W-3 (航空機)
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W-3ソクウ(ポーランド語:W-3 Sokółヴェー・チュシー・ソークウ)は、ポーランドのPZLで設計・製造された双発エンジン式の中型汎用ヘリコプターである。愛称の「ソクウ」はポーランド語で「ハヤブサ」のこと。日本語では「ソコル」と書かれる場合もある。
開発
[編集]W-3ソクウは、ポーランドのPZL-シフィドニクが独自に設計した中型ヘリコプターである。設計は1973年に開始され、1979年11月16日に試作1号機が完成し1985年に量産が開始された。
W-3は3枚翼のテールローターと4枚翼のメインローターを有し、降着装置は前輪と2つの主輪を備えている。
ポーランドは自国の陸海空三軍が保有運用している旧ソ連製(ポーランドでライセンス生産された機体を含む)ヘリコプターの一部をこのW-3の派生型に更新すると共に軍民問わず輸出にも力を入れている。
主な派生型
[編集]民間向け
[編集]- W-3ソクウ
- 民間向け汎用型の基本型
- W-3Aソクウ
- アメリカ連邦航空局のFAR-29証明を受けた型
- W-3ASソクウ
- W-3の機体をW-3A仕様に変更した型
- W-3A2ソクウ
- 2軸式のSmith SN 350自動操縦装置を搭載した型。
- W-3AMソクウ
- フロートを装着した型
軍用型
[編集]- W-3Tソクウ
- 非武装の輸送型で、ポーランド以外にもチェコ、ミャンマーで使用されている。
- W-3Pソクウ
- ポーランド海軍の軍用人員輸送型
- W-3Sソクウ
- ポーランド空軍のVIP輸送機型
- W-3Wソクウ
- ポーランド陸軍仕様の攻撃型。機体に2連装23 mm GSz-23Ł機関砲を固定装備し、4つのパイロンを有する。
- W-3WAソクウ
- W-3Wと基本的には変わらないが、W-3Aの機体を使用している。ポーランド陸軍で運用されている。
- W-3Rソクウ
- ポーランド空軍及びチェコ空軍で運用されている、救急ヘリコプター仕様
- W-3RLソクウ
- ポーランド空軍の地上用捜索救難型
- W-3RMアナコンダ(Anakonda)
- ポーランド海軍の洋上捜索救難型
- W-3WARMアナコンダ(Anakonda)
- W-3A仕様の機体を使用する、ポーランド海軍向け洋上捜索救難型
- W-3PSOT / W-3PPDギプスフカ(Gipsówka)
- W-3PPDは空中指揮機仕様(PPDは" Powietrzny Punkt Dowodzenia" - "Airborne Command Post"の略称)であり、2006年に、新型のデジタル戦場指揮統制システム(砲兵隊への目標指示が可能なトパス火器管制装置を装備したW-3PSOT(Powietrzne Stanowisko Obserwacji Terenu:Airborne Observation Postの略称)これらの派生型は、W-3Wと同様に4つのパイロンを有しているが、固定式機関砲は撤去されている。ポーランド陸軍にのみ配備。
- W-3RRプロツィヨン(Procjon)
- ポーランド陸軍の電子偵察機仕様。
採用国
[編集]- 軍隊
- ポーランド
- イラク - 新生イラク軍向けに2機が2006年に引き渡されたが、現在は2機ともポーランドへ返却。
- チェコ - 11機のW-3Aを受領。チェコは同機の代金代わりに、同国空軍の保有する10機のMiG-29を全機ポーランド空軍に引き渡した。
- ミャンマー - 13機を保有。
- フィリピン
- アルジェリア
- 警察、法執行機関
- ポーランド - 同国の警察及び国境警備隊が運用
- ドイツ - ザクセン州警察が運用
- アラブ首長国連邦 - 同国の構成国であるラアス・アル=ハイマ首長国の警察が運用
- 大韓民国 - 大邱広域市及びChoong Namの消防局が運用
性能・主要諸元(W-3A)
[編集]- 乗員:1~2名
- 乗客:12名(標準型)
- 全長:14.21 m
- 主回転翼直径:15.70 m
- 全高:5.14 m
- 円板面積:193.6 m2
- 空虚重量:3.85 t
- 最大吊下重量:2.1 t
- 最大離陸重量: 6.4 t
- 発動機:WSKPZL ジェシュフ(Rzeszów) PZL-10Wターボシャフトエンジン(670 kW)x2基
- 超過禁止速度:260 km/h
- 巡航速度:234 km/h
- 航続距離:745 km
- 巡航高度:5,100 m
- 上昇率:10 m/sec