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ヒドロキシルラジカル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
OHラジカルから転送)
ヒドロキシルラジカル
識別情報
CAS登録番号 3352-57-6 チェック
PubChem 1573506914119 ((2H)hydroxy)
ChemSpider 138477 チェック
5290083 ((2H)hydroxy) チェック
KEGG C16844
ChEBI
Gmelin参照 105
特性
化学式 HO
モル質量 17.01 g mol−1
精密質量 17.002739654 g mol-1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヒドロキシルラジカル (hydroxyl radical) はヒドロキシ基(水酸基)に対応するラジカルである。•OH と表される。

概要

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いわゆる活性酸素と呼ばれる分子種のなかでは最も反応性が高く、最も酸化力が強い。糖質タンパク質脂質などあらゆる物質と反応する。しかしその反応性の高さゆえ、通常の環境下では長時間存在することはできず、生成後は速やかに消滅する。

過酸化水素への紫外線の照射や、酸性条件で過酸化水素と2価鉄化合物触媒的に反応させる方法(フェントン反応)によって生成される。

生体への影響

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ミトコンドリア内部や細胞内において、フェントン反応により生成するヒドロキシルラジカルは、ミトコンドリア機能障害、細胞障害を誘発し、パーキンソン病認知症などの難病の原因物質として知られる。[要出典]

製品への応用

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OHラジカルは「イオン空気清浄機[1]」に応用され、シャーププラズマクラスター[2][3]パナソニックナノイー[4][5]ダイキン工業「ストリーマ」[6][7]などの商標で製品化されており、それらの各社が空気中の除菌など有害物質除去に有効であると主張している[8]。また、その効果が一部認められたとする検証動画もある[9]

これに対し『日経クロステック』は2012年、「OHラジカルには効果がなく、同時に発生するオゾンによる効果である」という主張を掲載した[10]

また東京都2015年に商品テストを実施し、消費生活総合サイト「東京くらしWEB」にテストの結果を掲載し、その中で「性能について消費者に過度な期待を持たせるような広告表示をしていたり、オゾン発生濃度が過剰で安全性に問題のある商品がある[1]」「機種によってはオゾンが過剰に発生し、などの粘膜に刺激を与えるものがある[1]」と指摘した[1]

•OH捕捉剤

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生体にてヒドロキシルラジカルを捕捉する抗酸化物質の一覧[11]

脚注

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  1. ^ a b c d 商品テスト結果「イオン式空気清浄機の性能及び安全性」”. 東京都の消費生活総合サイト「東京くらしWEB」. 東京都生活文化スポーツ局消費生活部 (2015年1月19日). 2025年1月3日閲覧。
  2. ^ プラズマクラスター ブランドサイト”. シャープ. 2025年1月3日閲覧。
  3. ^ プラズマクラスター技術 -「プラズマクラスターの仕組み」法人のお客様へ (BtoB)”. シャープ. 2025年1月3日閲覧。
  4. ^ ナノイーX・ナノイー”. パナソニック. 2025年1月3日閲覧。
  5. ^ ナノイー - 「ナノイー」の特長”. パナソニック. 2016年11月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月17日閲覧。
  6. ^ ダイキンの空気の技術 - ストリーマ技術”. ダイキン工業. 2025年1月3日閲覧。
  7. ^ ストリーマ技術 - 有害物質分解のメカニズム”. ダイキン工業. 2016年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月20日閲覧。
  8. ^ 革新的なテクノロジー - SterilizAir”. 未来科学株式会社. 2025年1月3日閲覧。
  9. ^ 空間除菌は意味あるの?1週間パンにカビを生えさせないことができるか?【検証】Possibility science challenge - YouTube 市岡元気チャンネル「GENKI LABO」、2021年3月12日、2025年1月3日閲覧。
  10. ^ 大森敏行(日経エレクトロニクス) (2012年12月18日). “プラズマクラスターやナノイー自体にはほとんど殺菌効果がないことが明らかに”. 日経クロステック. 日経BP. 2025年1月3日閲覧。
  11. ^ 大阪武雄、日本化学会『活性酸素』丸善、1999年、27頁。ISBN 4-621-04634-9 
  12. ^ M, Dole (1975年10月10日). “Hyperbaric Hydrogen Therapy: A Possible Treatment for Cancer” (英語). Science (New York, N.Y.). 2020年6月8日閲覧。

関連項目

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