5フィート3インチ軌間

5フィート3インチ軌間（1600 mm軌間^{[注記 1]}）は、広軌の一種であり、オーストラリア、ブラジルとアイルランドの鉄道で採用されている。

歴史

紀元前600年: ギリシャのコリントス地峡を横切るディオルコス（Δίολκος）に掘られた溝の幅は、平均5フィート3インチ（1600 mm）であった^[1]

1840年: バーデン大公国邦有鉄道は、5フィート3インチの軌間の鉄道を建設したが、1854年から1855年にかけて4フィート8+1⁄2インチの軌間（後の標準軌）に改軌された。

1843年: イギリスの商務庁は、アイルランドの軌間の乱立によって引き起こされる紛争を調査し、アイルランドでは、5フィート3インチの軌間の鉄道を推奨した。

1846年: 鉄道ゲージ法により、アイルランド全土では、この軌間のみとされた^[2]。

1847年: スイス・ノーザン鉄道が開業したが、1854年に標準軌に改軌された。

1854年: オーストラリアで、5フィート3インチ軌間の鉄道が初めて開業した。その鉄道は、メルボルン・アンド・ホブソンズベイ鉄道会社であった。

1858年: ブラジルで、5フィート3インチ軌間の鉄道が初めて開通した。その鉄道は、ドン・ペドロ2世鉄道会社（Companhia de Estrada de Ferro Dom Pedro II）であった。

1863年: ニュージーランドのカンタベリー地方鉄道が5フィート3インチ軌間で建設され、1876年に3フィート6インチに改軌された。

名称

アイルランドとイギリスでは、この軌間はアイルランド軌間と呼ばれている^[3]^[4]（アイルランド語: leithead Éireannach）^[5]。アイルランドでは、島内で建設された3フィート軌間の鉄道に対して標準軌と呼ばれることもある。
ブラジルでは、この軌間は主に広軌（ポルトガル語: bitola larga）と呼ばれている

導入例

国/地域	鉄道
オーストラリア	→詳細は「en:Rail transport in South Australia」および「en:Rail transport in Victoria」を参照南オーストラリア州、ビクトリア州、ニューサウスウェールズ州とタスマニア州（デロレイン - ローンセストン間の1路線。1871年に開業し、その後、部分的にデュアルゲージに、そして1888年に3フィート6インチ（1067 mm）に改軌された）ビクトリア州からニューサウスウェールズ州内を走行する125 kmのオークランド鉄道線は、2009年に標準軌に改軌された。木製の枕木であったため改軌の工事は比較的容易であった。 200 kmの北東線は、2008〜2011年に標準軌に改軌された。つまり、セイモアとオルベリーの間に複線の標準軌が建設された。現在のオーストラリアの1600mm軌間の鉄道網は4017 kmで、オーストラリアの全鉄道網の10％である。
ブラジル	→詳細は「ブラジルの鉄道」を参照リオデジャネイロ、サンパウロ、ミナスジェライスを結ぶ路線;パラー州とマラニョン州にあるカラジャス鉄道。マットグロッソ州とマットグロッソ・ド・スル州にある北ブラジル鉄道。開業時期が早かった一部の都市交通鉄道。現在のブラジルの1600mm軌間の鉄道網は4057 kmで、ブラジルの全鉄道網の15％である。
ドイツ	バーデン大公国邦有鉄道 1840年–1855年 ^[6]
スイス	スイス・ノーザン鉄道（1847年〜1854年）。1854年に標準軌に改軌
アイルランド	→詳細は「en:Rail transport in Ireland」を参照現在の鉄道網は2400 kmである^[7]。
ニュージーランド	カンタベリー地方鉄道（1863年〜1876年）。1876年に3フィート6インチ（1067 mm）に改軌
イギリス	→「en:Rail transport in Ireland」も参照北アイルランド鉄道 - 鉄道網の路線長は現在330 km

脚注

^ Lewis, M. J. T. (2001), “Railways in the Greek and Roman world”, in Guy, A.; Rees, J. (pdf), Early Railways. A Selection of Papers from the First International Early Railways Conference, pp. 8–19 (10–15), オリジナルの2010-03-12時点におけるアーカイブ。
^ “ODDS AND ENDS.”. Colonial Times (Hobart, Tas.: National Library of Australia): p. 4. (24 March 1846) 21 August 2012閲覧。
^ Michael Barry, Patrick Sammon (英語). Dublin's Strangest Tales. Pavilion Books. p. 74. ISBN 9781909396449
^ Mike W. Harry (2008) (英語). Cast Into the Unknown. Little Red Apple Publishing. p. 30. ISBN 9781875329670 2020年6月30日閲覧。
^ “Pota Focal - leithead”. Pota Focal. 10 April 2018閲覧。
^ Rieger, Bernhard (2006年4月23日). “Breitspurbahn”. 2007年11月29日閲覧。
^ “Infrastructure”. Irish Rail. 2013年5月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年5月3日閲覧。

注記

^ 1フィート (ft) = 304.8 mm,1インチ (in) =25.4 mm, 5フィート3インチ=5×304.8＋3×25.4≒1600 mm

[2] Lewis, M. J. T. (2001), “Railways in the Greek and Roman world”, in Guy, A.; Rees, J. (pdf), Early Railways. A Selection of Papers from the First International Early Railways Conference, pp. 8–19 (10–15), オリジナルの2010-03-12時点におけるアーカイブ。

[3] “ODDS AND ENDS.”. Colonial Times (Hobart, Tas.: National Library of Australia): p. 4. (24 March 1846) 21 August 2012閲覧。

[4] Michael Barry, Patrick Sammon (英語). Dublin's Strangest Tales. Pavilion Books. p. 74. ISBN 9781909396449

[5] Mike W. Harry (2008) (英語). Cast Into the Unknown. Little Red Apple Publishing. p. 30. ISBN 9781875329670 2020年6月30日閲覧。

[6] “Pota Focal - leithead”. Pota Focal. 10 April 2018閲覧。

[breitspurbahn-7] Rieger, Bernhard (2006年4月23日). “Breitspurbahn”. 2007年11月29日閲覧。

[8] “Infrastructure”. Irish Rail. 2013年5月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年5月3日閲覧。

[1] 1フィート (ft) = 304.8 mm,1インチ (in) =25.4 mm, 5フィート3インチ=5×304.8＋3×25.4≒1600 mm

[注記 1]

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