コンテンツにスキップ

K2-24

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
K2-24
星座 さそり座[1]
見かけの等級 (mv) 11.068±0.110[2]
分類 恒星
位置
元期:J2000
赤経 (RA, α)  16h 10m 17.6977s[3]
赤緯 (Dec, δ) −24° 59′ 25.261″[3]
視線速度 (Rv) 1.18(32) km/s[3]
固有運動 (μ) 赤経: −59.891(21) ミリ秒/[3]
赤緯: −58.702(14) ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 5.8273 ± 0.0169ミリ秒[3]
(誤差0.3%)
距離 560 ± 2 光年[注 1]
(171.6 ± 0.5 パーセク[注 1]
軌道要素と性質
惑星の数 2 (+1?)
物理的性質
半径 1.185 ± 0.011 R[4]
質量 1.041+0.017
−0.016
M[4]
表面重力 (logg) 4.48 ± 0.03[4]
自転速度 < 2 km/s[4]
スペクトル分類 G3V[5]
有効温度 (Teff) 5,726 ± 65 K[4]
金属量[Fe/H] 0.41 ± 0.05[4]
年齢 49 ± 17 億年[4]
他のカタログでの名称
EPIC 203771098TYC 6784-837-12MASS J16101770-2459251[6]
Template (ノート 解説) ■Project

K2-24EPIC 203771098としても知られている)は、地球からさそり座の方向に約560光年 (170 pc)離れた位置に存在する太陽よりも質量半径がやや大きい、金属が豊富なスペクトル分類 G3V 型の主系列星である。トランジットを起こすことが知られている2個の太陽系外惑星がこの恒星の周囲を公転していることが知られている[5]W・M・ケック天文台補償光学イメージングを使用して K2-24 の伴星を検出する試みは否定的であったが[5]チリラ・シヤ天文台にある口径 1.54 m 望遠鏡でラッキーイメージングを使用した後の観測では、K2-24 から3.8秒角の距離で伴星の可能性がある天体が検出された。しかし、この候補天体は K2-24 よりも8等級以上暗く、色温度が 5,400 K であり、重力で結合された主系列星の伴星と考えるには矛盾している[7]

惑星系

[編集]
予測される水素ヘリウムの大気(紫色)と岩石の核(茶色)からなるK2-24bとcの構成

2016年、Erik A. Petiguraとそのチームは、ケプラー宇宙望遠鏡の延長ミッションである「K2」におけるキャンペーン2期間の観測中に得られたデータを分析し、周囲を2つの惑星を公転しているの発見と確認を報告した[5]。これらの惑星は K2-24bK2-24c と呼称されている。惑星の存在を示す信号は、Andrew Vanderburg とその共同研究者らによる研究チームによっても独立して検出された[8]

この2つの惑星は、共に天王星土星の間である地球の5.6倍と7.5倍の半径を持っており、この範囲の大きさを持つ惑星は太陽系内には存在しない。両者の公転周期は20.9日と42.4日で、これは2:1の平均運動共鳴の状態から誤差 1% 以内の比である。軌道の離心率が低いこと、そしてほぼ平均運動共鳴の状態にあるという状況は、惑星系の形成と進化に関する証拠を提供し、これらの惑星が原始惑星系円盤と重力的に相互作用を起こしていた可能性があることを示唆している。地球の約15倍の質量を持つ K2-24c の方が半径は大きいが、地球の19倍の質量を持つ K2-24b よりも質量が小さい。K2-24b の大気はその質量の 26% 、K2-24c の大気は 52% を占めると推定されている。現行のへの物質の降着の理論モデルでは、惑星の質量のうち約 50% を大気が占めるようになると暴走的な降着が発生するはずであると予測している。これにより、K2-24c はそのような理論モデルに対する潜在的な課題をもたらしている[9]

2018年には、W・M・ケック天文台に搭載されているHIRES分光器によるドップラー分光法での視線速度変化の観測から、K2-24c のさらに外側を公転する3番目の惑星に起因している可能性がある信号が暫定的に検出されていたが[9]2024年にこの惑星候補 K2-24d が別の研究チームによる分析でも確認できたと公表された。存在を確定させるために行われる検証が実施されていないため、依然として惑星候補という位置付けではあるが、質量は地球の54倍、公転周期は約470日であると推定されている[4]

K2-24の惑星[9][4]
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
b 19.0+2.2
−2.1
 M
0.1673+0.0034
−0.0056
20.88977+0.00034
−0.00035
0.06±0.01 89.63 ± 0.25° 5.638+0.065
−0.061
 R
c 16.4+1.3
−0.2
 M
0.262+0.014
−0.011
42.3391 ± 0.0012 < 0.05 [10] 89.44+0.15
−0.11
°
7.93+0.12
−0.13
 R
d (候補) 54+9
−4
M
469+10
−15
0

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

[編集]
  1. ^ Roman, Nancy G. (1987). “Identification of a Constellation From a Position”. Publications of the Astronomical Society of the Pacific 99 (617): 695–699. Bibcode1987PASP...99..695R. doi:10.1086/132034.  Vizier query form
  2. ^ Henden, A. A. et al. (2016). “VizieR Online Data Catalog: AAVSO Photometric All Sky Survey (APASS) DR9 (Henden+, 2016)”. VizieR On-line Data Catalog: II/336. Originally Published in: 2015AAS...22533616H 2336. Bibcode2016yCat.2336....0H.  Vizier catalog entry
  3. ^ a b c d e f Brown, A. G. A. (2021). “Gaia Early Data Release 3: Summary of the contents and survey properties”. アストロノミー・アンド・アストロフィジックス 649: A1. arXiv:2012.01533. Bibcode2021A&A...649A...1G. doi:10.1051/0004-6361/202039657. 
  4. ^ a b c d e f g h i Nascimbeni, V.; Borsato, L.; Leonardi, P.; et al. (16 September 2024). "The K2-24 planetary system revisited by CHEOPS". arXiv:2409.02995v1 [astro-ph.EP]。
  5. ^ a b c d Petigura, Erik A. et al. (2016). “Two Transiting Low Density Sub-Saturns from K2”. The Astrophysical Journal 818 (1): 36. arXiv:1511.04497. Bibcode2016ApJ...818...36P. doi:10.3847/0004-637X/818/1/36. 
  6. ^ "K2-24". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2019年9月27日閲覧
  7. ^ Evans, D. F. et al. (2018). “High-resolution Imaging of Transiting Extrasolar Planetary systems (HITEP). II. Lucky Imaging results from 2015 and 2016”. Astronomy and Astrophysics 610: A20. arXiv:1709.07476. Bibcode2018A&A...610A..20E. doi:10.1051/0004-6361/201731855. https://www.aanda.org/articles/aa/full_html/2018/02/aa31855-17/aa31855-17.html. 
  8. ^ Vanderburg, Andrew et al. (2016). “Planetary Candidates from the First Year of the K2 Mission”. The Astrophysical Journal Supplement Series 222 (1): 14. arXiv:1511.07820. Bibcode2016ApJS..222...14V. doi:10.3847/0067-0049/222/1/14. 
  9. ^ a b c Petigura, Erik A. et al. (2018). “Dynamics and Formation of the Near-resonant K2-24 System: Insights from Transit-timing Variations and Radial Velocities”. The Astronomical Journal 156 (3): 89. arXiv:1806.08959. Bibcode2018AJ....156...89P. doi:10.3847/1538-3881/aaceac. 
  10. ^ Antoniadou, Kyriaki I.; Libert, Anne-Sophie (23 June 2020). “Exploiting periodic orbits as dynamical clues for Kepler and K2 systems”. Astronomy & Astrophysics 640: A55. arXiv:2006.12895. Bibcode2020A&A...640A..55A. doi:10.1051/0004-6361/202037779. 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]