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解剖学的嗅ぎタバコ入れ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
解剖学的嗅ぎタバコ入れ
手を伸展させたときの解剖学的嗅ぎタバコ入れ。黄色の箇所にあるくぼみで、画像上方と下方で腱に囲まれている。
橈骨手根関節を手背側から見た図。当画像には解剖学的タバコ入れの説明はないが右側に腱で囲まれた空所が明瞭である。
概要
動脈 橈骨動脈
静脈 橈側皮静脈
神経 橈骨神経
表記・識別
英語 anatomical snuffbox
ラテン語 fovea radialis
FMA 42329
解剖学用語

解剖学的嗅ぎタバコ入れ[1](かいぼうがくてきかぎたばこいれ、英語: anatomical snuffbox、snuffboxラテン語: foveola radialis)は手背の橈側(母指側)にある三角形状の窪みである。手根骨の背側に位置し、その中でも舟状骨および大菱形骨が底をなす。名称はこの窪みに嗅ぎタバコ(粉末状で吸い込んで使用するタバコ)を置き、摂取するのに使っていたことに由来する[2]。フランス語にちなみ、タバチエール(tabatière)と呼ばれることもある。

構造

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境界

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神経・血管の走行

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解剖学的嗅ぎタバコ入れを構成する腱の深層には橈骨動脈が通っている。橈骨動脈は脈拍の測定部位の次点として解剖学的嗅ぎタバコ入れを通過し、第1・第2中手骨近位部の間を通って浅掌動脈弓および深掌動脈弓と連絡する。そして橈骨動脈が解剖学的嗅ぎタバコ入れを通過するとき、48%で茎状突起付近にある橈骨神経浅枝と非常に近接(2mm未満)しており、更に24%で外側前腕皮神経(筋皮神経由来)とも非常に近接している[4]

また、橈側皮静脈英語版も解剖学的嗅ぎタバコ入れを通過する[2][3]。皮静脈であるため、解剖学的嗅ぎタバコ入れにおいて穿刺(注射)を行うことも可能であるが、付近に橈骨動脈も存在することから仮性動脈瘤や動脈の閉塞、血腫などが生じる恐れがあり、注意が必要である[2]

臨床的な意義

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橈骨と舟状骨は解剖学的嗅ぎタバコ入れ深層で橈骨手根関節を形成する。転んでしまい、手を広げた状態で地面についたときに起こる怪我(略称でFOOSHと呼ばれる)をすると、橈骨や舟状骨の付近に力が集中してしまうため、手首の付近では最も骨折しやすい骨となっている。解剖学的嗅ぎタバコ入れの内部に限定して痛みを感じるということが分かれば、舟状骨が骨折している可能性が高いという判断を素早く出すことができる[2]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ a b c 坂井建雄『標準解剖学』医学書院、2017年3月1日、304頁。ISBN 978-4-260-02473-0 
  2. ^ a b c d e f g h i Anatomy, Shoulder and Upper Limb, Hand Anatomical Snuff Box”. National Library of Medicine (2022年2月2日). 2023年4月14日閲覧。
  3. ^ a b c Snuff box”. Instant Anatomy. 2023年4月14日閲覧。
  4. ^ Robson, A. J.; See, M. S.; Ellis, H. (2008). “Applied anatomy of the superficial branch of the radial nerve”. Clinical Anatomy 1 (21): 38 - 45. doi:10.1002/ca.20576. ISSN 1098-2353. PMID 18092362.