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日立レール (イタリア)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
AnsaldoBreda T-68から転送)

日立レールHitachi Rail S.p.A.)は、大量輸送用の車両を制作するイタリアの企業。2015年平成27年)2月に日立製作所フィンメッカニカから買収したアンサルドブレーダ AnsaldoBreda S.p.A. )が前身[1]。イギリスに拠点を置く日立レール・リミテッド(Hitachi Rail Ltd.)の子会社で[注 1]日立レールイタリア(Hitachi Rail Italy S.p.A.)への改名を経て、2019年4月1日付で現在の社名に変更した[5]

概要

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日立製作所傘下で、鉄道車両の機械部品車体台車)や電車電装品(整流器インバータモーター、操作機器)と電気設備の製作と企画を行っている。設計思想はアンサルドブレーダ時代のものを継承している。

車両の操作と車載電子機器に特化したアンサルド・トラスポルティと、鉄道機材の分野で世界的なブレーダ・コストゥルツィオーニ・フェッロヴィアリエとの合併[6]により成立した。

ナポリをはじめ、ピストイアレッジョ・ディ・カラブリアパレルモに事業所がある。

製品

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タイプ8
マサチューセッツ湾交通局への納入車両
LRV2
サンフランシスコ市営鉄道への納入車両
モロッコ鉄道ONCFへの納入車両TAF Z2M
トレニタリア向け『ロック』
台北捷運環状線電車

イタリア内外に対し、E402英語版ETR500TAF英語版シリオ[7]など、多くの鉄道車両を製作した。

イタリア以外では、北米鉄道事業者からの受注にも力を入れている。ブレダ社時代の1990年代中期頃、マサチューセッツ湾交通局ボストン)及びサンフランシスコ市営鉄道サンフランシスコ)からボーイング・バートル社製LRV車両(USSLRV)の老朽代替車両を受注した。これら2都市に対してはその後2000年代まで継続して多数のLRV車両を納入している。

またロサンゼルス郡都市圏交通局(MTA)向け地下鉄電車(レッドラインとブルーライン)およびLRTゴールドラインの製造にも携わっている。なお、この地下鉄電車も1993年当時からの旧ブレダ社時代に建造されており、車両ドアステップにはアンサルド社との合併以前旧称ロゴマークの「BREDA」が刻印されている。

都市高速鉄道(地下鉄、メトロ)向けにはアンサルドブレーダ時代から無人自動運転対応のドライバーレス・メトロを擁し、日立買収後も受け継がれている。

主な受注案件

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アンサルドブレーダ時代

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日立レールイタリア時代

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日立レールS.p.A時代

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  • 2019年
    • トレニタリア向けフレッチャロッサ1000(ETR400)の増備分、14編成112両を引き続きボンバルディアと共同受注。この他、これら車両の10年間の保守サービスも契約[11]
  • 2020年
    • トリノ市電英語版向け路面電車車両70編成[12]
    • ボンバルディアと共同でILSA社(トレニタリアとスペインのエア・ノストラムが設立した)から23編成184両のフレッチャロッサ1000を受注[13]。日立の受注額は受注総額のうち約6割[14]
  • 2023年
    • トレニタリア社から30編成240両のフレッチャロッサ1000を受注。また今後の需要にあわせて、10編成を追加納入する契約も締結[15]

関連項目

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脚注

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註釈

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  1. ^ イギリス法人の当初の社名は日立レール・ヨーロッパ(Hitachi Rail Europe Ltd.)で[2][3]、イタリア法人と同日付で改名している[4]

出典

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  1. ^ 「日立」に完敗した中国「鉄道ビジネス」 海外各地でつまずき…メキシコでは「契約破棄」、タイでは「金利高い」 - (2015.5.13 06:00版/2016年2月18日閲覧)
  2. ^ 英国 East Midlands Railway 向け鉄道車両リース事業への参画”. ジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブ株式会社 (2019年8月19日). 2020年1月25日閲覧。
  3. ^ 日立の新型列車、「デザインの本場」で通用する? 日本とイタリアの技術者が協力して誕生”. 東洋経済オンライン (2019年7月2日). 2020年1月25日閲覧。
  4. ^ 日立 会社概要 2019-2020”. 日立製作所. p. 4. 2020年1月26日閲覧。
  5. ^ 第150回定時株主総会インターネット開示事項”. 日立製作所. p. 12 (2019年5月31日). 2020年1月25日閲覧。
  6. ^ 合併以前の代表作として、日本の名鉄パノラマカー小田急ロマンスカーNSE車などに影響を与えた展望電車セッテベッロ」がある。
  7. ^ 橋爪 智之 (2015年11月7日). “日立が失敗続きの伊鉄道会社を買収したワケ”. 東洋経済. 2024年2月7日閲覧。
  8. ^ (英語)Taipei Circular Line driverless train unveiled”. レールウェイ・ガゼット・インターナショナル (2016年8月31日). 2020年1月25日閲覧。
  9. ^ 日立、台湾で鉄道プロジェクト受注 総事業費1100億円”. 日本経済新聞 (2016年6月21日). 2020年1月25日閲覧。
  10. ^ 日立、イタリアで鉄道車両380億円受注 最大で総額3000億円に”. 日本経済新聞 (2016年6月29日). 2020年1月25日閲覧。
  11. ^ 日立製作所、伊高速鉄道車両受注 総額700億円”. 日本経済新聞 (2019年6月5日). 2019年8月10日閲覧。
  12. ^ “日立が路面電車70編成受注 イタリアの鉄道会社”. 産経新聞社. (2020年5月18日). https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200518/mcb2005181106016-n1.htm 
  13. ^ “日立、2020年自由化のスペイン高速鉄道向け車両を共同受注”. 日本貿易振興機構. (2020年8月19日). https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/08/6cbb2bcbb07fbdbb.html 
  14. ^ “日立、スペイン高速鉄道向け車両を600億円で受注”. 日本経済新聞. (2020年8月12日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62550200S0A810C2XA0000/ 
  15. ^ “日立、イタリアで高速鉄道車両受注 1400億円”. 日本経済新聞. (2023年11月13日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC138M90T11C23A1000000/ 

外部リンク

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