繰り延べ投票
繰り延べ投票(くりのべとうひょう)[1][2]とは、日本の選挙または日本国憲法改正時の投票において、「天災その他避けることのできない事故」により、本来の投票期日を延期して行う投票のこと。送り仮名を用いずに繰延投票[3][4]とも表記される。公職選挙法第57条[5]および日本国憲法の改正手続に関する法律第71条[6]によって定められており、選挙では新たに設定した投票日の2日前まで、憲法改正時の投票では5日前までに告示される。ほかに臨時特例法によって期日を延期した例も存在する。
公職選挙法第57条によるもの
[編集]国政選挙では、1965年参院選における熊本県の坂本村の一部および五木村[7]、ならびに1974年参院選における三重県の伊勢市の一部および御薗村[8]が、集中豪雨によって繰り延べ投票を実施した例がある[1]。なお公職選挙法制定(1950年)以前のものとして、1947年参院選の投票を延期した長野県飯田市の事例がある[9]。
地方選挙では、1992年8月30日の投票が予定されていた沖縄県の竹富町議会議員補選が、台風16号の影響で繰り延べ投票となり9月4日に実施されており、「全国でも過去に1、2度あるかないか」の珍しい事例とされている[10]。2004年に行われた鹿児島県の住用村における村長のリコールに伴う住民投票も、台風6号の影響で繰り延べ投票となっている[11]。
2010年2月28日に投票が行われていた青森県のおいらせ町長選は、チリ地震発生後の大津波警報によって沿岸部の投票所が閉鎖されたため、これらの地区では繰り延べ投票となり3月7日に改めて実施された[12]。また2014年10月12日の投票が予定されていた豊見城市長選は、台風19号の影響の影響で繰り延べ投票となり19日に実施されている[13]。
臨時特例法によるもの
[編集]1995年4月9日に行われる予定であった兵庫県議会議員選挙が、阪神・淡路大震災後の臨時特例法によって6月11日に延期されている[14]。東日本大震災後の第17回統一地方選挙(2011年)においても、臨時特例法[15]によって被災した4県における投票(岩手県知事選・岩手県議会選・宮城県議会選・福島県議会選・仙台市議会選など)の期日が延期された[1]。
脚注
[編集]- ^ a b c 「メモ ◆公職選挙法57条(繰り延べ投票) 27日市長選」『神奈川新聞』2013年10月24日号1面。
- ^ 「〈解〉繰り延べ投票」『読売新聞』2015年12月1日付朝刊13面。
- ^ デジタル大辞泉『繰延投票』 - コトバンク
- ^ 「[ことば]繰延投票」『毎日新聞』1993年7月13日付夕刊大阪版11面。
- ^ 昭和二十五年法律第百号 公職選挙法 第六章 投票(第三十五条―第六十条) e-Gov法令検索
- ^ 平成十九年法律第五十一号 日本国憲法の改正手続に関する法律 抄 第二章 第五節 投票及び開票(第四十七条―第八十八条) e-Gov法令検索
- ^ 1965年(昭和40年)7月3日中央選挙管理会告示第8号「参議院全国選出議員選挙における選挙運動に関して追加して支出することのできる金額を定めた件」
- ^ 1974年(昭和49年)7月9日中央選挙管理会告示第10号「参議院全国選出議員選挙における選挙運動に関して追加して支出することのできる金額を定める件」
- ^ 衆院選「期日前投票を」 沖縄県選管、台風接近で異例の呼び掛け 沖縄タイムス 2017年10月18日
- ^ 「台風で選挙繰り延べ 沖縄・竹富町議補選 【西部】」『朝日新聞』1992年8月31日付朝刊西部版22面。
- ^ 「住用村、河野村長の解職請求住民投票 27日に繰り延べ投票=鹿児島」『読売新聞』2004年6月22日付朝刊西部版32面。
- ^ 「チリ大地震:各地に津波 青森・おいらせ町長選、3投票所を閉鎖--7日再投票」『毎日新聞』2010年3月1日付朝刊27面。
- ^ 台風接近で豊見城市長選延期 19日投開票 沖縄タイムス 2014年10月21日
- ^ 国会 (1995), 阪神・淡路大震災に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律, 衆議院, 平成7年法律第25号
- ^ 選挙関連資料 東日本大震災関連情報 総務省