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第34回世界遺産委員会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

第34回世界遺産委員会は、2010年7月25日より8月3日までブラジル首都ブラジリアで開催された。15件の文化遺産、5件の自然遺産、1件の複合遺産が登録された。

委員国

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地域区分はUNESCOに従っている。

議長国 ブラジルの旗 ブラジル 議長ジュッカ・フェレイラポルトガル語版(ブラジル文化大臣[1]
アジア太平洋 タイ王国の旗 タイ 副議長国
オーストラリアの旗 オーストラリア
カンボジアの旗 カンボジア
中華人民共和国の旗 中国
アラブ諸国  エジプト 副議長国
バーレーンの旗 バーレーン 報告担当国。担当者は、Britta Rudolff[1]
イラクの旗 イラク
ヨルダンの旗 ヨルダン
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦
アフリカ 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 副議長国
エチオピアの旗 エチオピア
マリ共和国の旗 マリ
ナイジェリアの旗 ナイジェリア
ヨーロッパ北アメリカ  スウェーデン 副議長国
 エストニア
フランスの旗 フランス
ロシアの旗 ロシア
スイスの旗 スイス
カリブラテンアメリカ バルバドスの旗 バルバドス
メキシコの旗 メキシコ

審議対象の推薦物件一覧

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以下の物件が世界遺産リストに加えてよいかどうかの審議の対象となった。そのうちの9件( * をつけたもの)は拡大登録の可否をめぐる審議の対象である。太字の項目は、世界遺産リストに追加された物件を示す。

自然遺産

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画像 推薦名 推薦国 勧告 決議
ピリン国立公園*[2]  ブルガリア 承認 承認
Pirin National Park (extension)
Parc national de Pirin (extension)
2つの自然保護区であるユレン保護区ブルガリア語版バユヴィ・ドゥプキ=ジンジリツァ保護区ブルガリア語版で構成される国立公園である。今委員会で高度2,000メートル以上の40,000ヘクタールが拡張登録された[2]
中国丹霞[2] 中華人民共和国の旗 中国 登録延期 登録
China Danxia
Relief Danxia de Chine
主としてジュラ紀から新第三紀に形成されたもので、それらの地形を形成する砂岩礫岩は中国南部の亜熱帯性の気候において、雨季に川や湖に流れ込むことで堆積した、中国南部に見られる切り立った断崖などを伴う赤い堆積岩の地形である。正式登録時に仏語名から Relief が削られた。
レユニオン島の尖峰群、圏谷群および絶壁群[2] フランスの旗 フランス 登録 登録
Pitons, cirques and remparts of Reunion Island
Pitons, cirques et remparts de l'île de La Réunion
レユニオン国立公園英語版の中心部分に該当し、島の面積の約40%に該当し、登録に当たっては尖鋒、圏谷、絶壁が形成する独特の地形織り成す自然美と、特筆すべき植生の多様性が評価された。
フェニックス諸島保護地域[2] キリバスの旗 キリバス 登録延期 登録
Phoenix Islands Protected Area
Aire protégée des îles Phoenix
キリバス初の世界遺産として登録されたこの地区は、約200種類のサンゴを含む800種類の動物が生息する。
イベリア半島の恐竜の足跡の化石群 ポルトガルの旗 ポルトガル/スペインの旗 スペイン 不登録 登録延期
Dinosaur Ichnites of the Iberian Peninsula
Sites d’ichnofossiles de dinosaures de la Péninsule Ibérique
プトラナ台地[3] ロシアの旗 ロシア 登録 登録
Putorana plateau
Plateau de Putorana
シベリア北中部に広がる北極圏からわずか100キロメートルの所に位置する。シベリアのタイガとよばれる針葉樹林、北極圏のツンドラ、25,000を越えるが展開する。
サン・ジョルジョ山(スイスの「サン・ジョルジョ山」の拡大)*[3] イタリアの旗 イタリア 承認 承認
Monte San Giorgio (extension of “Monte San Giorgio”, Switzerland)
Monte San Giorgio (extension du « Monte San Giorgio » Suisse)
今世界遺産委員会では、イタリア側が世界遺産に拡張され、スイス、イタリアで共有する物件となった。
イスモイル・ソモニ峰 タジキスタン国立公園_(パミールの山々) タジキスタンの旗 タジキスタン 登録延期 登録延期
Tajik National Park (Mountains of the Pamirs)
Parc national tadjik (montagnes du Pamir)
地球上では、標高が三番目に高い生態系が展開する国立公園である。ユーラシア大陸最大の氷河であるフェドチェンコ氷河がある。タジキスタン初の世界遺産として登録を目指したが、登録は2013年の第37回世界遺産委員会まで待たなければならなかった。

文化遺産

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画像 推薦名 推薦国 勧告 決議
ポート・アーサー(タスマニア) オーストラリアの囚人遺跡群[4] オーストラリアの旗 オーストラリア 情報照会 登録
Australian Convicts Sites
Sites de bagnes australiens
18世紀から19世紀にかけて大英帝国によって建設された11の施設や鉱山遺跡によって構成されている。登録範囲は、ノーフォーク島ニューサウスウェールズ州西オーストラリア州タスマニア州にまたがる。適用された世界遺産の登録基準は (4)、(6) である。
グラーツの市街-歴史地区とエッゲンベルク城(「グラーツの市街 - 歴史地区」の拡大)*[5]  オーストリア 承認 承認
City of Graz – Historic Centre and Schloss Eggenberg (extension of the “City of Graz – Historic Centre”)
Ville de Graz – Centre historique et château d’Eggenberg (extension de « Ville de Graz – Centre historique »)
エッゲンベルク城英語版は1625年に起工されたマニエリスムを基調とする建築物。今世界遺産委員会にて、グラーツ歴史地区の拡張という形で登録された。適用された世界遺産の登録基準は (2)、(4) である。
ワロン地方の主要な鉱山遺跡群 ベルギーの旗 ベルギー 登録延期 登録延期
Major Mining Sites of Wallonia
Les sites miniers majeurs de Wallonie
グラン・オルニュフランス語版をはじめとする4つの鉱山遺跡によって構成されている。今世界遺産委員会では、登録が見送られた。登録は、2年後の第36回世界遺産委員会となった。
サン・クリストヴァンの町のサン・フランシスコ広場[2] ブラジルの旗 ブラジル 登録延期 登録
São Francisco Square in the Town of São Cristóvão
Place São Francisco dans la ville de São Cristóvão
2008年の第32回世界遺産委員会での結果は「情報照会」決議[6]、2010年のICOMOSの事前評価も「登録延期」を勧告するものであった。ブラジル開催であった今世界遺産委員会で逆転登録された。適用された世界遺産の登録基準は (2)、(4) である。
「天地の中央」にある登封の史跡群(当初の名称「崇山の史跡群」)[7] 中華人民共和国の旗 中国 登録 登録
Historic Monuments of Dengfeng in “The Centre of Heaven and Earth” (Originally “Historic monuments of Mount Songshan”)
Monuments historiques de Dengfeng au « centre du ciel et de la terre » (originalement « Monuments historiques du Mont Songshan »)
中国の嵩山は、宗教的・文化的に重要な地位を占めてきた。嵩山少林寺をはじめとする8件の歴史的建造物群が登録対象であり、適用された世界遺産登録基準は (4)、(5) である。
アルビの司教都市[7] フランスの旗 フランス 登録 登録
Episcopal City of Albi
Cité épiscopale d'Albi
中世以来のベルビ宮殿フランス語版サント=セシル大聖堂フランス語版サン=サルヴィ参事会聖堂フランス語版などの歴史的建造物及び旧市街によって構成される。適用された世界遺産登録基準は (4)、(5) である。
オーバーハルツ水利管理システムドイツ語版(「ランメルスベルク鉱山および歴史都市ゴスラー」の拡大)*[7] ドイツの旗 ドイツ 情報照会 登録
Upper Harz Water Management System (extension of “Mines of Rammelsberg and Historic Town of Goslar”)
Système de gestion hydraulique du Haut-Harz (extension de « Mines de Rammelsberg et la ville historique de Goslar »)
オーバーハルツ水利管理システムドイツ語版は、ランメルスベルク鉱山およびゴスラーの南に位置し、16世紀から19世紀という長い間をかけて整備された。登録名は「ランメルスベルク鉱山、歴史都市ゴスラーとオーバーハルツ水利管理システム」、適用された世界遺産登録基準は (1)、(4) である。
ジャイプルのジャンタル・マンタル[4] インドの旗 インド 情報照会 登録
The Jantar Mantars, Jaipur
Jantar Mantar, Jaipur
ジャイプルにある天文台で、建設を指揮したのは、天文学者でもあったムガル帝国時代のマハラジャである、ジャイ・シング2世である。彼の居城である「シティ・パレス」の一角に建設された。適用された世界遺産の登録基準は (3)、(4)、(6)である。
マテラン登山鉄道(「インドの山岳鉄道群」の拡大)* インドの旗 インド 不承認 ――
Matheran Light Railway (extension of the “Mountain Railways of India”)
Chemin de fer léger du Matheran (extension de « Chemins de fer de montagne en Inde »)
今世界遺産委員会でICOMOSは不承認を勧告し、これ以上インドの山岳鉄道群を拡大登録しないように要請した。これによりインド政府は推薦を取り下げた。
アルダビールのシャイフ・サフィーアッディーン廟の歴史的建造物[4] イランの旗 イラン 登録 登録
Sheikh Safi al-din Khānegāh and Shrine Ensemble in Ardabil
Ensemble du Khānegāh et du sanctuaire de Cheikh Safi al-Din à Ardabil
廟の名前にあるサフィー・アッディーンとは、13世紀イラン高原で活動したスーフィーで、サファヴィー教団英語版の指導者。170年後、サファヴィー朝がイランで誕生するがその始祖である。適用された世界遺産の登録基準は(1)、(2)、(4)である。
タブリーズの歴史的バザール施設[4] イランの旗 イラン 登録 登録
Tabriz Historic Bazaar Complex
Ensemble du bazar historique de Tabriz
中東最古のバーザールであると同時に、世界で最長のバーザール建築物である。東西交易の結節点であり、文化の交流の拠点でもあった。適用された世界遺産の登録基準は(2)、(3)、(4)である。
ダンの三連アーチ門 イスラエルの旗 イスラエル 登録 登録の見送り
The Triple-arch Gate at Dan
La porte aux trois arches de Dan
第32回世界遺産委員会以来、登録が先送りにされており、第34回でも先送りとなった。
モンバサのジーザス要塞  ケニア 登録延期 情報照会
Fort Jesus, Mombasa
Fort Jesus, Mombasa
1593年スペイン王・フェリペ2世の命令によって建設された要塞である。今世界遺産委員会では、登録は見送られた。世界遺産の登録は、翌年の第36回世界遺産委員会となった。
ビキニ環礁の核実験場[4] マーシャル諸島の旗 マーシャル諸島 情報照会 登録
Bikini Atoll, nuclear tests site
Atoll de Bikini, site d'essais nucléaires
1946年から1958年にかけて、アメリカ合衆国核実験を行った。日本では、負の世界遺産として挙げられることが多い。適用された世界遺産の登録基準は (4)、(6) である。
カミノ・レアル・デ・ティエラ・アデントロ[2] メキシコの旗 メキシコ 情報照会 登録
Camino Real de Tierra Adentro
Camino Real de Tierra Adentro
この道路の世界遺産で300年の間、運ばれていたのは、サカテカスグアナフアトサン・ルイス・ポトシで採掘されたであった[8]。また、ヨーロッパからは水銀が輸入され、メキシコの鉱山に運ばれていった[8]。適用された世界遺産の登録基準は(2)、(4)である。
オアハカ中央盆地にあるヤグルとミトラの先史時代の洞窟群[2] メキシコの旗 メキシコ 情報照会 登録
Prehistoric Caves of Yagul and Mitla in the Central Valley of Oaxaca
Grottes préhistoriques de Yagul et Mitla au centre de la vallée de Oaxaca
適用された世界遺産の登録基準は(3)である。
アムステルダムのシンゲル運河の内側にある17世紀の環状運河地域[7] オランダの旗 オランダ 登録 登録
Seventeenth-century canal ring area of Amsterdam inside the Singelgracht
Zone des canaux concentriques du 17e siècle à l'intérieur du Singelgracht à Amsterdam
「北のヴェネツィア」とも呼ばれるアムステルダムの運河網は、100キロメートルを越える。その中でも、オランダの黄金時代である17世紀に建設されたプリンセン運河、ヘーレン運河、ケイザー運河、内側のシンゲル運河の4運河とそれに沿う街路が世界遺産に登録された。適用された世界遺産の登録基準は(1)、(2)、(4)である。
レーロースの鉱山街とその周辺(「レーロースの鉱山街」の拡大)*[7]  ノルウェー 承認 承認
Røros Mining Town and the Circumference
Ville minière de Røros et la Circonférence
適用された世界遺産の登録基準は(3)、(4)、(5)で、以前からの変化は無い。
大韓民国の歴史的村落:河回良洞[4] 大韓民国の旗 韓国 情報照会 登録
Historic Villages of Korea: Hahoe and Yangdong
Villages historiques de Corée : Hahoe et Yangdong
農村における両班の伝統的な生活様式を保存している。適用された世界遺産の登録基準は(3)、(4)である。
復活教会モルダヴィアの教会群の拡大)*[5]  ルーマニア 承認 承認
Church of the Resurrection of Suceviţa Monastery (extension of the “Churches of Moldavia”)
Église de la Résurrection du monastère de Suceviţa (extension de «Églises de Moldavie »)
ルーマニア正教会の8つの教会で構成される世界遺産で、復活教会が追加された。追加された復活教会は、ルーマニアの伝統的な壁画教会の要素のみならず、ビザンツ建築ゴシック建築の要素も取り入れている。適用された世界遺産の登録基準は(1)、(4)である。
ディルイーヤのツライフ地区[4] サウジアラビアの旗 サウジアラビア 登録延期 登録
At-Turaif District in ad-Dir'iyah
District d’at-Turaif à ad-Dir’iyah
1744年から1818年の間、第一次サウード王国の首都として機能し、ワッハーブ運動の中心地であった。適用された世界遺産の登録基準は(4)、(5)、(6)である。
シエガ・ベルデの旧石器時代の岩絵群(ポルトガルの「コア渓谷の先史時代の岩絵遺跡群」の拡大)*[5] スペインの旗 スペイン 承認 承認
Palaeolithic Rock Art Ensemble in Siega Verde (extension of “Prehistoric Rock Art Sites in the Côa Valley”, Portugal)
Zone archéologique d’art rupestre de Siega Verde (extension de « Sites d'art rupestre préhistorique de la vallée de Côa » Portugal)
イベリア半島に残る岩絵遺跡がスペインのシエガ・ベルデにも存在し、拡張登録が認められた。国境を越える世界遺産としての新たな登録名は「コア渓谷とシエガ・ベルデの先史時代の岩絵遺跡群」、適用された世界遺産の登録基準は(1)、(3)である。
水銀の道と銀の道 - アルマデン、イドリヤおよびサン・ルイス・ポトシ メキシコの旗 メキシコ/スペインの旗 スペイン/スロベニアの旗 スロベニア 登録延期 登録延期
The Mercury and Silver Binomial. Almadén and Idrija with San Luis Potosí
Binôme du mercure et de l’argent. Almadén, Idrija et San Luis Potosí
3カ国の共同推薦とされた遺産である。スペインのアルマデンとスロベニアのイドリヤ水銀の産地であり、水銀は銀の精錬に必要不可欠なものであったが、今世界遺産委員会では、登録が見送られた。実際の登録は、水銀に焦点を絞った上で推薦、登録となった第36回世界遺産委員会(登録名「水銀の遺産アルマデンとイドリヤ」)まで待たなければ無からなかった。
サラズム - 原始都市遺跡[7] タジキスタンの旗 タジキスタン 登録 登録
Proto-urban Site of Sarazm
Sarazm
紀元前4000年から3000年の中央アジアにおける考古遺跡である。適用された世界遺産の登録基準は(2)、(3)である。
キエフの聖ソフィア大聖堂と関連する修道院群及びキエフ・ペチェールシク大修道院*  ウクライナ 登録延期 登録延期
Kiev: Saint-Sophia Cathedral with Related Monastic Buildings, St. Cyril's and St. Andrew's Churches, Kiev Pechersk Lavra (extension of "Kiev: Saint-Sophia Cathedral and Related Monastic Buildings, Kiev Pechersk Lavra")
Kiev : cathédrale Sainte-Sophie et ensemble des bâtiments monastiques, les églises Saint-Cyril et Saint André, laure de Kievo Petchersk
聖アンドリーイ聖堂聖キリル聖堂英語版の追加登録を目指したが、登録延期と決議された。
ダーウィンの景観研究所 イギリスの旗 イギリス 不登録 登録延期
Darwin’s Landscape Laboratory
Paysage laboratoire de Darwin
ンゴロンゴロ保全地域(追加的基準での再推薦)*[9] タンザニアの旗 タンザニア 承認 承認
Ngorongoro Conservation Area (re-nomination under additional criteria)
Zone de conservation de Ngorongoro (nouvelle proposition d’inscription selon critères additionnels)
1979年に、すべての自然遺産の登録基準7から10が適用された遺産ではあるが、保全地域内のオルドヴァイホモ・ハビリスの化石が発見されていたことから、文化遺産としての価値が認められたものである。新規に適用された世界遺産の登録基準は(4)であり、複合遺産となった。
ハノイのタンロン皇城の中心区域[7]  ベトナム 登録延期 登録
Central Sector of the Imperial Citadel of Thang Long - Hanoi
La cité impériale de Thang Long-Hanoi
11世紀に勃興した李朝以降、1804年まで、ハノイはベトナムの首都であり続けた。各王朝の遺跡が重なって残る。適用された世界遺産の登録基準は(2)、(3)、(4)である。
マウントバーノン アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 登録延期 ――
Mount Vernon
Mount Vernon
審議前に取り下げ。
ガリラヤのキリスト教関連遺跡群 イスラエルの旗 イスラエル 不登録 ――
Sites of Christianity in the Galilee
Sites du christianisme en Galilée
審議前に取り下げ。
コンソの文化的景観 エチオピアの旗 エチオピア 登録延期 情報照会
Konso Cultural Landscape
Paysage culturel du pays Konso
翌年の第35回世界遺産委員会で登録されることになる。
アウグストゥフ運河英語版 - 人と自然が生んだ作品 ベラルーシの旗 ベラルーシ / ポーランドの旗 ポーランド 不登録 ――
Augustowski Canal – a work of man and nature
Canal d’Augustów : une oeuvre de l’homme et de la nature
アウグストゥフなどを流れる運河。不登録勧告を受け、審議前に取り下げ。

複合遺産

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画像 推薦名 推薦国 勧告 決議
パパハナウモクアケア[10] アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 登録 登録
Papahānaumokuākea
Papahānaumokuākea
ヨーロッパ人が来航する以前のハワイ人の考古遺跡がニホア島ネッカー島に残ると同時に、火山活動のホットスポットであるという地質学的側面、深海底から珊瑚礁を含む豊かな生態系が評価された。適用された世界遺産の登録基準は(3)、(6)、(8)、(9)、(10)である。
スリランカの中央高地 : その文化遺産と自然遺産[10] スリランカの旗 スリランカ (文化)登録延期
(自然)情報照会
(文化)登録延期
(自然)登録
Central Highlands of Sri Lanka: its Cultural and Natural Heritage
Hauts plateaux du centre de Sri Lanka : patrimoine naturel et culturel
初めは複合遺産としての登録を目指したが、今世界遺産委員会では、文化遺産としての顕著な普遍的価値は認められず、自然遺産での登録となった[11]。登録名は「スリランカの中央高地」である。カオムラサキラングール英語版アカホソロリス英語版といった、珍しい哺乳類の生息地になっている[12]。適用された世界遺産の登録基準は (9)、(10) である。

危機遺産

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危機にさらされている世界遺産(危機遺産)リストからは1件が除去され、4件が新規に記載された。

リストからの除去

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画像 登録名 保有国 世界遺産登録年 危機遺産登録年
ガラパゴス諸島 エクアドルの旗 エクアドル 1978年 2007年
ダーウィンの進化論の発想のきっかけとなった諸島で多種多様の生物が生息している。2007年に登録された際には、移入種の流入、観光産業のコントロールが不十分であること、過度の漁獲の3点が問題となっていた。エクアドル政府の努力により、これらの問題は危機的な状況を回避することが出来たとして、危機遺産登録が解除された[13]

リストへの新規登録・再登録

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画像 登録名 保有国 世界遺産登録年
カスビのブガンダ歴代国王の墓[13] ウガンダの旗 ウガンダ 2001年
ブガンダ王国歴代国王4人が葬られている墓所である。2010年3月、宮殿が消失したことにより、危機遺産に登録された。13世紀以来のブガンダ王国の建築様式を残す建物であっただけに、再建を計画している[13]
バグラティ大聖堂ゲラティ修道院[14] グルジア 1994年
11世紀に建設された大聖堂であるバグラティ大聖堂と12世紀に建設されたゲラティ大聖堂は、中世グルジアの建築水準の高さが評価されている。再建計画が、世界遺産としての真正性と完全性を損ねかねないものとして、危機遺産に登録された[14]
エバーグレーズ国立公園[15] アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 1980年
フロリダ州に位置する。湿地帯の上に豊かな動植物が生息している。西半球最大のマングローブ林と北米最大の渡り鳥の生息地であるが、公園内への水の流入が6割まで減少し、水生生物の生態系の悪化していることから、危機遺産に登録された[15]
アツィナナナの雨林[16] マダガスカルの旗 マダガスカル 2007年
マダガスカル島は、6000万年以上前に、アフリカ大陸から分かれたことで、独特の生態系を築いてきた。6つの国立公園で構成される。密猟と違法の伐採が止まらないことから、危機遺産に登録された。[16]

その他の議題

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  • 文化遺産類型の多様性を検討するセマティックスタディで「天文学および考古天文学」が取り上げられ、天文遺産を推進することが決まった。
  • 2003年の登録段階から保全状況が懸念されていた中国の三江併流が登録範囲の軽微な変更を申請していたことに対する審査で、森林伐採鉱山掘削を継続する行為(遺産の資源利用)であるとし反対意見もあったが、結果として約7万ヘクタールの面積縮小を認めることになった[17]
  • 2007年に登録された石見銀山において、登録範囲の軽微な変更が認められた。

脚注

[編集]
  1. ^ a b 34th session of the Committee”. UNESCO. 2014年3月27日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h World Heritage Committee inscribes three new cultural sites, three natural sites and one extension on World Heritage List”. UNESCO. 2010年8月2日閲覧。
  3. ^ a b World Heritage Committee inscribes Russian site on World Heritage List and approves extension to Swiss site”. UNESCO. 2010年8月3日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g World Heritage Committee inscribes seven cultural sites on World Heritage List”. UNESCO. 2010年8月1日閲覧。
  5. ^ a b c World Heritage Committee also approves three extensions to World Heritage properties in Austria, Romania and Spain”. UNESCO. 2014年4月2日閲覧。
  6. ^ Committee Decisions 32 COM 8B.42 Examination of nomination of natural, mixed and cultural proprerties to the World Heritage List - São Francisco Square in São Cristóvão (BRAZIL)”. UNESCO. 2014年3月27日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g World Heritage Committee inscribes five new cultural sites on World Heritage List and approves two extensions to existing properties”. UNESCO. 2010年8月1日閲覧。
  8. ^ a b Camino Real de Tierra Adentro, Brief Description”. UNESCO. 2010年9月12日閲覧。
  9. ^ World Heritage Committee inscribes Ngorongoro Conservation Area (Tanzania) as Cultural World Heritage Site”. UNESCO. 2010年8月1日閲覧。
  10. ^ a b World Heritage Committee inscribes two new sites on World Heritage List”. UNESCO. 2010年8月1日閲覧。
  11. ^ “Hawai’i and Sri Lanka added to the World Heritage List”. IUCN. (31 July 2010). http://cms.iucn.org/?uNewsID=5791 1 August 2010閲覧。 
  12. ^ Rodrigo, Malaka (8 August 2010). “Lanka’s central highlands win heritage battle”. The Sunday Times. http://www.sundaytimes.lk/100808/Plus/plus_01.html 8 August 2010閲覧。 
  13. ^ a b c List of World Heritage in Danger: World Heritage Committee inscribes the Tombs of Buganda Kings (Uganda) and removes Galapagos Islands (Ecuador)”. UNESCO. 2014年4月2日閲覧。
  14. ^ a b World Heritage Committee inscribes Bagrati Cathedral and Gelati Monastery (Georgia) on List of World Heritage in Danger”. UNESCO. 2010年8月1日閲覧。
  15. ^ a b World Heritage Committee inscribes Everglades National Park on List of World Heritage in Danger”. UNESCO. 2010年8月1日閲覧。
  16. ^ a b World Heritage Committee inscribes Rainforests of Atsinanana (Madagascar) on List of World Heritage in Danger”. UNESCO. 2010年8月1日閲覧。
  17. ^ 『世界遺産年報2011』

外部リンク

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