菊池光
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菊池 光(きくち みつ、本名・武内 邦貞(たけうち くにさだ)[1]、1925年5月22日 - 2006年6月16日)は、日本の翻訳家。なお生年は、生前1919年米国ニューヨーク生まれとなっていたが、没後訂正された。
人物・来歴
[編集]1959年、日本生産性本部の通訳として滞米し、1962年帰国[1]。41歳を過ぎてから翻訳を始め、1965年、静岡商工会議所を退職、翻訳専業となる[1]。
ディック・フランシスの競馬シリーズ、ロバート・B・パーカーのスペンサー・シリーズを一人で訳した。競馬シリーズは漢字二字の邦訳題で統一され、名訳と称された。
ただし、菊池の翻訳について書評などで辛口の評価がされたことがあり、たとえば都筑道夫は『都筑道夫の読ホリデイ』で「菊池光の翻訳の会話のまずさにおどろいて、読まなくなったことがあった」と書いている。しかし、菊池の担当編集者だった戸川安宣は、菊池の前職が通訳だったことにふまえ、「語学を、文字から学ぶ人と、会話から入る人がいますが、菊池さんは後者の代表格でしょう。そして都筑さんは前者の見本のような方でした」と書いている[2]。
翻訳
[編集]- 『夜の熱気の中で』(ジョン・ボール、早川書房) 1967、のちハヤカワ文庫
- 『墜落』(デズモンド・コーリイ、早川書房) 1968
- 『生き残った一人』ジョン・D・マクドナルド(早川書房) 1968
- 『陰謀者』(ウイリアム・ハガード、早川書房) 1969
- 『緑のマント』(ジョン・バカン、筑摩書房) 1969、のち創元推理文庫
- 『陰謀』(アーヴィング・ウォーレス、早川書房) 1969、のちハヤカワ文庫
- 『みじかい夜』(ロナルド・カークブライド、早川書房) 1969、のちハヤカワ文庫
- 『ジョンとメリー』(メーヴィン・ジョーンズ、角川文庫) 1970
- 『祟り』(トニー・ヒラーマン、角川文庫) 1971
- 『殺人プロット』(フレドリック・ブラウン、創元推理文庫) 1971
- 『エアー 相続者』(ロジャー・サイモン、角川文庫) 1972
- 『懐かしい殺人 パーシバル卿と殺人同盟』(ロバート・L・フィッシュ、日本リーダーズダイジェスト社) 1972、のちハヤカワ文庫
- 『お熱い殺人 パーシバル卿と殺人同盟』(ロバート・L・フィッシュ、日本リーダーズダイジェスト社) 1972、のちハヤカワ文庫
- 『発作』(デイヴィッド・E・フィッシャー、早川書房) 1972
- 『遠い国境』(エリック・アンブラー、創元推理文庫) 1973
- 『ディミトリオスの棺』(エリック・アンブラー、早川書房) 1974
- 『殺人教習所』(ローラン・シンガー、ハヤカワ文庫) 1974
- 『ハロウハウス11番地』(ジェラルド・A・ブラウン、早川書房) 1974、のちハヤカワ文庫
- 『偉大なるセールスマン あなたを変える信念の魔術』(オグ・マンディーノ、ダイヤモンド社) 1975
- 『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(ジョン・ル・カレ、早川書房) 1975、のちハヤカワ文庫
- 『もう一つの最終レース』(ディーン・R・クーンツ、ごま書房 1976、のち改題『逃切』(創元推理文庫) 1988
- 『黄金の守護精霊』(H・R・ハガード、創元推理文庫) 1976
- 『ルウィンターの亡命』(ロバート・リテル、早川書房) 1976、のちハヤカワ文庫
- 『ヴァイキング・プロセス 多国籍企業戦争』(ノーマン・ハートレイ、徳間書店) 1977
- 『隠された栄光』(アントニイ・プライス、早川書房) 1977
- 『大統領暗殺指令』(パトリック・アレクサンダー、徳間書店) 1978
- 『アブナー伯父の事件簿』(M・D・ポースト、創元推理文庫) 1978
- 『デッド・ランナー』(フランク・ロス、ハヤカワ文庫) 1978
- 『シロへの長い道』(ライオネル・デヴィッドスン、ハヤカワ文庫) 1978
- 『核パニックの五日間』(ジョゼフ・ディモーナ、創元推理文庫) 1979
- 『眠れる犬たち』(フランク・ロス、ハヤカワ文庫) 1979
- 『モスクワ・オリンピック襲撃』(ジェイムズ・パタースン、創元推理文庫) 1980
- 『シブミ』(トレヴェニアン、早川書房) 1980、のちハヤカワ文庫
- 『迷いこんだスパイ』(ロバート・リテル、早川書房) 1980、のちハヤカワ文庫
- 『風味豊かな犯罪 年刊ミステリ傑作選'76』(E・D・ホック編、創元推理文庫) 1980
- 『チャーチル・コマンド』(テッド・ウィリス、創元推理文庫) 1981
- 『レパードを取り戻せ』(クレイグ・トーマス、早川書房) 1983、のちハヤカワ文庫
- 『まるで天使のような』(マーガレット・ミラー、ハヤカワ文庫) 1983
- 『王子を守る者』(レジナルド・ヒル、早川書房) 1985
- 『五百万ドルの迷宮』(ロス・トーマス、早川書房) 1988、のちハヤカワ文庫
- 『羊たちの沈黙』(トマス・ハリス、新潮文庫) 1989
- 『プードル・スプリングス物語』(レイモンド・チャンドラー,ロバート・B・パーカー、早川書房) 1990、のちハヤカワ文庫
- 『拷問と暗殺 ヒューストン連続殺人』(デイヴィッド・L・リンジー、新潮文庫) 1993
- 『バビロンの影 特殊部隊の狼たち』(デイヴィッド・メイスン、早川書房) 1994、のちハヤカワ文庫
- 『ハイ・シエラ』(W・R・バーネット、早川書房) 2003
ギャビン・ライアル
[編集]- 『もっとも危険なゲーム』(ギャビン・ライアル、早川書房) 1966、のち文庫
- 『本番台本』(ギャビン・ライアル、早川書房) 1967、のち文庫
- 『影の護衛』(ギャビン・ライアル、早川書房) 1981、のち文庫
- 『マクシム少佐の指揮』(ギャビン・ライアル、早川書房) 1983、のち文庫
- 『クロッカスの反乱』(ギャビン・ライアル、早川書房) 1986、のち文庫
ディック・フランシス
[編集]- 『大穴』(ディック・フランシス、早川書房) 1967、のち文庫
- 『興奮』(ディック・フランシス、早川書房) 1967、のち文庫
- 『度胸』(ディック・フランシス、早川書房) 1968、のち文庫
- 『本命』(ディック・フランシス、早川書房) 1968、のち文庫
- 『罰金』(ディック・フランシス、早川書房) 1969、のち文庫
- 『飛越』(ディック・フランシス、早川書房) 1969、のち文庫
- 『血統』(ディック・フランシス、早川書房) 1969、のち文庫
- 『査問』(ディック・フランシス、早川書房) 1970、のち文庫
- 『混戦』(ディック・フランシス、早川書房) 1971、のち文庫
- 『煙幕』(ディック・フランシス、早川書房) 1973、のち文庫
- 『暴走』(ディック・フランシス、早川書房) 1974、のち文庫
- 『転倒』(ディック・フランシス、早川書房) 1975、のち文庫
- 『重賞』(ディック・フランシス、ハヤカワ文庫) 1976
- 『追込』(ディック・フランシス、早川書房) 1977、のち文庫
- 『障害』(ディック・フランシス、早川書房) 1979、のち文庫
- 『骨折』(ディック・フランシス、ハヤカワ文庫) 1978
- 『試走』(ディック・フランシス、早川書房) 1980、のち文庫
- 『女王陛下の騎手』(ディック・フランシス、晶文社) 1981、のちハヤカワ文庫
- 『利腕』(ディック・フランシス、早川書房) 1981、のち文庫
- 『反射』(ディック・フランシス、早川書房) 1982、のち文庫
- 『配当』(ディック・フランシス、早川書房) 1983、のち文庫
- 『名門』(ディック・フランシス、早川書房) 1984、のち文庫
- 『証拠』(ディック・フランシス、早川書房) 1985、のち文庫
- 『奪回』(ディック・フランシス、早川書房) 1985、のち文庫
- 『侵入』(ディック・フランシス、早川書房) 1986、のち文庫
- 『連闘』(ディック・フランシス、早川書房) 1987、のち文庫
- 『黄金』(ディック・フランシス、早川書房) 1988、のち文庫
- 『横断』(ディック・フランシス、早川書房) 1989、のち文庫
- 『直線』(ディック・フランシス、早川書房) 1990、のち文庫
- 『標的』(ディック・フランシス、早川書房) 1991、のち文庫
- 『帰還』(ディック・フランシス、早川書房) 1992、のち文庫
- 『密輸』(ディック・フランシス、早川書房) 1993、のち文庫
- 『決着』(ディック・フランシス、早川書房) 1994、のち文庫
- 『告解』(ディック・フランシス、早川書房) 1995、のち文庫
- 『敵手』(ディック・フランシス、早川書房) 1996、のち文庫
- 『不屈』(ディック・フランシス、早川書房) 1997、のち文庫
- 『騎乗』(ディック・フランシス、早川書房) 1998、のち文庫
- 『烈風』(ディック・フランシス、早川書房) 2000、のち文庫
- 『勝利』(ディック・フランシス、早川書房) 2001、のち文庫
- 『出走』(ディック・フランシス、ハヤカワ文庫) 2004
ロス・マクドナルド
[編集]- 『別れの顔』(ロス・マクドナルド、早川書房) 1970、のち文庫
- 『暗いトンネル』(ロス・マクドナルド、創元推理文庫) 1972
- 『眠れる美女』(ロス・マクドナルド、早川書房) 1974、のち文庫
- 『ドルの向こう側』(ロス・マクドナルド、ハヤカワ文庫) 1981
- 『地中の男』(ロス・マクドナルド、ハヤカワ文庫) 1987
ジェイムズ・ハドリー・チェイス
[編集]- 『クッキーの崩れるとき』(ハドリー・チェイス、創元推理文庫) 1971
- 『幸いなるかな、貧しき者』(ハドリー・チェイス、創元推理文庫) 1971
- 『射撃の報酬5万ドル』(ハドリー・チェイス、創元推理文庫) 1975
ジョン・チーヴァー
[編集]- 『ブリット・パーク』(ジョン・チーヴァー、角川書店) 1972
- 『ワップショット家の人びと』(ジョン・チーヴァー、角川書店) 1972
- 『ワップショット家の醜聞』(ジョン・チーヴァー、角川書店) 1975
ジョン・ブラックバーン
[編集]- 『薔薇の環』(ジョン・ブラックバーン、創元推理文庫) 1973
- 『小人たちがこわいので』(ジョン・ブラックバーン、創元推理文庫) 1973
- 『リマから来た男』(ジョン・ブラックバーン、創元推理文庫) 1974
セシル・スコット・フォレスター
[編集]- 『砲艦ホットスパー』(セシル・スコット・フォレスター、ハヤカワ文庫) 1974 - 海の男 / ホーンブロワー・シリーズ
- 『燃える戦列艦』(セシル・スコット・フォレスター、ハヤカワ文庫) 1975 - 海の男 / ホーンブロワー・シリーズ
- 『ホーンブロワーの誕生』(セシル・スコット・フォレスター、高橋泰邦共訳、ハヤカワ文庫) 1978
ジャック・ヒギンズ
[編集]- 『鷲は舞い降りた』(ジャック・ヒギンズ、早川書房) 1976、のち文庫
- 『裁きの日』(ジャック・ヒギンズ、早川書房) 1980、のち文庫
- 『ルチアノの幸運』(ジャック・ヒギンズ、早川書房) 1982、のち文庫
- 『テロリストに薔薇を』(ジャック・ヒギンズ、早川書房) 1984、のち文庫
- 『黒の狙撃者』(ジャック・ヒギンズ、早川書房) 1987、のち文庫
- 『狐たちの夜』(ジャック・ヒギンズ、早川書房) 1988、のち文庫
- 『鷲は飛び立った』(ジャック・ヒギンズ、早川書房) 1992、のち文庫
ロバート・B・パーカー
[編集]- 『約束の地』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1978、のち文庫
- 『ユダの山羊』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1979、のち文庫
- 『銃撃の森』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1981、のち文庫
- 『レイチェル・ウォレスを捜せ』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1981、のち文庫
- 『初秋』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1982、のち文庫
- 『残酷な土地』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1983、のち文庫
- 『儀式』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1984、のち文庫
- 『拡がる環』 (ロバート・B・パーカー、早川書房) 1984、のち文庫
- 『ゴッドウルフの行方』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1984、のち文庫
- 『愛と名誉のために』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1984、のち文庫
- 『失投』ロバート・B・パーカー、ハヤカワ文庫) 1985
- 『告別』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1985、のち文庫
- 『キャッツキルの鷲』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1986、のち文庫
- 『海馬を馴らす』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1987、のち文庫
- 『蒼ざめた王たち』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1988、のち文庫
- 『誘拐』ロバート・B・パーカー、ハヤカワ文庫) 1989
- 『真紅の歓び』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1989、のち文庫
- 『プレイメイツ』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1990、のち文庫
- 『スターダスト』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1991、のち文庫
- 『晩秋』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1992、のち文庫
- 『ダブル・デュースの対決』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1993、のち文庫
- 『ペイパー・ドール』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1994、のち文庫
- 『歩く影』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1994、のち文庫
- 『過ぎ去りし日々』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1995、のち文庫
- 『虚空』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1995、のち文庫
- 『チャンス』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1996、のち文庫
- 『悪党』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1997、のち文庫
- 『突然の災禍』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1998、のち文庫
- 『暗夜を渉る』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1998、のち文庫
- 『沈黙』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1999、のち文庫
- 『忍び寄る牙』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 1999、のち文庫
- 『ハガーマガーを守れ』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 2000、のち文庫
- 『ポットショットの銃弾』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 2001、のち文庫
- 『ガンマンの伝説』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 2001、のち文庫
- 『笑う未亡人』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 2002、のち文庫
- 『湖水に消える』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 2002、のち文庫
- 『真相』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 2003、のち文庫
- 『影に潜む』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 2004、のち文庫
- 『背信』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 2004、のち文庫
- 『冷たい銃声』(ロバート・B・パーカー、早川書房)、2005
- 『ダブルプレー』(ロバート・B・パーカー、早川書房) 2005、のち文庫
脚注
[編集]- ^ a b c 読売人物データベースより
- ^ 戸川安宣 (2014年12月12日). “翻訳家交遊録 3(執筆者・戸川安宣)”. 翻訳ミステリー大賞シンジケート. 2017年5月25日閲覧。