野崎六助
小説家、文芸評論家。東京都品川区生まれ。京都府立桃山高等学校卒業。コック、大工など多数の職を経る。1992年、『北米探偵小説論』で第45回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)受賞。推理小説、推理小説評論を主に書く。日本推理作家協会会員[1]。
(のざき ろくすけ、1947年11月9日 -)は、日本の著書
[編集]- 『幻視するバリケード 復員文学論』田畑書店 1984
- 『獣たちに故郷はいらない』田畑書店 1985
- 『亡命者帰らず 天皇テロル子供たち』彩流社 1986
- 『空中ブランコに乗る子供たち ポストモダンの若者学』時事通信社 1988
- 『野崎六助映画論集 アクロス・ザ・ボーダーライン』批評社 1991
- 『北米探偵小説論』青豹書房 青豹選書 1991 のち双葉文庫
- 『エイリアン・ネイションの子供たち』新宿書房 1992
- 『幻灯島、西へ』現代企画室 1994
- 『殺人パラドックス』講談社ノベルス 1994
- 『夕焼け探偵帖』講談社 1994
- 『李珍宇ノオト 死刑にされた在日朝鮮人』三一書房 1994
- 『アメリカン・ミステリの時代 終末の世界像を読む』日本放送出版協会 NHKブックス 1995
- 『ドリームチャイルド』学習研究社 学研ホラーノベルズ 1995
- 『花火の夜には人が死ぬ』講談社ノベルス 1995
- 『ラップ・シティ』早川書房 ハヤカワ・ミステリワールド 1995
- 『大藪春彦伝説 遥かなる野獣の挽歌』ビレッジセンター出版局 1996
- 『物語の国境は越えられるか 戦後・アメリカ・在日』解放出版社 1996
- 『臨海処刑都市』ビレッジセンター出版局 1996
- 『異常心理小説大全』早川書房 1997
- 『これがミステリガイドだ!』毎日新聞社 1997
- 『世紀末ミステリ完全攻略』ビレッジセンター出版局 1997
- 『超・真・贋』講談社 1997
- 『謎解き『大菩薩峠』』解放出版社 1997
- 『復員文学論』インパクト出版会 1997
- 『複雑系ミステリを読む』毎日新聞社 1997
- 『給食ファクトリー』日本放送出版協会 1998
- 『超絶ミステリの世界 京極夏彦読本』情報センター出版局 1998
- 『リュウズ・ウイルス 村上龍読本』毎日新聞社 1998
- 『ミステリの書き方12講』青弓社 寺子屋ブックス 1999
- 『宮部みゆきの謎 最強の女流ミステリを徹底分析する』情報センター出版局 1999
- 『煉獄回廊』新潮社 新潮ミステリー倶楽部 1999
- 『これがミステリガイドだ! 1988-2000』東京創元社 創元ライブラリ 2001
- 『前世ハンター』新潮社 2001
- 『高村薫の世界 あるいは虚無の深奥への招待』情報センター出版局 2002
- 『ミステリを書く!10のステップ』東京創元社 2002 のち創元ライブラリー
- 『アノニマス』原書房 ミステリー・リーグ 2003
- 『安吾探偵控』東京創元社 創元クライム・クラブ 2003
- 『世界の果てのカレイドスコープ 「ミステリの明日」を解読する』原書房 2003
- 『アメリカを読むミステリ100冊』毎日新聞社 2004
- 『風船爆弾を飛ばしそこねた男』原書房 ミステリー・リーグ 2004
- 『イノチガケ 安吾探偵控』東京創元社 創元クライム・クラブ 2005
- 『オモチャ箱 安吾探偵控』東京創元社 創元クライム・クラブ 2006
- 『魂と罪責 ひとつの在日朝鮮人文学論』編著 インパクト出版会 2008
- 『捕物帖の百年 歴史の光と影』彩流社 2010
- 『日本探偵小説論』水声社 2010
- 『ミステリで読む現代日本』青弓社 2011
- 『山田風太郎・降臨 忍法帖と明治伝奇小説以前』青弓社 2012
- 『異端論争の彼方へ 埴谷雄高・花田清輝・吉本隆明とその時代』インパクト出版会 2013
- 『占領を知るための10章』GHQクラブ 汎世書房 2017.5
- 『北米探偵小説論21』 インスクリプト 2020.6
- 『快楽の仏蘭西探偵小説』 (北米探偵小説論21別巻) インスクリプト 2022.11
人物および仕事
[編集]野崎六助
1947年 東京生まれ。
1960年から1978年 京都に在住。
1984年 『復員文学論』でデビュー。
1992年 『北米探偵小説論』で日本推理作家協会賞受賞。
1994年 『夕焼け探偵帖』で小説家デビュー。
1999年 小説『煉獄回廊』
2008年 『魂と罪責 ひとつの在日朝鮮人文学論』
2020年 『北米探偵小説論21』本巻
2022年 別巻『快楽の仏蘭西探偵小説』
その多岐にわたる作品活動を短い紹介文にまとめることは、困難きわまる。あえてカテゴリ分けすれば、次の六点になる。
①ミステリを主体とした小説。現時点で最高頂点をつくった『煉獄回廊』は、サイコ・サスペンスと銘打たれていた。同系列のものが並ぶかといえば…。社会派ミステリ、ハードボイルド、SFアクション、学園ホラー、時代ミステリなどなど。良くいえば多彩、普通にいえば雑多。まだ鉱脈を深く掘りあてていない「原石」だと眺めるべきであろう。
②長編ミステリ評論。『北米探偵小説論』に代表される。同傾向のもの、関連書は数多い。ミステリの個別ジャンルに限定された技術批評や研究とは対極にある方法論に貫かれている。作品を社会的・歴史的視野のもとにとらえ、かつ、一般小説など他ジャンルとの共時性に注目して論考を組みたてる。国内ミステリをあつかっても、基本的には同じ方法論が展開されている。
③境界線上にある文芸評論。『謎解き大菩薩峠』『魂と罪責 ひとつの在日朝鮮人文学論』『異端論争の彼方へ』などが、この範疇になる。これも一般的な文芸評論とはかけ離れている印象を与えるだろう。文学史というあまり有り難くないカテゴリに流れやすいこともあり、今のところ、著者のなかでは主力をそそぎにくい方向だ。
④ブックガイド・新刊書評。②や③とは、まったくの別世界として、著者が日常的に書いているジャンル。字数限定も、褒め殺し一辺倒も、あまり苦にならないようだ。あえていうなら「自分の作品」として書評コラムを成立させえている。以前のものは、何冊かにまとまっているが、最近のものは各所に分散したままだ。ホームページへの再録も、ある時点から途絶えてしまっている。
⑤社会評論。これは、若者論というジャンルに向けていた。『空中ブランコに乗る子供たち』『エイリアン・ネイションの子供たち』の二冊。二冊しかなく、継続は未定。
⑥ミステリ創作のマニュアル本。創作講座の講師業をしていた副産物。教えるためには、自前の教科書を書くことが、いちばんの近道だった。ハウツー本と割り切って書かれている。三種あるが、そのつど大幅に改稿しているので、それなりに進化の跡はみられる。「野崎六助入門書」としては最適といってもいい。
と一応は整理してみたが、これを読んだ読者の頭には、さらなる無用の混雑をもたらしてしまったかもしれない。
ともあれ、以上の六点が混淆して、複雑珍妙怪奇な六重人格を呈しているのが、野崎六助なのである。
どれから読んでも、これら多面体の複雑な紋様が刻まれているのにちがいない。拡大されたり、縮小されたりしていても、野崎六助は野崎六助なのである。ーー[野崎六助ホームページ本館]から引用
参考
[編集]- 『文藝年鑑2010』