コンテンツにスキップ

観測強化地域と特定観測地域

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

観測強化地域(かんそくきょうかちいき)と特定観測地域(とくていかんそくちいき)は、地震予知連絡会によって1970年に指定され、その後、一部の見直しを経て、2008年に解消されるまで存続した、地震予知に関わる観測を重点的におこなっていた地域[1]。対象地域は、過去における大地震の発生や,活断層地殻変動などの状況に加え、社会的重要性を選定基準として、選定されていた[1][2]

測地学審議会1968年7月16日建議した「第2次地震予知計画」の中で構想が示され、地震予知連絡会が1969年から対象地域の選定に入り、1970年に最初の指定をおこなった[1]。この最初の指定では、関東南部が観測強化地域に、北海道東部、秋田・山形西部、新潟県南西部/長野県北部、東海、琵琶湖周辺、阪神、島根県東部、伊予灘及び安芸灘の8地域が特定観測地域に指定された[1]。その後、駿河湾地殻歪の蓄積を示唆するデータが得られたことを踏まえ、東海地域が1974年2月に観測強化地域に変更された[1]

1978年に指定された観測強化地域と特定観測地域。

1978年には、指定地域の全面的な見直しがおこなわれ、南関東と東海の2地域が観測強化地域、北海道東部、秋田県西部・山形県西北部、宮城県東部・福島県東部、新潟県南西部・長野県北部、長野県西部・岐阜県東部、名古屋・京都・大阪・神戸地区、島根県東部、伊予灘及び日向灘周辺の8地域が特定観測地域に指定された[3]

その後、1983年や、1992年から1994年にかけて、指定地域の見直しの検討がおこなわれたが、見直しには至らず、2008年の指定解消まで1978年の指定地域が維持された[4]

各指定地域において観測が強化された具体的な内容は、地域ごとに多様なものとなっており、辺長測量水準測量体積歪計、微小地震観測、海底地震観測GPS観測、地殻変動観測、地下水観測、地球電磁気観測重力観測、潮位観測、津波計などを組み合わせる形が取られていた[5]

観測強化地域と特定観測地域は、1970年代の状況の下で、「限られた観測・研究資源」を集中的に運用することために設けられたものであった[6]。その後の地震予知技術や制度面の整備によって,地震観測網の全国的な普及が図れるようになったことを受け、観測強化地域と特定観測地域は、2008年に解消されることとなった[2][6]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e 地震予知連絡会,2009,p.20
  2. ^ a b 観測強化地域」『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』https://kotobank.jp/word/%E8%A6%B3%E6%B8%AC%E5%BC%B7%E5%8C%96%E5%9C%B0%E5%9F%9Fコトバンクより2025年2月16日閲覧 特定観測地域」『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』https://kotobank.jp/word/%E7%89%B9%E5%AE%9A%E8%A6%B3%E6%B8%AC%E5%9C%B0%E5%9F%9Fコトバンクより2025年2月16日閲覧 
  3. ^ 地震予知連絡会,2009,pp.20-21
  4. ^ 地震予知連絡会,2009,p.21
  5. ^ 地震予知連絡会,2009,p.22
  6. ^ a b 地震予知連絡会,2009,p.28

参考文献

[編集]