ARDミュンヘン国際音楽コンクール
ARDミュンヘン国際音楽コンクール(アーエルデー[注釈 1] ミュンヘンこくさいおんがくコンクール、ドイツ語: Internationaler Musikwettbewerb der ARD)は、ドイツ公共放送連盟(ARD)主催で毎年ミュンヘンで行われている国際音楽コンクール[注釈 2]。
概要
[編集]ARDミュンヘン国際音楽コンクールは1952年に第1回が開催され、2024年で73回目を迎えた[2]。世界の権威ある国際コンクールの中でも、歴史と伝統のある難関なコンクールとして知られている。
第1回目はピアノ部門のみで開催されたが、1953年の第2回目以降はピアノ、ピアノ・デュオ、ヴァイオリン・ピアノ・デュオ、ヴァイオリン、木管楽器、金管楽器、打楽器、声楽等から、4~7部門を設定して行われている。
同コンクールの管楽器と打楽器部門はジュネーヴ国際音楽コンクールと並んで最高の権威を持っており、入賞者からはハインツ・ホリガー、ペーター=ルーカス・グラーフ、カール・ライスター、クラウス・トゥーネマン、ヘルマン・バウマン、モーリス・アンドレ、ブラニミール・スローカー、ラデク・バボラーク、ペーター・ザドロ、吉原すみれなど、世界的な演奏家を輩出している。
過去の優勝者などについては、公式ウェブサイトに掲載されている[3][注釈 3]。
日本人の歴代第1位優勝者
[編集]- 1970年 東京クヮルテット (弦楽四重奏部門)
- 1980年 田中淑恵 (声楽部門)
- 1983年 伊藤恵 (ピアノ部門)
- 1984年 久保田巧 (ヴァイオリン部門)
- 1997年 清水直子 (ヴィオラ部門)
- 2005年 岡崎慶輔 (ヴァイオリン部門)
- 2018年 葵トリオ (ピアノ三重奏部門)[注釈 4]
- 2019年 佐藤晴真 (チェロ部門)
- 2021年 岡本誠司 (ヴァイオリン部門)
ヴァイオリン部門歴代入賞者
[編集]2005年には日本人が1位と2位を占めて話題となったヴァイオリン部門は、1953年から2021年まで延べ21回開催され、1958年から入賞順位がつけられるようになった。1958年以降の開催数は19回になるが、その歴代入賞者の中で、1位受賞者は日本人3名、ポーランド人2名、韓国人1名のわずかに6名であり、殆どの年が1位なしの2位、3位である。かつてのヴァイオリン部門は、なかなか1位が出ない特に難関な部門であったが、コンクールそのものの方針転換により審査の厳格性は大幅に緩くなった。
- 1953年
- 順位なし ミシェル・ブシノー (Michèle Boussinot) (フランス)
- 順位なし イゴール・オジム(ユーゴスラビア)
- 順位なし エディト・パイネマン (Edith Peinemann)(西ドイツ)
- 1956年
- 順位なし テッサ・ロビンス(Tessa Robbins) (イギリス)
- 1958年
- 第1位 なし
- 第2位 オスカー・ヤッコ(フィリピン)
- 1961年
- 第1位 なし
- 第2位 志田とみ子(日本)
- 第2位 ヨッシ・ツィヴォーニ (イスラエル)
- 第3位 ゲルハルト・ヘッツェル(西ドイツ)
- 1966年
- 第1位 コンスタンティ・クルカ (ポーランド)
- 第2位 イザベラ・ペトロシアン(Изабелла Петросян) (ソ連)
- 第3位 ユーリー・マズルケヴィッチ(Jurij Mazurkevic) (ソ連)
- 1969年
- 1972年
- 第1位 なし
- 第2位 ニラ・ピエロ (スウェーデン)
- 第3位 エルンスト・コヴァチッチ (オーストリア)
- 1975年
- 第1位 なし
- 第2位 ドラ・シュヴァルツベルク (イスラエル)
- 第3位 カヤ・ダンチョフスカ (ポーランド)
- 第3位 ウジェーヌ・サルブ (ルーマニア)
- 1978年
- 第1位 なし
- 第2位 キム・ヘギョン(Hae-Kyoung Kim) (韓国)
- 第3位 オリヴィエ・シャルリエ(フランス)
- 第3位 イリーナ・ツェイトリン(Irina Tseitlin) (無国籍)
- 1981年
- 第1位 なし
- 第2位 グウェン・ホービグ (カナダ)
- 第3位 フローリアン・ゾンライトナー(Florian Sonnleitner) (西ドイツ)
- 1984年
- 第1位 久保田巧(日本)
- 第2位 クリスチャン・テツラフ(西ドイツ)
- 第3位 ペーター・マツカ(Peter Matzka) (アメリカ)
- 1988年
- 第1位 なし
- 第2位 イ・ミギョン (韓国)
- 第3位 ソニグ・チャケリアン (イタリア)
- 1992年
- 第1位 なし
- 第2位 エツェツ・オフェル(Erez Ofer) (イスラエル)
- 第3位 パーヴェル・シュポルスル (ロシア)
- 第3位 スコット・セント・ジョン (カナダ)
- 1995年
- 第1位 ピョートル・プラヴネル (ポーランド)
- 第2位 ベティナ・グラディンガー(Bettina Gradinger) (オーストリア)
- 1999年
- 第1位 なし
- 第2位 ファン・ビン(Bin Huang) (中国)
- 第3位 アンドレイ・ヴィエロフ(Andrey Bielov) (ウクライナ)
- 第3位 フランチェスコ・マナラ (イタリア)
- 2001年
- 第1位 なし
- 第2位 アネッテ・フォン・ヘーン(Annette von Hehn) (ドイツ)
- 第3位 ヤメイ・ユ (ドイツ)
- 第3位 カン・ミンジュン(Min-Jung KANG) (韓国)
- 2005年
- 2009年
- 第1位 パク・ヘヨン(Hye-yoon PARK) (韓国)
- 第2位 白井圭 (日本)【聴衆賞】
- 第3位 リリー・フランシス(Lily Francis) (アメリカ)
- 特別賞 セルゲイ・ドガディン(ロシア)
- 2013年
- 2017年
- 第1位 なし
- 第2位 サラ・クリスティアン(Sarah Christian) (ドイツ)、アンドレア・オビソ(Andrea Obiso)(イタリア)
- 第3位 クリスティーン・バラナス(ラトビア)
- 2021年
- 第1位 岡本誠司(日本)
- 第2位 ドミトリー・スミルノフ(Dmitry Smirnov)(ロシア)
- 第3位 アレクサンドラ・ティルシュ(Alexandra Tirsu)(モルドバ/ルーマニア)【聴衆賞】
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 「ARD」『デジタル大辞泉』小学館 。コトバンクより2025年3月10日閲覧。“ARD(ドイツ語)の日本語訳、読み方は”. コトバンク. 『プログレッシブ 独和辞典』小学館. 2025年3月10日閲覧。
- ^ “73. Internationaler Musikwettbewerb der ARD 2024” (ドイツ語). ARD Mediathek. 2025年3月2日閲覧。
- ^ “All Laureats(受賞者)” (英語). ARD International Music Competition Munich. 2025年3月2日閲覧。