Alone in the Dark (2024年のコンピュータゲーム)
『Alone in the Dark』(アローン・イン・ザ・ダーク)は、日本で2024年3月20日に発売されたサバイバルホラーゲームであり、1992年に発売された初代『アローン・イン・ザ・ダーク』のリメイク版となる[1]。対応プラットフォームはPlayStation 5、Windows (Steam)、Xbox Series X/S。開発はPieces Interactive、発売はTHQ Nordicが担当する。
内容
[編集]エドワード・カーンビーとエミリー・ハートウッドのいずれかを操作して屋敷を探索する点はオリジナル版と同じだが、本作におけるデルセトは個人邸宅ではなく精神病院として設定されており、ジェレミー・ハートウッドはそこに入院中の患者という設定である[2]。物語の導入部では、エミリーのもとに奇妙な手紙が届き、ジェレミーの安否を確認すべく、エドワードと2人でデルセトに向かう様子が描かれている[2]。また、精神病院という舞台設定上、オリジナル版よりも登場人物の人数が多く[3]、その中には『アローン・イン・ザ・ダーク2』に登場したグレース・ソーンダースと同姓同名の人物も含まれている[2]。
さらに、オリジナル版では屋敷のみで物語が完結していたのに対し、本作では屋敷と異世界を往復する内容となっている[2]。屋敷にある部屋を出ると森の中などに転移する演出が発生する[2]。転移先は後からメモなどで推測することができる[2]。
本作の特徴の一つとして、同じ場面でも主人公によって内容が変化することが挙げられ、これにより、それぞれのキャラクターの背景や物語の全貌が見えてくる仕掛けとなっている[2]。
オリジナルの固定カメラアングルから三人称視点のカメラアングルに変更されている。これは近年の『バイオハザード』などのリメイク版と同じ形式である。
登場人物
[編集]- エドワード・カーンビー
- エミリー・ハートウッド
- 声:ブリドカットセーラ恵美[4]
- ジェレミー・ハートウッド
開発
[編集]THQ Nordicのミヒャエル・ペックらは、新しいゲームを探し求める中で、『アローン・イン・ザ・ダーク』の新作を作ろうと思い立ち、2019年の後半から開発を始めた[5]。THQ Nordicは、リメイクにあたり可能な限りオリジナル版に携わったスタッフに参加してもらうという方針を立てていたが、『アローン・イン・ザ・ダーク』のオリジナル版は30年ほど前に発売されたため、当時のスタッフを集めるのは容易ではなく、ディレクターのフレデリック・レナールほか、オリジナル版のスタッフの一部のみにとどまった[5]。一方、開発を引き受けたPieces Interactiveのミハイル・ヘドベルクは、オリジナル版への敬意からなるべくかけ離れないようにしたと、「gamescom 2022」におけるファミ通とのインタビューの中で語っており、自分のゲームになりすぎないようにすることにも注意を払ったと述べている[6]。
一般的なホラーゲームのように単に歩き回るだけではプレイヤーが退屈することから、緊張感のあるゲームプレイにすることが意識された[5]。また、ホラーゲームでは常に怖いものが現れてキャラクターが悲鳴を上げるという印象が強いのに対し、本作においては雰囲気で怖さを演出する方針が取られた[5]。物語においては「メンタルヘルス」(心の健康)がテーマに据えられ、現実とそれ以外の境界のあいまいさも緊張感を与えるスパイスとなった[5]。また、オリジナル版の物語は、サバイバルホラーとしてはありがちで先が読めてしまうということも、この要素を加えた理由の一つだった[6]。
なお、Pieces Interactiveは2024年6月に閉鎖されており、本作が最後の作品となった[7]。
販売
[編集]本作は元々2023年10月25日に発売される予定だったが、2024年1月16日に変更された[8]。品質向上に加え、同じ時期に発売が予定されていた『Alan Wake 2』と『Marvel’s Spider-Man 2』との競合を避けるためである[8]。
さらにその後2024年3月20日に変更され[9]、最終的にはこの日に発売された[1]。
評価
[編集]ライターの仁志睦は「Gamer」に寄せたレビュー記事の中で、予測不能な事態の連続に困惑したと述べ、このような展開の連続が先の読めない恐怖と緊張感を生み、同作ならではの魅力と評している[2]。また、仁志は主人公によって同じ場面でも内容が異なる点を評価している[2]。
ライターの小林白菜は、「ファミ通」に寄せた記事の中で、単なる洋館肝試しにとどまらない作品であると評しており、難易度変更機能も相まって、難易度調整も絶妙だったとも述べている[3]。また、小林は舞台となるデルセトが精神病院ではあるものの、物語のモチーフはクトゥルフ神話など様々であり、特定の疾患に対する偏見は感じなかったと述べている[3]。
脚注
[編集]註釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b 福山幸司 (2024年3月20日). “『アローン・イン・ザ・ダーク』リメイク版が発売開始。3Dサバイバルホラーゲームの礎を築いた1992年の作品が現代に蘇る。高評価SFホラー『SOMA』を手掛けたライターがシナリオを担当”. 電ファミニコゲーマー. マレ. 2024年7月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年2月9日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “予測不能の展開が恐怖を生み出す――往年の名作ホラーをリブートした「Alone in the Dark」をレビュー”. Gamer (2024年3月19日). 2025年1月30日閲覧。
- ^ a b c “『アローン・イン・ザ・ダーク』レビュー。探索・謎解き多め、アクションちょっと少なめ、ジャンプスケアは“ほとんどない”、クラシカルかつ上質なサバイバルホラー”. ファミ通.com (2024年3月20日). 2025年1月30日閲覧。
- ^ “『アローン・イン・ザ・ダーク』大阪コミコン2024にてトークショーが開催。声優のブリドカットセーラ恵美と野水伊織がホラー作品の魅力を語り尽くす”. ファミ通.com. 2025年1月30日閲覧。
- ^ a b c d e “『アローン・イン・ザ・ダーク』開発者に聞く。緊張感に満ち溢れたゲームプレイを目指した“オリジナルへのラブレター”【TGS2022】”. ファミ通.com (2022年9月20日). 2025年1月30日閲覧。
- ^ a b “『アローン・イン・ザ・ダーク』は日本が大好きなディレクターが、怖さ以上の何かがある本作の魅力を引き継ぐべくチャレンジした【gamescom 2022】”. ファミ通.com (2022年8月29日). 2025年1月30日閲覧。
- ^ おこめ (2024年6月17日). “新生“Alone in the Dark”を手掛けた「Pieces Interactive」が閉鎖”. doope!. 2025年2月9日閲覧。
- ^ a b Ishikawa, Toru (2023年9月5日). “サバイバルホラー『Alone in the Dark』2024年1月16日へと発売延期。人気作との被りを回避をしつつ、プレイ体験向上を図る”. AUTOMATON. 2025年2月9日閲覧。
- ^ “『アローン・イン・ザ・ダーク』の発売日が2024年3月20日に再延期。期待を超える素晴らしい体験を提供するにはさらなる時間が必要と判断したため”. ファミ通.com (2023年12月8日). 2025年2月9日閲覧。
外部リンク
[編集]- Alone in the Dark(アローン・イン・ザ・ダーク) - THQ Nordic Japan
- ファミ通による特設ページ