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1,4-ジオキサン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1,4-ジオキサン
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識別情報
CAS登録番号 123-91-1 チェック
ChemSpider 29015 チェック
EC番号 204-661-8
KEGG C14440 チェック
ChEMBL CHEMBL453716 チェック
特性
化学式 C4H8O2
モル質量 88.11 g mol−1
密度 1.033 g/mL
融点

11.8 °C, 285 K, 53 °F

沸点

101.1 °C, 374 K, 214 °F

への溶解度 混和性
熱化学
標準生成熱 ΔfHo -354 kJ/mol
標準燃焼熱 ΔcHo -2363 kJ/mol
標準モルエントロピー So 196.6 J·K–1·mol–1
危険性
EU分類 Flammable (F)
Carc. Cat. 3
Irritant (Xn)
NFPA 704
3
2
1
Rフレーズ R11 R19 R36/37 R40 R66
Sフレーズ S2 S9 S16 S36/37 S46
引火点 12 °C
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

1,4-ジオキサン (1,4-dioxane) は、常圧常温において無色透明の液体の有機化合物である。分子式は C4H8O2 である。ジエチルエーテルの臭気を弱くしたような臭気を持ち、非プロトン性溶媒としてよく用いられる。構造異性体1,2-ジオキサン1,3-ジオキサンがある。

1,4-ジオキサンはエーテル類に分類され、2つの酸素原子の両方がエーテル基を形成している。4つの炭素原子と1つの酸素原子を有するジエチルエーテルより極性が高い。このためジエチルエーテルはに溶けにくい一方、1,4-ジオキサンは水と混合しやすく、吸湿性もある。有機溶媒としてしばしば用いられる他、塩素系溶剤の安定化剤としても用いられることがある[1]。しかしグリニャール反応では、シュレンク平衡を不活性側に偏らせてしまうため、ほとんど用いられない。また重水を用いたNMRでは、化学シフトの内部基準物質としても用いられる。

なおダイオキシン (dioxin) も2つのエーテル基を有するが、ジオキサン (dioxane) とは全く特性の異なる化合物である。

安全性

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長期間空気に晒しておくと、他のエーテル類と同じく爆発性の過酸化物を生成する[2]。ジオキサンを蒸留すると、これらの過酸化物が濃縮されて危険なことがあるため予め注意しておくべきである。可燃性液体であり、日本では消防法により危険物第4類(第一石油類)に指定されている。またPRTR法第1種指定化学物質でもある。更に後述されているがんリスクにより、労働安全衛生法第二類物質特別有機溶剤等にも指定されている。

環境中では分解しにくく、除去も困難であるとされている[1]。動物に対する急性毒性が認められており[1]、ヒトに対しても刺激性や、脳・腎臓・肝臓へ障害が起きる可能性があると考えられている[2]国際がん研究機関 (IARC) により、グループ2B(ヒトに対する発癌性が疑われる)に分類されている物質である。

脚注

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関連項目

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