コンテンツにスキップ

眼球定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
眼球定理:二つの赤い弦の長さは等しい。また二つの青い弦の長さも等しい。

眼球定理[1](がんきゅうていり、: Eyeball theorem)は、初等幾何学における二つのに関する定理。

主張

[編集]

眼球定理の主張は次の通り[2]

中心がそれぞれである2つの円が、どちらかがもう一方の円の中心を内包していない位置にあるとする。を端点とするに接する2半直線とそれぞれ、の交点をとしてそれらが成すについてが成り立つ。

眼球定理は、1960年ペルー数学者であるアントニオ・グティエレス(Antonio Gutierrez)が発見した[3]。しかし、Eyeball theoremという名が出現する以前の1938年、G.W.エヴァンス(Evans)が問題提起と解決をしていた[4]。エヴァンスはまた、眼球定理は以前に試験で出題されたものだと述べている[5]

眼球定理を発展させると、を通るの接線の接点を結んだ直線、をそれぞれの第二交点としてが成り立つことが分かる[4]

眼球定理の証明はいくつか知られている。中には丸山良寛の定理の延長として証明するものもある[6]

証明

[編集]

図においてより。したがって。同様にしてが示される。。

関連する定理

[編集]

1842年の愛知県算額によれば、図の様に、円と、もう一方の円に対して円の反対側の点を通るもう一方の円の接線に接する円の半径は等しい[7]

関連項目

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ リチャード・オクラ・エルウィス『マスペディア1000』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2016年12月23日、133頁https://www.google.co.jp/books/edition/%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A21000/bwWDDwAAQBAJ?hl=ja&gbpv=0 
  2. ^ Claudi Alsina, Roger B. Nelsen: Icons of Mathematics: An Exploration of Twenty Key Images. MAA, 2011, ISBN 978-0-88385-352-8, pp. 132–133
  3. ^ David Acheson: The Wonder Book of Geometry. Oxford University Press, 2020, ISBN 9780198846383, pp. 141–142
  4. ^ a b José García, Emmanuel Antonio (2022), “A Variant of the Eyeball Theorem”, The College Mathematics Journal 53 (2): 147-148. 
  5. ^ Evans, G. W. (1938). Ratio as multiplier. Math. Teach. 31, 114–116. DOI: https://doi.org/10.5951/MT.31.3.0114.
  6. ^ The Eyeball Theorem at cut-the-knot.org
  7. ^ Géry Huvent, Sangaku. Le mystère des énigmes géométriques japonaises, Dunod,‎ , p. 24, 65-66

参考文献

[編集]
  • Antonio Gutierrez: Eyeball theorems. In: Chris Pritchard (ed.): The Changing Shape of Geometry. Celebrating a Century of Geometry and Geometry Teaching. Cambridge University Press, 2003, ISBN 9780521531627, pp. 274–280

外部リンク

[編集]
  • Weisstein, Eric W. "Eyeball Theorem". mathworld.wolfram.com (英語).
  • Eyeball Theorem at Geometry from the Land of the Incas