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若杉山辰砂採掘遺跡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
若杉山辰砂採掘遺跡の位置(徳島県内)
若杉山辰砂採掘遺跡
若杉山辰砂採掘遺跡
位置

若杉山辰砂採掘遺跡(わかすぎやましんしゃさいくついせき)は、徳島県阿南市水井町にある弥生時代後期~古墳時代前期の遺跡である。2019年(令和元年)10月16日に国の史跡に指定され、出土品は2022年(令和4年)に国の重要文化財に指定されている。[1][2]

概要

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徳島県南部を東流する那賀川の支流である若杉谷川の西側に広がる山腹斜面に形成された、弥生時代後期から古墳時代前期にかけて、の原料である辰砂の採掘を行った遺跡。[1][2]

地表面には石灰岩やチャートの岩盤が多く露頭しており、岩盤中には部分的に辰砂結晶を含む石英脈がみられる[3]。辰砂の採掘はこうした石英脈を狙って岩盤そのものを打ち割ることで行われており、採掘場所として石灰岩を割り取る露天掘りによるものと、チャート岩盤を横穴状に掘り進めるものの2か所が確認されている。採掘場所を中心とする広範囲において辰砂の採掘に伴い打ち割られ廃棄されたとみられるズリ場が広がっている。[1][2]

岩盤の打ち割りだけでなく、石杵・石臼を用いた荒割りや潰しといった加工が一部行われている[4]。石杵には香川県東部で産出する火成岩であるヒン岩製のものがあり,採掘道具として持ち込まれたものとみられる。出土土器には在地産の他に、鮎喰川下流域産や香東川下流域産のものがあり[5]、それら地域の集団も辰砂の採掘に関わっていたとみられる。

弥生時代から古墳時代にかけて朱は銅鐸土器、埋葬施設に塗布され、葬送儀礼で用いられる等重用されており、その原料である辰砂採掘の在り方を示す遺跡として重要である。[1][2]

出典

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参考文献

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  • 徳島県立博物館 編『辰砂生産遺跡の調査』1997年1月(原著1997年1月)。doi:10.24484/sitereports.99686NCID BA30676501https://sitereports.nabunken.go.jp/99686 

外部リンク

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座標: 北緯33度53分43秒 東経134度31分19秒 / 北緯33.89528度 東経134.52194度 / 33.89528; 134.52194