赤信号みんなで渡れば怖くない
赤信号みんなで渡れば怖くない(あかしんごうみんなでわたればこわくない)は、集団心理を表す言葉。
もともとはお笑いコンビ ツービートのブラックなギャグであったが、のちにギャグを超えてことわざと認識されるようになったとして、三省堂国語辞典の第8版(2021年)に収録された[1][2]。
なお、書籍『ツービートのわッ毒ガスだ』ではこのギャグを「赤信号 みんなでわたればこわくない」(「赤信号」以外がすべて平仮名)と表記している[3]。
概要
[編集]禁止をされているような事柄でも、集団で行うならば心理的な抵抗も無く行うことができるようになるということ[4]。
人間が議論などをしている場合に、それが集団になったならば、よりリスクの高いような決断をしがちであるという心理があり、「赤信号みんなで渡れば怖くない」という状態になるのである。場の雰囲気に流されて極端な判断をしやすくなっているのである。現代のインターネットの匿名の掲示板などで、不特定多数の投稿によって炎上しているというのは、この言葉の表す状態である[5]。
このようになっている原因としては、集団になっているということで匿名性が高まっているというのがある。人間というのは不特定多数の中に混じれば、一個人としての責任や恥などの社会的なモラルが低下しがちなためである。少数の人間が互いの顔が見える場での発言となれば誰が言ったということが特定できるために慎重になる。対してインターネットで多くの人が発言する場では、普段は行われないような過激な発言でも、言っても良いだろうと思って無責任にされるようになるのである[6]。
幼い頃からこのようなことをしてはいけないとしつけられ、このようなことをするのに恥ずかしさと後ろめたさを持っているような人でも、他の人がこのようなことをしていて、しかもそれが正当化されているならば、「赤信号みんなで渡れば怖くない」という心理が働き、他の人がこのようなことをしているというのを口実として、自らも心理的な抵抗を無しにこのようなことをするようになるのである。この場合にはその行動を行っているのが大勢であり手厳しいほど心理的な抵抗が小さくなっていくのである[7]。
「赤信号みんなで渡れば怖くない」というのは、日本人の国民性を表した言葉でもある。日本人というのは、みんながやっていたり、普通であったり、当たり前であったりするようなことに流されやすい傾向がある。日本人の相手に対しての行動を促す場合には、みんながそれを行っているということを理由として促した場合には、相手がそれを行うようになりがちである。みんなはやっているのにあなたはやらないのですかという空気を作り出したならば、やっていない自分の方がおかしいのかもしれないという心理が働きがちなのである[8]。
似たような意味のことわざに「人衆ければ天に勝つ(ひとおおければてんにかつ)」がある
脚注
[編集]- ^ 「「エモい」は「あはれ」の子孫です…命削って作った三省堂国語辞典、始まって以来の大改訂」『読売新聞』2021年12月31日。2023年7月14日閲覧。
- ^ “赤信号、みんなで渡れば?”. www.news-digest.co.uk. 2024年1月13日閲覧。
- ^ ツービート『ツービートのわッ毒ガスだ―ただ今、バカウケの本』ベストセラーズ(ワニの本)、1980年、2-3頁。
- ^ “「赤信号みんなで渡れば怖くない(あかしんごうみんなでわたればこわくない)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書”. www.weblio.jp. 2024年1月13日閲覧。
- ^ 小日向るり子. “危険な集団心理? 「リスキーシフト」の意味とは”. 「マイナビウーマン」. 2024年1月13日閲覧。
- ^ “実は怖い。「赤信号みんなで渡れば怖くない」理論(マイナビウーマン)”. LINE NEWS. 2024年1月14日閲覧。
- ^ “「なんでオレの年金がこんなに少ないんだ」年金事務所に怒鳴り込んでくる高齢者の"被害者意識"の心理構造 他人に責任転嫁する"自己正当化人間"が増えている (4ページ目)”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) (2023年2月3日). 2024年1月14日閲覧。
- ^ “【精神科医が教える】人を騙そうとする「ブラック心理術」”. ダイヤモンド・オンライン (2022年2月17日). 2024年1月14日閲覧。