイプ1のC型慢性肝炎患者43名を対象にアスナプレビル(ASV)+ダクラタスビル(DCV)を24週間投与した。24週後のウイルス学的著効率(SVR24)は76.7%であった[8]:17。副作用発現率は93.0%であった。

AI447031試験(第III相)

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インターフェロン(IFN)を含む治療に適格のジェノタイプ1b未治療患者を対象に、ASV+DCV(119名)またはIFN/RBV(リバビリン)+テラプレビル(TVR)(111名)を投与した。SVR24はASV+DCV群で86.6%、IFN/RBV+TVR群で60.4%であり、非劣性が示された[8]:18

また、前治療再燃患者(22名)にASV+DCVを投与した結果のSVR24は90.9%であった。

副作用発現率は58.9%であった。

AI447026試験(第III相)

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ジェノタイプ1bのC型慢性肝炎患者222名にASV+DCVを投与した結果、SVR24は84.7%であった[8]:21

副作用発現率は57.7%であった。

関連項目

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出典

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  1. ^ A Phase 3 Study in Combination With BMS-790052 and BMS-650032 in Japanese Hepatitis C Virus (HCV) Patients”. ClinicalTrials.gov英語版. 2015年5月21日閲覧。
  2. ^ 2種類の経口抗ウイルス剤「ダクルインザ錠60mg」「スンベプラカプセル100mg」:経口薬のみによるC型慢性肝炎/代償性肝硬変の治療が日本人で最も多いジェノタイプ1の全ての患者さんで選択肢となる”. ブリストル・マイヤーズ (2015年3月20日). 2015年5月21日閲覧。
  3. ^ C. Reviriego (2012). “Asunaprevir. HCV serine protein NS3 inhibitor, Treatment of hepatitis C virus”. Drugs of the Future 37 (4): 247–254. doi:10.1358/dof.2012.37.4.1789350. https://journals.prous.com/journals/servlet/xmlxsl/pk_journals.xml_summary_pr?p_JournalId=2&p_RefId=1789350&p_IsPs=N. 
  4. ^ a b スンベプラカプセル100mg 添付文書” (2016年5月). 2016年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年6月30日閲覧。
  5. ^ Lok, A et al. (2012). “Preliminary Study of Two Antiviral Agents for Hepatitis C Genotype 1”. New England Journal of Medicine 366 (3): 216–224. doi:10.1056/NEJMoa1104430. http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1104430. 
  6. ^ Bristol-Myers' Daclatasvir, Asunaprevir Cured 77%: Study”. Bloomberg (2012年4月19日). 2015年5月21日閲覧。
  7. ^ AASLD: Daclatasvir plus Asunaprevir Rapidly Suppresses HCV in Prior Null Responders. Highleyman, L. HIVandHepatitis.com. 8 November 2011.
  8. ^ a b c スンベプラカプセル100mg インタビューフォーム”. ブリストル・マイヤーズ (2015年4月). 2015年5月21日閲覧。