Wikipedia‐ノート:良質な記事/良質な記事の選考/中国の貨幣制度史 20190711
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査読コメント (良質な記事の審査基準以外)
[編集]以下は、今後秀逸な記事の選考に進むことがあれば、選考前にクリアして頂きたいと感じた箇所です。備忘録として残します。あくまでざっと読んだ限りの感想ですし、私自身がこの分野に特段詳しいわけでもないので、的外れな指摘があればご容赦ください。
- 古代~中世 (明の時代まで) を査読した時点でのコメント
- 事実 (what) は書かれていても、背景・要因 (why) の記述が薄いと感じました。
- 例1: 欧州・イスラム圏では銀貨が中心だったのに、中国では銅貨が中心だった理由が書かれていません。
- 例2: 清の時代まで常に銅貨が不足していたとのことですが、不足理由が書かれていません。2015年データによると、中国の銅産出量は世界第2位。そのため、国外からの輸入に依存していたから銅貨の原材料が不足したとは考えづらいです。となると、単純な人口増や商業規模の拡大で、貨幣の社会的需要に銅の供給生産が追い付かなかったと考えられます。その場合は、人口推移などのデータを表形式にして解説すると、銅不足の要因が説明しやすいと思います。
- 例3: 世界初の紙幣は中国の宋だったという事実は、大変重要。しかし紙幣発行の理由が、単に銅貨が不足していたのを補うためとだけ書かれているのに違和感がありました。印刷#歴史によると、「2世紀頃に中国で紙が発明され、7世紀から8世紀頃には木版印刷が行われていた」「北宋に入ると木版印刷は広く普及し、多くの本が印刷されるようになった」「北宋の太祖が971年、征服した後蜀に命じて勅版の一切経(大蔵経)を制作させた」とあります。つまり、銅貨の不足だけでなく、印刷技術の発展が中国の紙幣誕生を後押しした背景と考えられそうです。言い換えると、他国でも貨幣用の金属は不足していたのに、なぜ他国に先駆けて中国で紙幣が登場したのか、という問いに答えてほしいです。
- 例4: 各節の説明に{{See also}}などを入れて、関連トピックを参照できるようにつないでいくと良いと思います。上述の通り、貨幣は商業の発展度、貨幣製造技術の発展度、金融・財政政策などと密接なテーマなので、このようなジャンルを取り込んで軽く加筆すると良いでしょう。
- 例5: ただし「中世の貿易」節の銀貨の説明のように、銀貿易ばかり書いてあって、それが銀貨 (貨幣の話) とどうつながっているのか忘れて脱線気味なのは困ります。このパートだけ読むと、なぜ中国の貨幣制度史ページに書いてあるのか、疑問です。「中世の金融」のマカオもしかりです。
- 説明の順番ですが、時系列で進んでいたのに途中でトピック別の節に切り口が変わり、既に解説済みの時代にさかのぼって追記される箇所があるので、読みづらいです。具体的には「中世の貿易」と「中世の金融」です。これらはトピックとして切り出すのではなく、宋~明の各節に織り交ぜる方が読み進めやすいと思います。
- そもそも目次全体を「古代」「中世」「近世」「近代」「現代」という分類で括る意味があるのでしょうか? 「物々交換」「金属貨幣の登場」「紙幣の登場」「中国貨幣の国際化」「金融業の発達」・・・みたいに、社会における中国貨幣のターニングポイント別に大きな見出しを立てた方が、目次を読んだ時に読者には分かりやすいのかなと思いました。以上です。清時代以降については、またの機会に。--ProfessorPine(会話) 2019年7月20日 (土) 09:42 (UTC)
- コメント oldid=73516277までの主な加筆者です。コメントを読みました。他の方の意見も待ちつつ、現時点での返信です。
- 例1: 例2: 例3: 例4: 貨幣発行の事実は比較的確認しやすいです。他方、事実に比べると背景や関連事実は膨大になる可能性があり、また読む側の個人差もあるでしょうから、どこまで書くかは慎重に考えています。他の方が加筆してくださるならもちろん歓迎で、大変助かります。
- 例5: 同様のご意見が他のかたにもあれば、貿易や金融については外してもよいと考えます。この記事は貨幣史なので、貿易史や金融史は他の記事にまかせる方がよいかもしれません。背景についても、同様のことが言えるのではないでしょうか。
- 説明の順番: 例5への返信と同様です。貿易や金融については議論の余地が大きいと考え、あらかじめ分けていました。
- 目次全体: 今回の加筆で参照した文献の多くは、貨幣の素材や用途ではなく時代区分で書いてあり、記事もそれにならいました。ターニングポイント別の目次は、独自研究のおそれがないでしょうか。--Moke(会話) 2019年7月20日 (土) 14:53 (UTC)
- 近代 (清の時代)~現代を査読しての追加コメント
既に良質な記事の選考は終わっていますが、せっかく査読したのでコメントとして残します。あくまで私の感想なので、記事のノートページ上で執筆者の皆さんで適宜協議して頂ければと思います。
- 明と同様、清も貨幣制度と直結しない貿易史だけの記述があり、違和感があります。特にアヘン貿易とアヘン戦争のあたりです。中国茶の輸出の対価として、英国から銀を輸入していたからこそ、銀貨の制度が維持できていた面もあると思うのですが、銀が入ってこなくなってから貨幣制度はどう影響を受けたのか、もう少し記述が欲しいです。
- 「中華民国期の通貨の歴史」のように、一部だけページ分割されていますが、バイト数を考えると全体的にページ分割し、「中国の貨幣制度史」そのものはまとめページにした方がよさそうです。特に近代から現代にかけては、「貨幣制度」というよりは「貿易史」であったり「金融史」の方が整理学としては分かりやすい内容です。たとえば、人民元の切り上げに関する諸外国からの圧力だけで、1ページ書けるトピックですし。
- そもそも貨幣「制度」史というページ名が適切なのでしょうか? 親ページは「貨幣史」としているため、貨幣の制度 (システム) だけでなく、貨幣の実際の使われ方 (運用) も記述しやすいです。ページ分割とセットで、改名についても検討されても良いかもしれません。
- うろ覚えの情報で申し訳ないのですが、たしか中国本土で儲けた利益を、中国国外に送金する際に規制が一部かかっていたと思います。この手の規制は、中国以外の発展途上国でもちょくちょく見受けられます。で、たしか香港か台湾にペーパーカンパニーを設立して、迂回するなどして、中国以外の企業は対応していたような。。。国際送金は貨幣制度の重要論点だと思うので、もう少し補強をお願いしたいです。以上です。--ProfessorPine(会話) 2019年7月28日 (日) 08:43 (UTC)