コンテンツにスキップ

藤井雅実

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第13回人工知能美学芸術研究会

藤井 雅実(ふじい まさみ)は、美術評論家、芸術・文化系 哲学研究者。

略歴

[編集]

1980年代、当時銀座と並んで現代美術の二大拠点だった神田地域で、画廊パレルゴンGallery Parergonを設立・運営。もの派とコンセプチュアル・アート、教条的なフォーマリズムが中心だった80年代初頭、そこに収まらない当時20代の同世代のアーティストや芸大・美大・Bゼミなどの院生や学生たちが集う拠点とする。そうした作家たちからピックアップして「現代美術の最前線展」「シンボリック・シティー」などの企画展やシンポジウムを、同画廊や各地で企画し、日本におけるポストモダン・アートの潮流としての「ニューウェイヴ」と呼ばれるムーブメントの一端を推し進めていた。当時のニューウェイヴ活動の一面は、作家たちとの五つの座談会などを含む『現代美術の最前線』(画廊パレルゴン出版、1984年)にまとめられた。

当時の活動は、2008年夏、『80年代におけるアヴァンギャルド系現代美術--画廊パレルゴンの活動を焦点として』と題されたシンポジウムで再検討された[1]

2019年、春、ロスアンゼルスで、画廊パレルゴンを参照した "PARERGON: JAPANESE ART OF THE 1980S AND 1990S"が開催。それも受け、『美術手帖』6月号、特集「80年代とはなんだったのか」において、当人へのインタビュー記事の他、ロス展キュレーター吉竹美香、批評家・筒井宏樹、椹木野衣らのテキストがパレルゴンと藤井に言及。

その後、藤井、筒井と批評家・黒瀬陽平によるトークイベントも開催された。

Bゼミ・スクール、東京ビジュアルアーツ他の講師(近代美術史、ポスト構造主義系芸術論、美学概論など)と共に、月刊美術誌『アトリエ』、社会思想誌『情況』などの編集・執筆に携わる。現代美術の他、古典美術、美学、ゲーム、フェミニズム、ファッション、ポルノグラフィ、カーデザイン、F1、AI美学など、美学的観点からの評論や論文、翻訳がある。

2016年、人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)発起人。第1回、第13回、第34回、その他、登壇。

2021年、「モザイク展2021」審査委員。 2022年、NPO法人AI愛護団体・理事、滝野川クロニクル2022企画協力。2023年「モザイク展2023」審査委員。

主な著訳書

[編集]

翻訳・解説

[編集]
  • リンダ・ニード『ヌードの反美学』(藤井麻利との共訳、青弓社)
  • アン・スニトゥ編著『ポルノと検閲』(藤井麻利との共訳、青弓社)
  • ロバート・カミング『深読みアート美術館』(監修小林頼子、他との共訳、六耀社

出典

[編集]
  • シンポジウム「80年代におけるアヴァンギャルド系現代美術」(下記、外部リンク「 web complex 2008年7月6日 現場研究会議事録」) 、及び「〈外〉への共振-哲学と芸術の限界とその〈外〉」その他、上掲書著作より。
  • 中ザワヒデキ『現代美術史日本篇1945-2014: ART HISTORY: JAPAN 1945-2014』https://artdiver.tokyo/?product=arthistoryjapan(「5b:80年代アヴァンギャルドと新表現主義」https://www.aloalo.co.jp/arthistoryjapan/5b.html
  • 坂上しのぶ「80年代考~80年代ニューウェーブをめぐって」(『所沢ビエンナーレ プレ美術展 カタログ』掲載)ウェヴ版:https://shinobusakagami.com/essay/essay-01/212/
  • 「美術批評家」絶滅危機の時代 筒井宏樹、世界における日本の80年代アートの検証 吉竹美香、「アール・ポップ」から始める─80年代の美術をめぐって 椹木野衣=文 (『美術手帖』「80年代とはなんだったのか」2019年6月号)
  • 山本 浩貴『現代美術史-欧米、日本、トランスナショナル』中央公論新社

脚注

[編集]
  1. ^ web complex 2008年7月6日 現場研究会議事録

外部リンク

[編集]
  • Facebook 藤井雅実[1]