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ハルドゥ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Adina cordifoliaから転送)
ハルドゥ
ハルドゥ
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク上群 superasterids
階級なし : キク類 asterids
階級なし : asterids I
: リンドウ目 Gentianales
: アカネ科 Rubiaceae
亜科 : キナノキ亜科 Cinchonoideae
: タニワタリノキ連 Naucleeae
: タニワタリノキ属 Adina
: ハルドゥ A. cordifola
学名
Adina cordifolia (Roxb.) Brandis[1][注 1]
シノニム
英名
yellow teak、saffron teak など

ハルドゥ[2](haldu; ヒンディー語: हलदूラテン文字転写: haladū; 学名: Adina cordifoliaシノニム: Haldina cordifolia など)とは、アカネ科樹木の一種である。インドスリランカ東南アジアなどに分布する(参照: #分布)。本種の特徴は丸みのあるハート形の葉と、球状の見た目をなす腋生の花である(参照: #特徴)。様々な用途のある木材が得られる(参照: #利用)。

分類

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参考: タニワタリノキ(Adina pilulifera

最初は1796年にナウクレア属英語版Nauclea cordifolia として新種記載される[7]が、1870年代前半になるとタニワタリノキ属Adina)に分類され[8]、さらに1978年にはコリン・リズデイルスペイン語版がタニワタリノキ属[注 5]との形態的な差異を根拠にハルドゥ1種のみのために新属 Haldina を設けた[9]。正名はリズデイルによる Haldina cordifolia とする場合[10]と100年以上の歴史を有する Adina cordifolia とされる場合[1]とに分かれる。ただ、Haldina属の独立性に関しては2014年に発表された研究で否定的な見解が出されている(詳細はヘツカニガキ#分類を参照)[11]

なお、日本にはタニワタリノキ属であるタニワタリノキAdina pilulifera; シノニム: A. globiflora)が九州南部に自生しているが、#特徴で後述するようにハルドゥの葉が丸みを帯びたハート形であるのに対し、タニワタリノキの葉は披針形である[12][注 6]

分布

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スリランカインドから東南アジア東アジアにかけて分布する[4]

生態

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インドアラーヴァリー山脈では時々清流沿いで見られ8月から12月にかけてが花期で、2月から3月の間に実がなる[6]。またタミルナードゥ州中央部においては山麓や1200(1400)メートル以下の地帯に見られる[4]

特徴

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落葉中高木で[2]、樹高は3-10メートル[6]だが20(30)メートルにまでなる場合もある[4]。幹は地表から数メートルは分枝しない[4]。樹皮は灰褐色、雲斑状にはがれ落ち[2]厚さ4センチメートル[4]、若い部分には微毛が見られる[6]板根が存在する[14]

葉は対生[2]革質[6]、心臓形から(ほぼ)円形、12-17×14-20センチメートル[4]、先端が先鋭形[15]、全縁で表面は無毛となるが裏面は灰色で微毛が見られ[6]托葉は葉質である[4]葉柄は長さ3-7センチメートルで微毛がある[6]

花は腋生[6]葉腋から長さ2.5-10センチメートルの花梗が1-4本伸び[16]、5部位に分かれる球状の頭花で乳白色[4]あるいは黄色で径1.8-2.5(場合によっては3[4])センチメートル[16]ドングリ殻斗状で不明瞭だが5稜あって5裂し[4]、その萼片は基部まで裂け、外側が毛に覆われる[6]花冠は乳白色で径3.5ミリメートル、漏斗状で5裂し[4]、微毛が見られる[6]雄蕊(おしべ)は5本で(ほぼ)突出している[4]柱頭は頭状で[15]花柱はかなり突出しており[6]子房は(ほぼ)先端が切られた形で2室、胚珠は3-5個が頂生胎座上に付き[4]、下垂する形となる[15]

果実は蒴果で倒円錐形、微毛があり[6]、密になり、割れて2つの小乾果となる[4]。種子は長楕円形で翼があり[2]、微毛が見られ茶色っぽい色である[6]

利用

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ハルドゥからは木材が得られる。材の色は新鮮なうちは淡黄色から黄色であるが、やがて黄褐色から帯黄褐色となる[5]。木目は細かく滑らかかつ繊維質で、建材板張り箪笥銃床[14]帆柱家具彫刻刳形(モールディング)、曲げ木、屋内造作農具糸巻定規などに用いられてきた[2]が、湿気に対しては弱い[14]比重は0.64-0.70で加工しやすく、美しい光沢があり、耐久性は高めである[2]

諸言語における呼称

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スリランカ:

  • シンハラ語: කොළොම් (koḷom)、කොළොං (koḷoṃ)、කදඹ (kadamba)、දීප්තා (dīptā)、තරුණාද්‍රි (taruṇādri)、ධූලිකදම්බ (dhūlikadamba)、ෂට්පදේෂ්ට (ṣaṭpadēṣṭa)、කදඹක (kadambaka)[18] - kalon[2] や kolong[14] のラテン文字表記で記録している資料が存在する。

インド:

インドおよびバングラデシュ:

ビルマ:

タイ:

カンボジア:

ベトナム:

脚注

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注釈

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  1. ^ a b c いずれも同じ文献 Forest Fl. N.W. India 263 1874 に基づいてタニワタリノキ属Adina)に分類されたものであり、Govaerts (2019) はこれを正名としている。
  2. ^ 文献情報は Gen. Pl. 2: 30. 1873。
  3. ^ 文献情報は Pl. Coromandel 1: 49 1796。
  4. ^ 文献情報は Pl. Cor. 1: 40. t. 53. 1796。
  5. ^ ここでは Adina dissimilis CraibタニワタリノキAdina pilulifera (Lam.) Franch. ex Drake)、シマタニワタリノキAdina rubella Hance)の3種のみを指す。
  6. ^ 牧野はタニワタリノキの正名を Nauclea orientalis L.、そのシノニムを Adina globiflora Salisb. としているが、Govaerts (2019) は両者は互いに無関係としている。熱帯植物研究会 (1996:426) はインドシナフィリピンインドネシアニューギニアに分布する Nauclea orientalis に「バンカル」(フィリピン: bangkal)、後に Govaerts (2019) により N. orientalis のシノニムとして扱われるようになるモルッカス(モルッカ諸島)原産の Nauclea undulata Roxb. に「チーズウッド」(パプアニューギニアオーストラリア英語: cheese wood)や「ヤエヤマアオキ」という呼称をあてているが、ヤエヤマアオキというと今度はアカネ科の別種 Morinda citrifolia の標準和名となってしまう[13]

出典

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  1. ^ a b c d e Govaerts (2019).
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 熱帯植物研究会 (1996).
  3. ^ a b c d e The Plant List (2013).
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Matthew (1995:235).
  5. ^ a b 堀田 (1989).
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n Otaghvari et al. (2015:150).
  7. ^ Roxburgh, William (1798). Plants of the Coast of Coromandel; selected from drawings and descriptions presented to the hon. court of directors of the East India Company. 1. London. pp. 40, t. 53 
  8. ^ Stewart, J. Lindsay; Brandis, Dietrich (1874). The Forest Flora of North-West and Central India: A Handbook of the Indigenous Trees and Shrubs of those Countries. London: Wm. H. Allen & Co.. p. 263. https://www.biodiversitylibrary.org/page/37405618 
  9. ^ Ridsdale, C.E. (1978). “A revision of the tribe Naucleeae s.l. (Rubiaceae)”. Blumea 24 (2): 361. https://repository.naturalis.nl/pub/524828. 
  10. ^ World Flora Online, http://www.worldfloraonline.org/, 23 May 2019
  11. ^ Löfstrand, Stefan. D.; Krüger, Åsa; Razafimandimbison, Sylvain G.; Bremer, Birgitta (2014). “Phylogeny and Generic Delimitations in the Sister Tribes Hymenodictyeae and Naucleeae (Rubiaceae)”. Systematic Botany 39 (1): 304–315. doi:10.1600/036364414X678116. 
  12. ^ 牧野 (1940).
  13. ^ 米倉・梶田 (2003-).
  14. ^ a b c d e f g h Beddome (1869).
  15. ^ a b c Matthew (1995:230).
  16. ^ a b c d Bhutya (2011).
  17. ^ Wilkes (1819:610).
  18. ^ Clough (1892:101, 137, 272, 643, 791, 795).
  19. ^ இராமையா & சந்திரசேகரன் (2004:53).
  20. ^ a b Quattrocchi (2012).
  21. ^ 古賀・高橋 (2006).
  22. ^ 大野 (2000).
  23. ^ อุดม รุ่งเรืองศรี (2004).
  24. ^ Khmer Dictionary: ខ្វាវ. 2019年5月26日閲覧。
  25. ^ 坂本 (1991).
  26. ^ Viện điều tra qui hoạch rừng (1995:104, 106).

参考文献

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英語:

タミル語:

日本語:

タイ語:

ベトナム語:

関連項目

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