音響パワー

音響パワー（英: sound power）とは、物体により放出/吸収される音響エネルギの出力、またはある有限の検査面を通過する音波による音響エネルギー移送の強度であり、いずれもパワーすなわち仕事率である。SI単位は[W]（ワット＝[J/s]）。音源から放出される量については「音声パワー」とされることがある。ある検査面を通って伝わるベクトル量についていうときは音響エネルギー束（音エネルギー流束、英: sound energy flux）と呼び、音響エネルギー束の大きさは音響パワーである。

物理的にはエネルギーの時間微分であるが、実務上は、ある時間についてやりとりされるのエネルギーをその時間で除した値とされる。

音響パワーW [W] は音響インテンシティ（音の強さ） I を有限の検査面について積算した量であり、

$W=\int _{S}IdS$

で定義され、音源を取り囲む閉曲面を通過する音響パワーを音響出力と呼ぶ。

音響パワーは、音響インテンシティと同様、音圧 p[Pa] と粒子速度 v[m/s] から得る場合がある。

$W=\int (p{\vec {v}})\cdot \mathrm {d} {\vec {A}}$

密度 ρ の媒質中の平面波または球面波について、伝播速度 v、面積 A、実効音圧 p ときの音響パワー W は、次式で与えられる。

W = (p²A / ρ v) cos θ

ここで、θ は音の伝播方向と検査面のなす角度であり、伝播方向に直交する検査面のときに cosθ=1。

例えば、常温の空気中（ρ=1.2kg/m²,v=343m/s ）にて85デシベルすなわち0.356パスカルの音の音響パワーは、単位面積 A=1m² あたりに 0.3 mW となる。

音響パワーレベル

音響パワーの対数尺度であり、すなわち与えられる基準値の比の対数。通常、対数の底を10とした常用対数を10倍デシベル [dB]を単位として表す。特に指定のない限り、基準値となる音響パワーは 1 pW（＝10^-12 [W]）である。

関連項目

• 音圧
• 音圧レベル
• 音の強さ
• 放射束