コンテンツにスキップ

Red (島本理生)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Red
著者 島本理生
発行日 2014年9月25日
発行元 中央公論新社
ジャンル 長編小説
官能小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判
ページ数 420
公式サイト www.chuko.co.jp
コード ISBN 978-4-12-004654-4
ISBN 978-4-12-206450-8文庫判
ウィキポータル 文学
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

Red』(レッド)は、作家・島本理生による日本長編小説。著者初の官能小説として「読売プレミアム」に2013年5月8日から2014年8月15日まで連載[1]、加筆修正を経て中央公論新社より2014年9月25日に刊行された。元恋人との快楽に溺れ堕ちてゆく30代主婦の性愛と苦悩を描く[2]。第21回島清恋愛文学賞受賞作。第6回(2015年度)山田風太郎賞候補作。

三島有紀子の監督、夏帆妻夫木聡の共演で映画化され[3][4]2020年2月21日に公開された[5][6]

執筆背景

[編集]

思春期の女性を数多く描いてきた島本理生による初めての官能小説。家庭を持ちながら、元恋人との関係に快楽的になってしまう30代女性の苦悩と性愛を濃密に描き出している。島本自身も結婚し、子供をもうけたことで「子供側の視点ではもう描けない」と感じたといい、「それならば、同年代の人たちに真正面から読んでいただけるような作品を描こう」と思ったという[2]。タイトルを『Red』にした理由について、島本は「赤は官能的かつ危険を帯びるというイメージがある。以前の自分の小説は“繊細”とか“瑞々しい”というイメージが持たれていて、装丁も青や白といった爽やかな感じの色だった。でも今回は結婚していて、更には子供もいるという中で包み込むような感じではなく、30代女性のリアルさを直に描いてみたかった」と語っている[2]

あらすじ

[編集]

結婚し、1人の娘を儲けた村主塔子は、学生の頃からの友人の結婚式に出席、そこでかつて勤めていた会社の上司であり、不倫関係を持っていた鞍田の姿を見つける。

塔子は、娘のと夫のとその両親と同居している。義父の家柄の古風な考えかたに若干の違和感を覚えることがあるが、それらは塔子の中では我慢するものというふうに考えられている。一方で娘を産んで以降、夫の真が全くセックスを求めて来なくなってしまったことに戸惑いを感じていた。そんな中で鞍田と再会し、彼との関係が深まって行く。

塔子は鞍田との関係の再開や友人の矢沢ゆきりんの近況を聞いたこともあり、専業主婦というものに囚われているような感覚を覚え、鞍田の助力もあり、鞍田が現在勤める会社に就職し、少しずつ解放された生活を送り始めるが、鞍田との関係はかつての関係時代から家族の有無が逆転しただけの不倫関係であり、塔子はその関係に不安を覚えつつも、子育てに積極的とは言いきれない夫の態度や嫁姑問題なども影を落とし、鞍田との関係に沈み込んでいく。

その後、鞍田が重い病を患い会社を辞めてしばらく治療に専念するという話を聞いた塔子は、鞍田との関係を続け彼に寄り添って生きて行くべきか、家族、特に娘の翠との絆を守るべきかで身を割かれるような決断を迫られることとなる。

そして、十数年後、中学生になった翠は母の塔子と鎌倉を訪れる。塔子と鞍田との結末に当時の自分の鞍田への反応がひとつの答えを与えていたとは翠は知らず、塔子は涙をながす。

登場人物

[編集]
村主 塔子(むらぬし とうこ)
夫と結婚し物語開始時点では1人の娘を育てる専業主婦。夫、娘、そして夫の両親とともに暮らしている。ある日、友人の結婚式で10年ほど前に狂おしいほどに身体を求めあった鞍田明彦と再会する。その後、鞍田の紹介で彼の勤める会社に就職。
鞍田 秋彦(くらた あきひこ)
塔子の元恋人。10年ほど前には自身に妻がおり、当時の勤め先で知り合った塔子と不倫関係にあった。
小鷹 淳(こだか じゅん)
塔子が勤めるようになる会社の同僚。
村主 真(むらぬし しん)
塔子の夫。

書誌情報

[編集]

映画

[編集]
Red
監督 三島有紀子
脚本 池田千尋
三島有紀子
原作 島本理生『Red』
製作 荒川優美
赤城聡
久保田傑
製作総指揮 佐藤直樹
福家康孝
出演者 夏帆
柄本佑
間宮祥太朗
片岡礼子
酒向芳
山本郁子
浅野和之
余貴美子
妻夫木聡
音楽 田中拓人
撮影 木村信也
編集 加藤ひとみ
制作会社 オフィス・シロウズ
製作会社 「Red」製作委員会
配給 日活
公開 日本の旗 2020年2月21日
上映時間 123分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 8300万円[7]
テンプレートを表示

三島有紀子監督、夏帆主演[8]で映画化され、2020年2月21日に公開された[6][9]R15+指定

映画では小説と大きく異なる結末となっている[4]

キャスト

[編集]

スタッフ

[編集]

受賞(映画)

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ 無神経な男性にイラッ その「対処法」は?”. 発言小町. 読売新聞社 (2013年6月17日). 2020年1月16日閲覧。
  2. ^ a b c 島本理生(インタビュアー:海老沢類)「島本理生さんが長編『Red』子を持つ女性のリアル、生身と本音…官能交え」『産経新聞』、2014年10月8日https://www.sankei.com/life/news/141008/lif1410080014-n1.html2019年9月26日閲覧 
  3. ^ “「セクシーすぎるでしょ2人とも」 島本理生の小説『Red』が夏帆&妻夫木聡で映画化決定!”. ダ・ヴィンチニュース (KADOKAWA). (2019年9月2日). https://ddnavi.com/news/561307/a/ 2020年1月14日閲覧。 
  4. ^ a b “夏帆と妻夫木聡の濃厚シーンに期待!? 過激な愛の描写と衝撃展開に“賛否両論の問題作”『Red』――小説と映画で異なるラストとは”. ダ・ヴィンチニュース (KADOKAWA). (2019年12月25日). https://ddnavi.com/news/585261/a/ 2020年1月14日閲覧。 
  5. ^ “夏帆&妻夫木聡、濃厚ラブシーンに挑む! 問題作「Red」映画化で初共演”. 映画.com. (2019年8月21日). https://eiga.com/news/20190821/10/ 2019年9月26日閲覧。 
  6. ^ a b “妻夫木聡&柄本佑、照れながらも夏帆に真っ赤な薔薇と“感謝の思い”をプレゼント”. ザテレビジョン (KADOKAWA). (2020年2月22日). https://thetv.jp/news/detail/223723/ 2020年2月27日閲覧。 
  7. ^ 『キネマ旬報』2021年3月下旬特別号 p.53
  8. ^ a b ““既婚者”夏帆が“元カレ”妻夫木聡に堕ちていく…三島有紀子の新作「Red」公開決定”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2019年8月21日). https://natalie.mu/eiga/news/344347 2019年9月26日閲覧。 
  9. ^ a b c “柄本佑&間宮祥太朗、三島有紀子監督『Red』出演 妻夫木聡とともに夏帆をとりまく男に”. Real Sound (株式会社blueprint). (2019年9月25日). https://realsound.jp/movie/2019/09/post-420172.html 2019年9月26日閲覧。 
  10. ^ 『鬼滅の刃』石原裕次郎賞受賞 『罪の声』が「日刊スポーツ映画大賞」作品賞に」『ORICON NEWS』オリコン、2020年12月28日。2021年1月11日閲覧。

外部リンク

[編集]