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秋葉のクロマツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
秋葉のクロマツ(南西側より撮影)2016年1月24日撮影。

秋葉のクロマツ(あきばのクロマツ)は、東京都大田区田園調布五丁目に生育するクロマツ巨木である[1][2][3]。推定の樹齢は約300年といわれ、多摩川近くの台地上に生育していることから遠くからもよく目立つ木である[1][3][4]。この木は、1963年(昭和38年)に東京都の天然記念物に指定された[1][3][5]

由来

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東京都天然記念物石碑と根元の祠
東側より撮影

丸子川近くの照善寺(東京都大田区田園調布五丁目30番7号)東側の坂道(馬坂)を北に約200メートル登ると、右手側に大きなマツの老木がある[3][6][7][8]。この木が秋葉のクロマツで、推定の樹齢は約300年といわれる[1]。樹高は約17メートル、幹回りは約4メートルあり、主幹は直立している[2][4]。主幹は地上から7メートル付近で四方に大きく枝を広げ 、傘状の樹形を見せる[1][2]。樹高こそさほどではないが多摩川近くの台地上(武蔵野台地の最南端にあたる)に生育していることから、遠くからもよく目立つ木である[1][3][4][9]

この木が生育している場所は、照善寺の所有地内であった[1][3]。照善寺は山号を「常光山」、院号を「無量光院」といい、1586年(天正14年)にこの地にできた草庵をもとに、1639年(寛永16年)に相蓮社廣誉全公が開山となって創建した寺院で浄土宗に属する[3][8][10]。木の根元に秋葉神社の小さな祠(照善寺の守護神にあたる)が存在するため、「秋葉のマツ」あるいは「秋葉のクロマツ」の通称で呼ばれるようになったと伝わる[1][3]

秋葉のクロマツは、1963年(昭和38年)3月19日に東京都の天然記念物に指定された[1][3][5]。東京都が1986年(昭和61年)2月に実施した調査では樹勢旺盛で枝の成長もよく、近くの建造物の上まで伸びていた[11]。ただし風折れのおそれもあったため、整枝を実施して地下部分の根との釣り合いをとった[11]。しかし残った枝が翌月の降雪によって冠雪して折れたため、再度折れた枝を根元で切り戻したという[11]

この木は、東京都内において江戸川区の「影向のマツ」(国の天然記念物)に次ぐマツの巨木でもある[2]。東京都の天然記念物に指定されたマツの中では、2015年(平成27年)の時点でこの木が唯一残っている[注釈 1]。なお、「日本の名松100選」では影向のマツ、皇居外苑のクロマツ (千代田区)とともに東京都から選定されている[15]

交通アクセス

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所在地
  • 東京都大田区田園調布五丁目3番19号[1][3]
交通

脚注

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注釈

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  1. ^ 他のマツでは調布市佐須町の「虎狛(こはく)神社のクロマツ」が、1964年(昭和39年)4月28日に東京都の天然記念物に指定された[12]。この木は『江戸名所図会』に取り上げられたほど名高いマツで樹高約30-35メートルに達し、樹勢も盛んであった[12][13]。しかし、落雷などの影響で衰弱して1998年(平成10年)に枯死した[11][12][14]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k 『東京都の文化財 3』、80頁。
  2. ^ a b c d e 渡辺、162頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j 『大田区の歴史』、230-231頁。
  4. ^ a b c d 樹木のみどころ”. 大田区ホームページ (2015年1月15日). 2015年11月23日閲覧。
  5. ^ a b 『大田区の歴史』、付録24-25頁。
  6. ^ 『スーパーマップル 関東 道路地図』、124図。
  7. ^ 馬坂 田園調布・嶺町地域の坂道”. 大田区ホームページ (2015年1月5日). 2015年12月5日閲覧。
  8. ^ a b 照善寺|大田区田園調布にある浄土宗寺院”. 猫のあしあと. 2015年12月5日閲覧。
  9. ^ 『大田区の歴史』、115頁。
  10. ^ 『大田区の歴史』、付録10-11頁。
  11. ^ a b c d 『東京の文化財 第1号-第50号合冊』、200頁。
  12. ^ a b c 『東京都の文化財 3』、104頁。
  13. ^ 永瀬、97頁。
  14. ^ 巨樹名木探訪 虎狛神社のクロマツ”. 中川木材産業株式会社. 2015年11月23日閲覧。
  15. ^ 日本の名松100選”. 観光スポット-たびあん. 2015年11月23日閲覧。

参考文献

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  • 昭文社地図編集部 『スーパーマップル 関東 道路地図』 昭文社、2015年。ISBN 978-4-398-63243-2
  • 東京都教育委員会 『東京都の文化財 3無形文化財・民俗文化財・名勝・天然記念物』 1992年。
  • 東京都教育庁生涯学習部文化課『東京の文化財 第1号-第50号合冊』(昭和54年6月-平成3年9月) 1992年。
  • 新倉善之・文 東京にふる里をつくる会編 『大田区の歴史』 名著出版、東京ふる里文庫8、1978年。
  • 永瀬嘉平 『関東周辺の巨樹を歩く』書苑新社、1996年。ISBN 4-915125-75-0
  • 渡辺典博 『続 巨樹・巨木 日本全国846本』 山と渓谷社、ヤマケイ情報箱、2005年。ISBN 4-635-06256-2

関連項目

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外部リンク

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座標: 北緯35度35分44.9秒 東経139度39分32.7秒 / 北緯35.595806度 東経139.659083度 / 35.595806; 139.659083