百日祝い
百日祝い(ももかいわい)とは、日本、中国、韓国の新生児の生後100日目(または110日目、120日目[1])に行われる儀式。日本では「お食い初め(おくいぞめ)」や「
概要
[編集]個人差はあるが、新生児の生後100日頃に乳歯が生え始める。この時期に「一生涯、食べることに困らないように」との願いを込めて食事をする真似をさせる儀式である。
この儀式は、平安時代から行われてきたものである。
江戸時代には、生後120日経つと、飯や魚、5個の餅、吸い物、酒などの膳部(ぜんぶ:膳にのせて供する食物・料理)をそろえて幼児に食べさせる真似をした[5]。
祝い膳
[編集]伝統的な形の「お食い初め」は、一汁三菜の「祝い膳(いわいぜん)」が用意される。これには鯛など尾頭(おかしら)つきの魚および、赤飯・焚き物・香の物・紅白の餅のほか、吸う力が強くなるようにとの考えから吸い物(汁物)、歯が丈夫になるようにとの考えから歯固め石が供される[1]。食器は、正式には漆器で高足の御膳にしつらえる。器の漆の色も赤ちゃんの性別で異なり、男児は内外ともに赤色で、女児は黒色で内側が赤色である[要出典]。もっとも、簡単にするならこのように正式な形ではなく、祝い膳として離乳食を用意しミルクや母乳から離乳食へ切り替えのきっかけとしても構わないとされる。
歯固め石は、古くからの習わしでは地元の神社の境内から授かるもので、儀式が終われば再び境内へ納める。小石の代わりに固いクリの実を供する地域もある[要出典]。大阪をはじめ、関西地方では小石の代わりにタコを供する風習が存在する[6]。
長野県佐久地方では、祝い膳の直後に、洗い清めた石を皿に乗せ、焼鰯を添えた膳を作る風習がある。子供に石をしゃぶらせると、石をも噛み砕くような丈夫な歯が生えるといわれる[7]。
中国の風習
[編集]赤ちゃんのための命名式を行う。
髪の毛を切って「胎毛筆」と呼ばれる筆を作る。二つを祖父と祖母への贈り物にするのが、子供が生まれた後の最高の縁起物であり、一番喜ばれる贈り物だという伝統がある。
西洋の近似の風習
[編集]イギリスでは、生まれて間も無く行う幼児洗礼(命名式)の際に、スプーンを使ってお食い初めと似たことを行っていた。古くは、その子の親の身分や貧富によってスプーンの材質が違い、富裕な家では銀製、裕福でない家では木製のスプーンを使用した。このことから、良い家柄の・富裕な家の出身であることを表す「銀の匙をくわえて生まれてきた」という熟語ができた。現在では、幼児洗礼の贈り物として子供に銀のスプーンを贈る家庭がヨーロッパ各地で見られる。
参考文献
[編集]- 『冠婚葬祭・暮らしのマナー事典』 - 日本文芸社
- 『京都・観光文化検定試験 公式ガイドブック』p.234 - 京都商工会議所編、淡交社(2005年9月刊行) ISBN 4473032450
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c 京都検定ガイドブック p.234
- ^ 広辞苑第5版
- ^ “歯固めの石(お食い初め、百日のお祝い)”. 足立山妙見宮. 2018年8月15日閲覧。
- ^ “日本に伝わる歯にまつわる伝統行事”. サンギ. 2018年8月15日閲覧。
- ^ 『復元 江戸生活図鑑』(笹間良彦著、柏書房、113ページ)
- ^ 2010年5月6日放送の『秘密のケンミンSHOW』「ヒミツのOSAKA」の中で紹介された。
- ^ 佐久市志編纂委員会編纂『佐久市志 民俗編 上』佐久市志刊行会、1990年、712 - 713ページ。