荒地 (詩)
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『荒地』(あれち、The Waste Land)は、T・S・エリオットの代表作である長編詩。
1922年『クライテリオン』創刊号に発表された。全5部からなり、「死者の埋葬」「チェスのゲーム」「火の祈り」「水のほとりの死」「雷の言ったこと」と題され、第一次世界大戦後の西洋の混乱を前衛的な表現で、古典文学からの引用をちりばめて綴った難解なものである。
「荒地」は死の国のことで、「April is the cruellest month,」という破格の一節がきわめて有名である。さらにセックスの荒廃と、その創造性とを描き、死と荒廃の支配と希望を描きつつ、いずれとも結論は示されない。ジェームズ・フレイザー『金枝篇』などに学んだ古代文化の死と復活の主題が織り込まれている。[1]
日本でも大きな影響を与え、特に戦後の鮎川信夫らの詩誌『荒地』はこれをそのまま題としている。1938年に上田保が初めて日本語訳し、戦後は西脇順三郎の訳が広く読まれた。
日本語訳
[編集]- 上田保訳『エリオット詩集』(1938年)、のち思潮社ほか
- 西脇順三郎訳 『荒地』(1952年)、のち『西脇順三郎コレクションⅢ 翻訳詩集』(慶應義塾大学出版会)
- 吉田健一訳『現代世界文学全集 第26』(新潮社 1954年)、のち『エリオット選集』(彌生書房)
- 深瀬基寛訳『エリオット全集 1』(中央公論社 1960年、改訂版1971年)
- 『荒地 文化の定義のための覚書』(中公文庫 2018年)
- 岩崎宗治訳 (岩波文庫 2010年)
- 滝沢博訳『荒地』(春風社 2019年)
上演作品
[編集]- パウル=ハインツ・ディートリヒ Das Öde Land (2017年[2])
脚注
[編集]- ^ 斎藤勇編『英米文学辞典』研究社
- ^ “Paul-Heinz Dittrich”. www.sadk.de. ザクセン芸術アカデミー. 2020年6月30日閲覧。