1958年の日本シリーズ

1958年の日本シリーズ
ゲームデータ
日本一 西鉄ライオンズ 3年連続3回目 4勝3敗
試合日程	1958年10月11日-10月21日
最高殊勲選手	稲尾和久
敢闘賞選手	藤田元司
チームデータ
西鉄ライオンズ(パ)
監督	三原脩
シーズン成績	78勝47敗5分 （シーズン1位）
読売ジャイアンツ(セ)
監督	水原円裕
シーズン成績	77勝52敗1分 （シーズン1位）
日本シリーズ « 1957 1959 »

1958年の日本シリーズ（1958ねんのにっぽんシリーズ、1958ねんのにほんシリーズ）は、1958年10月11日から10月21日まで行われたセントラル・リーグ優勝チームの読売ジャイアンツ（巨人）とパシフィック・リーグ優勝チームの西鉄ライオンズ（西鉄）による第9回プロ野球日本選手権シリーズである。

概要

三原脩監督率いる西鉄と水原円裕監督率いる巨人の3年連続の対決となった。

西鉄はペナントレースで最大11ゲーム差を逆転したが、オールスター以降17勝1敗と大車輪の活躍を見せたエース稲尾和久がシリーズ直前に原因不明の高熱に襲われる。稲尾はフラフラの状態で第1戦に先発するも巨人打線に捕まり、チームもそのまま3連敗を喫し、絶体絶命のピンチを迎える。ところが10月14日夜半から翌日昼前まで降り続いた雨が、シリーズの流れを激変させる。打線では中軸を担う中西太に当たりが戻る。稲尾は第4戦以降、西鉄のエースとして文字通り「獅子奮迅」の活躍を見せ、西鉄がワールドシリーズでも前例のない3連敗からの4連勝で、逆転日本一を達成。7試合中6試合に登板し（うち4試合完投）、西鉄の4勝すべてを挙げるなど数々のシリーズ記録を打ち立てた稲尾が優勝の原動力となり、地元の新聞が「神様、仏様、稲尾様」との見出しを掲げた。このコピーはその後稲尾の代名詞となっていった。この日本一により西鉄は「日本プロ野球12球団初代・王者」となった。

なお、3連勝の後に4連敗という屈辱を味わった巨人は、この31年後に全く同じことを成し遂げている。

試合結果

1958年 日本シリーズ

日付	試合	ビジター球団（先攻）	スコア	ホーム球団（後攻）	開催球場
10月11日（土）	第1戦	西鉄ライオンズ	2 - 9	読売ジャイアンツ	後楽園球場
10月12日（日）	第2戦	西鉄ライオンズ	3 - 7	読売ジャイアンツ
10月13日（月）	移動日
10月14日（火）	第3戦	読売ジャイアンツ	1 - 0	西鉄ライオンズ	平和台球場
10月15日（水）	第4戦	雨天中止
10月16日（木）		読売ジャイアンツ	4 - 6	西鉄ライオンズ
10月17日（金）	第5戦	読売ジャイアンツ	3 - 4	西鉄ライオンズ
10月18日（土）	移動日
10月19日（日）	第6戦	雨天中止			後楽園球場
10月20日（月）		西鉄ライオンズ	2 - 0	読売ジャイアンツ
10月21日（火）	第7戦	西鉄ライオンズ	6 - 1	読売ジャイアンツ
優勝：西鉄ライオンズ（3年連続3回目）

第1戦

10月11日・後楽園球場（入場者数：35,217人）

	1	2	3	4	5	6	7	8	9	R	H	E
西鉄	0	0	0	0	1	0	0	0	1	2	6	1
巨人	1	0	1	1	0	0	6	0	X	9	16	0

1. 西：稲尾（4回）、島原（2回）、河村（0回0/3）、若生（1回）、畑（1回）
2. 巨：藤田（4回2/3）、大友（4回1/3）
3. 勝利：大友（1勝）  
4. 敗戦：稲尾（1敗）  
5. 本塁打
   西：豊田1号ソロ（5回・藤田）
   巨：広岡1号ソロ（3回・稲尾）、長嶋1号2ラン（7回・河村）
6. 審判
   ［球審］島
   ［塁審］横沢三・津田・上田
   ［外審］円城寺・浜崎
7. 試合時間：3時間2分

西鉄 打順 守備 選手 1 [中]右 玉造陽二 投 畑隆幸 打 荻孝雄 2 [遊] 豊田泰光 3 [右]一右 大下弘 4 [三]一 中西太 5 [左] 関口清治 6 [二] 小淵泰輔 二 仰木彬 打 田中久寿男 三 城戸則文 7 [一] 河野昭修 投 河村久文 投 若生忠男 二 滝内弥瑞生 8 [捕] 和田博実 9 [投] 稲尾和久 打 花井悠 投 島原幸雄 打中 高倉照幸

巨人 打順 守備 選手 1 [遊] 広岡達朗 2 [中] 坂崎一彦 中 岩本堯 3 [左] 与那嶺要 4 [三] 長嶋茂雄 5 [捕] 藤尾茂 6 [一] 川上哲治 打 難波昭二郎 一 岩下守道 7 [右] 宮本敏雄 8 [二] 土屋正孝 9 [投] 藤田元司 投 大友工

公式記録関係（日本野球機構ページ）

第2戦

10月12日・後楽園球場（入場者数：35,953人）

	1	2	3	4	5	6	7	8	9	R	H	E
西鉄	0	0	1	0	0	0	0	2	0	3	5	0
巨人	7	0	0	0	0	0	0	0	X	7	7	1

1. 西：島原（0回0/3）、畑（2回0/3）、西村（5回）、河村（1回）
2. 巨：堀内（9回）
3. 勝利：堀内（1勝）  
4. 敗戦：島原（1敗）  
5. 本塁打
   西：豊田2号2ラン（8回・堀内）
   
6. 審判
   ［球審］二出川
   ［塁審］円城寺・横沢三・筒井
   ［外審］上田・津田
7. 試合時間：2時間21分

西鉄 打順 守備 選手 1 [中] 高倉照幸 2 [遊] 豊田泰光 3 [右] 大下弘 4 [三] 中西太 5 [左] 関口清治 6 [一] 田中久寿男 7 [二] 滝内弥瑞生 打 花井悠 二 小淵泰輔 8 [捕] 和田博実 捕 日比野武 打 玉造陽二 捕 田辺義三 9 [投] 島原幸雄 投 畑隆幸 投 西村貞朗 打 城戸則文 投 河村久文

巨人 打順 守備 選手 1 [遊] 広岡達朗 2 [中] 坂崎一彦 中 岩本堯 3 [左] 与那嶺要 4 [三] 長嶋茂雄 5 [捕] 藤尾茂 6 [一] 川上哲治 7 [二] 土屋正孝 8 [右] 宮本敏雄 9 [投] 堀内庄

公式記録関係（日本野球機構ページ）

第3戦

10月14日・平和台野球場（入場者数：31,575人）

	1	2	3	4	5	6	7	8	9	R	H	E
巨人	0	0	1	0	0	0	0	0	0	1	3	0
西鉄	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	4	0

1. 巨：藤田（9回）
2. 西：稲尾（9回）
3. 勝利：藤田（1勝）  
4. 敗戦：稲尾（2敗）  
5. 審判
   ［球審］筒井
   ［塁審］二出川・円城寺・浜崎
   ［外審］島・上田
6. 試合時間：2時間

巨人 打順 守備 選手 1 [遊] 広岡達朗 2 [中] 坂崎一彦 中 岩本堯 3 [左] 与那嶺要 4 [三] 長嶋茂雄 5 [捕] 藤尾茂 6 [一] 川上哲治 7 [二] 土屋正孝 8 [右] 宮本敏雄 9 [投] 藤田元司

西鉄 打順 守備 選手 1 [中] 高倉照幸 2 [遊] 豊田泰光 走 荻孝雄 3 [三] 中西太 4 [右] 大下弘 5 [左] 関口清治 一 田中久寿男 6 [一] 河野昭修 打左 玉造陽二 7 [投] 稲尾和久 8 [捕] 和田博実 9 [二] 仰木彬 打 花井悠 二 滝内弥瑞生 打 日比野武 二 小淵泰輔

先発投手は第1戦と同じ顔合わせ。巨人は3回に広岡の右翼線タイムリー三塁打で先制。虎の子の1点を藤田が守り切り、4安打完封勝利。稲尾は4回以後わずか1安打に抑えたが、1球に泣く形となった。巨人が3連勝で日本一に王手をかけた。

公式記録関係（日本野球機構ページ）

第4戦

10月16日・平和台野球場（入場者数：27,044人）

	1	2	3	4	5	6	7	8	9	R	H	E
巨人	2	1	0	0	0	0	1	0	0	4	10	0
西鉄	0	3	0	0	1	1	1	0	X	6	8	1

1. 巨：大友（1回1/3）、藤田（4回2/3）、義原（2回）
2. 西：稲尾（9回）
3. 勝利：稲尾（1勝2敗）  
4. 敗戦：藤田（1勝1敗）  
5. 本塁打
   巨：広岡2号ソロ（7回・稲尾）
   西：豊田3号ソロ（5回・藤田）、豊田4号ソロ（7回・義原）
6. 審判
   ［球審］横沢三
   ［塁審］津田・上田・島
   ［外審］浜崎・筒井
7. 試合時間：2時間17分

巨人 打順 守備 選手 1 [遊] 広岡達朗 2 [中] 坂崎一彦 3 [左] 与那嶺要 4 [三] 長嶋茂雄 5 [捕] 藤尾茂 6 [一] 川上哲治 7 [二] 土屋正孝 8 [右] 宮本敏雄 9 [投] 大友工 投 藤田元司 投 義原武敏 打 国松彰

西鉄 打順 守備 選手 1 [中] 高倉照幸 2 [左] 玉造陽二 二 小淵泰輔 二 滝内弥瑞生 3 [遊] 豊田泰光 4 [三] 中西太 5 [右] 大下弘 6 [一] 田中久寿男 一 河野昭修 7 [二] 仰木彬 捕 日比野武 8 [捕] 和田博実 打 花井悠 打左 関口清治 9 [投] 稲尾和久

公式記録関係（日本野球機構ページ）

第5戦

10月17日・平和台野球場（入場者数：25,193人）

	1	2	3	4	5	6	7	8	9	10	R	H	E
巨人	3	0	0	0	0	0	0	0	0	0	3	5	0
西鉄	0	0	0	0	0	0	2	0	1	1x	4	6	0

1. （延長10回）
2. 巨：堀内（8回0/3）、藤田（1回）、大友（0回1/3）
3. 西：西村（0回0/3）、島原（3回）、稲尾（7回）
4. 勝利：稲尾（2勝2敗）  
5. 敗戦：大友（1勝1敗）  
6. 本塁打
   巨：与那嶺1号3ラン（1回・西村）
   西：中西1号2ラン（7回・堀内）、稲尾1号ソロ（10回・大友）
7. 審判
   ［球審］円城寺
   ［塁審］上田・筒井・二出川
   ［外審］津田・浜崎
8. 試合時間：2時間34分

巨人 打順 守備 選手 1 [遊] 広岡達朗 2 [中] 坂崎一彦 中 岩本堯 3 [左] 与那嶺要 4 [三] 長嶋茂雄 5 [捕] 藤尾茂 6 [一] 川上哲治 7 [二] 土屋正孝 8 [右] 宮本敏雄 9 [投] 堀内庄 投 藤田元司 打 国松彰 投 大友工

西鉄 打順 守備 選手 1 [中] 高倉照幸 2 [右] 玉造陽二 打右 花井悠 二 小淵泰輔 走二 滝内弥瑞生 3 [遊] 豊田泰光 4 [三] 中西太 5 [左] 関口清治 6 [一] 田中久寿男 7 [捕] 日比野武 打 河野昭修 捕 和田博実 打 田辺義三 8 [投] 西村貞朗 投 島原幸雄 打 城戸則文 投 稲尾和久 9 [二] 仰木彬 打右 大下弘

公式記録関係（日本野球機構ページ）

第6戦

10月20日・後楽園球場（入場者数：31,745人）

	1	2	3	4	5	6	7	8	9	R	H	E
西鉄	2	0	0	0	0	0	0	0	0	2	5	2
巨人	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	3	2

1. 西：稲尾（9回）
2. 巨：藤田（9回）
3. 勝利：稲尾（3勝2敗）  
4. 敗戦：藤田（1勝2敗）  
5. 本塁打
   西：中西2号2ラン（1回・藤田）
   
6. 審判
   ［球審］浜崎
   ［塁審］筒井・二出川・円城寺
   ［外審］横沢三・津田
7. 試合時間：2時間3分

西鉄 打順 守備 選手 1 [中] 高倉照幸 2 [右] 花井悠 右 玉造陽二 3 [遊] 豊田泰光 4 [三] 中西太 5 [左] 関口清治 6 [一] 田中久寿男 一 河野昭修 7 [二] 仰木彬 8 [捕] 日比野武 9 [投] 稲尾和久

巨人 打順 守備 選手 1 [遊] 広岡達朗 2 [二] 土屋正孝 3 [左] 与那嶺要 4 [三] 長嶋茂雄 5 [捕] 藤尾茂 6 [一] 川上哲治 7 [右] 坂崎一彦 走 藤本伸 右 宮本敏雄 8 [中] 岩本堯 9 [投] 藤田元司 打 十時啓視

公式記録関係（日本野球機構ページ）

第7戦

10月21日・後楽園球場（入場者数：20,961人）

	1	2	3	4	5	6	7	8	9	R	H	E
西鉄	3	0	0	0	2	0	0	1	0	6	11	1
巨人	0	0	0	0	0	0	0	0	1	1	6	3

1. 西：稲尾（9回）
2. 巨：堀内（0回1/3）、藤田（4回2/3）、義原（3回）、大友（1回）
3. 勝利：稲尾（4勝2敗）  
4. 敗戦：堀内（1勝1敗）  
5. 本塁打
   西：中西3号3ラン（1回・堀内）
   巨：長嶋2号ソロ（9回・稲尾）
6. 審判
   ［球審］島
   ［塁審］横沢三・津田・上田
   ［外審］円城寺・浜崎
7. 試合時間：2時間23分

西鉄 打順 守備 選手 1 [中] 高倉照幸 2 [右] 花井悠 右 玉造陽二 打右 大下弘 3 [遊] 豊田泰光 4 [三] 中西太 5 [左] 関口清治 6 [一] 田中久寿男 一 河野昭修 7 [二] 仰木彬 8 [捕] 日比野武 9 [投] 稲尾和久

巨人 打順 守備 選手 1 [遊] 広岡達朗 2 [二] 土屋正孝 3 [左] 与那嶺要 4 [三] 長嶋茂雄 5 [捕] 藤尾茂 6 [一] 川上哲治 7 [右] 坂崎一彦 右 宮本敏雄 8 [中] 岩本堯 9 [投] 堀内庄 投 藤田元司 打 難波昭二郎 投 義原武敏 打 国松彰 投 大友工

公式記録関係（日本野球機構ページ）

表彰選手

• 最優秀選手賞、最優秀投手賞：稲尾和久（西鉄）　※このシリーズの稲尾は数々のシリーズ記録を打ち立てた。現在も破られていない主な記録は次のとおり。
  • シリーズ登板試合数 6 （タイ記録あり）
  • シリーズ投球イニング数 47
  • シリーズ完投数 4 （タイ記録あり）
  • シリーズ勝利数 4 （タイ記録あり）
  • シリーズ奪三振数 32
  • シリーズ被安打数 30
  • シリーズ連続イニング無失点 26
• 敢闘賞：藤田元司（巨人）
• 優秀選手賞：中西太（西鉄）
• 首位打者賞：豊田泰光（西鉄）
• 技能賞：川上哲治（巨人）

テレビ・ラジオ中継

テレビ中継

• 第1戦:10月11日
  • 日本テレビ 解説：中澤不二雄、深見安博、岩本義行
• 第2戦:10月12日　
  • NHK総合テレビ 解説：石本秀一
  • 日本テレビ 実況：越智正典 解説：中澤不二雄、南村侑広
• 第3戦:10月14日
  • NHK総合テレビ 解説：小西得郎
  • RKB毎日放送≪KRテレビ（ラジオ東京系列）≫ 実況：榎本猛 解説：大和球士、武末悉昌 ゲスト解説：別所毅彦（巨人）
  • テレビ西日本≪日本テレビ系列≫ 解説：中澤不二雄
• 第4戦:10月16日　
  • NHK総合テレビ 実況：岡田実 解説：小西得郎
  • RKB毎日放送≪KRテレビ系列≫ 実況：小坂秀二（ラジオ東京） 解説：大和球士、武末悉昌 ゲスト解説：別所毅彦
  • テレビ西日本≪日本テレビ系列≫ 解説：中澤不二雄、深見安博
• 第5戦:10月17日
  • NHK総合テレビ 実況：志村正順 解説：小西得郎
  • RKB毎日放送≪KRテレビ系列≫ 解説：大和球士、武末悉昌 ゲスト解説：別所毅彦　
  • テレビ西日本≪日本テレビ系列≫ 実況：越智正典 解説：中澤不二雄、深見安博
• 第6戦:10月20日
  • NHK総合テレビ 解説：石本秀一
  • 日本テレビ 解説：南村侑広
• 第7戦:10月21日
  • NHK総合テレビ 実況：野瀬四郎 解説：石本秀一
  • 日本テレビ 実況：越智正典 解説：中澤不二雄

• この年から在福岡民放放送局によるシリーズ中継が始まった。

ラジオ中継

• 第1戦:10月11日
  • NHKラジオ第2 実況：志村正順 解説：小西得郎
  • ラジオ東京 実況：小坂秀二 解説：大和球士
  • ニッポン放送 実況：楠山克己 解説：楠安夫
• 第2戦:10月12日　
  • NHKラジオ第2 実況：岡田実 解説：小西得郎
• 第3戦:10月14日
  • NHKラジオ第2 実況：岡田実 解説：石本秀一
• 第4戦:10月16日　
  • NHKラジオ第2 実況：志村正順 解説：石本秀一
• 第5戦:10月17日
  • NHKラジオ第2 実況：岡田実 解説：石本秀一
• 第6戦:10月20日
  • NHKラジオ第2 実況：岡田実 解説：小西得郎
• 第7戦:10月21日
  • NHKラジオ第2 実況：志村正順 解説：小西得郎

外部リンク

• NPB公式記録 - NPB.JP 日本野球機構