コンテンツにスキップ

X86-S

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

X86-Sは、リアルモード、16ビットおよび32ビットのプロテクトモードなどを廃止し、64ビットLongモードのみをサポートするアーキテクチャとして、Intel社が2023年5月に提案したものだ。この新しい提案では、16ビットおよび32ビットのオペレーティングシステム(OS)のサポートが終了するが、32ビットのアプリケーションは引き続き64ビットOS上で実行できるようにする計画になっている。2023年10月現在、具体的な製品化計画については公表されていない。

現在のx86-64対応のCPUでは、電源オン直後にリアルモードで起動し、プロテクトモードに切り替え、その後Longモードに移行する。この一連の過程はx86アーキテクチャの進化に沿ったものだが、X86-Sでは、このプロセスが簡略化され、CPUが直接Longモードで起動するようになる。

Intelは、X86-SをAVX10APX(Advanced Performance Extensions)と組み合わせて、従来のx64に代わる新しいプラットフォームを構築する計画を立てている。

サポート終了対象の機能

[編集]

X86-Sでは、以下の機能が削除される:

  • 16ビットのリアルモードおよびプロテクトモード
  • 32ビットのプロテクトモード
  • 仮想86モード
  • リング1、リング2

動作モード

[編集]

X86-Sでは、以下の動作モードが提供される:

動作モードの改廃
動作モード 必要なOS アプリケーション
Longモード
(IA32-eモード)
64ビット モード 64ビットOS 64ビット
互換モード 32ビット
16ビット(サポート終了)
Legacyモード(サポート終了) プロテクト モード 従来の 16/32ビットOS 32ビット(サポート終了)
16ビット(サポート終了)
仮想86 モード 16ビット(サポート終了)
リアル モード 従来の 16ビットOS

サポート終了対象の命令

[編集]

X86-Sでは、以下の命令が削除される:

  • INS, OUTS(ストリングI/O)
  • LMSW(リアルモードからプロテクトモードに切り替えるための命令)
  • アドレスサイズプレフィックスを使用した16ビットアドレッシング

サポート終了対象ではない機能

[編集]

X86-Sでは以下の命令や機能は引き続きサポートされる:

  • x87命令
  • MMX命令

脚注

[編集]


参考文献

[編集]

関連項目

[編集]