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紀州 (落語)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

紀州(きしゅう)は古典落語の演目[1]。別代に鎚の音(つちのおと)。原話は、『甲子夜話』の「第十七巻」。会話部分が少なく、(本筋と関係ない)挿話を差し挟んでも成立する「地噺(じばなし)」の一種。

あらすじ

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7代将軍・徳川家継が幼くして急死して将軍家直系の血が絶えたため、家祖・家康の遺訓の通り、次代将軍を紀州家尾張家から出すことになった。勢力は拮抗し、次の評定で決めることとなった。最後の評定が行われる朝、登城の途中で尾州侯・徳川継友は、鍛冶屋の槌を打つ音が「テンカトル(天下取る)」と聞こえ、これは自身が将軍になる吉兆であると喜ぶ。

いざ評定が始まり、まず尾州侯が打診されると、もったいぶって「余は徳薄く、将軍の任ではない」といったん渋り、そこを周りの者に無理やり薦められる形で「嫌々ながら」引き受ける形を作ろうとする。ところが、次に打診された紀州侯・徳川吉宗も同じく「余は徳薄く、将軍の任ではない」と言うため、予定が狂う。しかも、紀州侯はそのまま続けて「しかし、かほどまでに乞われて固辞するのは、御三家の身として責任上心苦しい。しからば天下万人のため」と承諾し、そのまま次代将軍は紀州侯に決定してしまった。

帰路、落胆する尾州侯は朝に鍛冶屋の槌を音を聞いた場所で再び「テンカトル」の音を聞き、この後、紀州侯が辞退し、やはり自分に将軍職が回ってくるのではないかと、自分に都合のいいように解釈する。ところが、直後に鍛冶屋が焼けた鉄を水に差し、

「キィ…シューゥ(紀州)」

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ 東大落語会 1969, p. 138, 『紀州』.

参考文献

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  • 東大落語会『落語事典 増補』(改訂版(1994))青蛙房、1969年。ISBN 4-7905-0576-6