頂端分裂組織

基本構造
[編集]- 分裂細胞
細胞分裂を盛んに行う細胞で、頂端分裂組織のもっとも外側に位置する[1]。
- 始原細胞
分裂活性の低い未分化な細胞[1]。
シュート頂分裂組織の中心にあり、分裂細胞の分裂を抑制している[1]。
根端分裂組織の中心にあり、分裂組織の分裂を抑制している[1]。
シュート頂分裂組織
[編集]シュートの先端(シュート頂)にあり、茎の伸長、葉の形成を担っているのがシュート頂分裂組織(茎頂分裂組織)である[2]。
根端分裂組織
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根の先端にあり、根端に覆われ、根の伸長を担っているのが根端分裂組織である[2]。
頂端分裂組織の形成
[編集]球状胚期の胚は胚球と胚柄という2つの細胞群によって構成されている。発生が進むと胚球でオーキシンが作られるようになる。オーキシンは球状胚後期になるとPINタンパク質の局在の影響で、胚球から胚柄へと極性移動する。これによって、心臓胚期になると、先端側の中央部のオーキシン濃度が低下する。これにより頂端分裂組織への分化が始まる。シュート頂分裂組織はオーキシン低濃度の部分から分化し、根端分裂組織はオーキシン高濃度の部分から分化する。魚雷胚期になると、シュート頂分裂組織、シュート、根、根端分裂組織の四つに完全に分化し、胚柄は退化・消失する。そして、シュート頂分裂組織は幼芽を形成する [1]。
分化後の組織
[編集]頂端分裂組織は以下のような組織に分化し、その後、各組織へと分化していく[2]。
- 前表皮(proderm)
表皮系に分化する部分であり、やがて表皮細胞や孔辺細胞、毛、根毛を形成する[2]。
- 基本分裂組織(ground meristem、fundamental meristem)
基本組織系に分化する部分であり、やがて皮層や葉肉を形成する。多くは柔組織に分化するが、厚角組織や厚壁組織などの機械組織も分化する[2]。
- 前形成層(procambium)
維管束系に分化する部分であり、やがて木部や篩部が分化する。根では内皮より内側の基本組織も前形成層から生じる[2]。