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櫻の園 (漫画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
櫻の園
漫画:櫻の園
作者 吉田秋生
出版社 白泉社
掲載誌 LaLa
レーベル ジェッツコミックス
発表号 1985年 - 1986年
巻数 全1巻
全1巻(白泉社文庫)
映画:櫻の園
監督 中原俊
制作 ニュー・センチュリー・プロデューサーズ
封切日 1990年11月03日
上映時間 96分
映画:櫻の園 -さくらのその-
監督 中原俊
制作 「櫻の園」製作委員会
封切日 2008年11月8日
上映時間 102分
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

櫻の園』(さくらのその)は、吉田秋生オムニバス漫画1985年から1986年にかけて『LaLa』(白泉社)に連載された。

概要

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女子高校の演劇部に所属する生徒たちの心模様を描く。全4章から成り、各章のタイトルは「花冷え」「花紅」「花酔い」「花嵐」と季語となっている。

毎年春の創立記念日チェーホフの『桜の園』を演じるのが伝統になっている女子校・桜華学園で、演劇部に所属する少女たちの葛藤を通じて、少女たちの人間関係と心理を描いた。

1990年じんのひろあき脚本、中原俊監督で実写映画化された。2008年11月、中原俊監督がふたたびメガホンを取り福田沙紀を主演に迎えてリメイクされた。

また、映画と同じじんのひろあきの脚本で舞台化(演出は堤泰之)され、1994年4月東京芸術劇場にて初演、同年10月青山円形劇場にて再演、2007年6月と2009年4月に青山円形劇場で再演。

登場人物

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中野、杉山、志水、倉田の4名は、それぞれ「花冷え」「花紅」「花酔い」「花嵐」各章の主役となっている。

中野 敦子(なかの あつこ)
アーニャ役。付き合って1年になる彼氏のシンイチとそろそろHする時期なのかと悩んでいる。
杉山 紀子(すぎやま のりこ)
ヤーシャ役。何人もの男の子と付き合っており(肉体関係はない)、クラスメイトからは何となく遠巻きにされている。俊一という彼氏がいる。
倉田 知世子(くらた ちよこ)
ラネフスカヤ夫人役。敦子とは中等部からの親友。背が大きいことが悩みで、今までずっと男役ばかりだったので初めての女性役に戸惑う。男女のことについてとても奥手。
志水 由布子(しみず ゆうこ)
ドゥニャーシャ役。演劇部の新部長。同級生だが敦子はなぜか敬語を使ってしまう。男嫌いで、知世子に好意を持っている。
井上 志摩子(いのうえ しまこ)
敦子とは中等部からの親友。男女のことについては耳年増。
中野 綾子(なかの あやこ)
敦子の10歳年上の姉。桜華学園の卒業生。間もなく結婚する。
坂田 シンイチ(さかた しんいち)
敦子の彼氏。別の高校のラグビー部。

発刊

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映画

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1990年版

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1990年11月3日公開。製作はニュー・センチュリー・プロデューサーズサントリー、配給はアルゴプロジェクト

原作に対して様々なアレンジが加えられており、「女子の園」を詩的に美しく描くことに重点が置かれ、全体として大きく雰囲気の異なる作品となっている。以下は変更点のうちとくに大きなもの。

  • 原作は3月初旬頃から桜吹雪の頃(学園の創立記念日=『桜の園』上演日)にかけてのストーリーであるのに対し、本作は創立記念日当日の朝8時前から開演までの2時間あまりのみを、リアルタイム進行に近い形で描いている。
  • 特定の数人にフォーカスして内面語りを多用する原作に対し、本作では内面描写や独白の類はほぼない。かわりに、演劇部員を演じるキャスト全員に役名とセリフがあり、「女子高の群像劇」の印象が強い。
  • 上記と関連して「異性問題で悩む思春期」の様相は全く強調されず、一部員の雑談として簡単に触れられるのみ。「城丸香織」の彼氏も登場はするが、そこにも葛藤はない。一方、原作では多くの男子と遊んでいた「杉山紀子」は部員のひとりに一途な思いを寄せる設定に変更されるなど、香りづけ程度ではあるが「百合」的な要素が若干上乗せされている。
  • 登場人物の追加・改変。2年生で舞台監督の「城丸香織」は:原作にないキャラだが準主演の位置づけである。「杉山紀子」「倉田知世子」の2名は、物静かでオーラのある人物として描かれ、原作とは大いに印象が違う。演劇部顧問の「里美先生」(原作では無名のチョイ役)もセリフの多い重要な役どころとなっている。

20人を超える演劇部員は全てオーディションで選ばれている。 「少女達の友情」という、あまり注目されなかった題材を派手さを抑えて繊細に静かに描ききったことで、クオリティの高い作品として第64回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位受賞をはじめ各方面で高い評価を受け、同時に興行的にも成功して当時の話題となった。

キャスト

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桜華学園・演劇部3年

聖華女子学園

知世子ファンの2年生

桜華学園・演劇部2年

その他

その他スタッフ

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ロケ地

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エンドロールにクレジットされているのは聖望学園のみ。なお、部室周辺はスタジオセットである。

受賞

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ノベライズ

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2008年版

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2008年11月8日全国公開。配給松竹。主演の福田沙紀は、映画初出演で初主演となる。監督は再び中原俊が務めたが、脚本は『自虐の詩』の関えり香が担当。1990年版のリメイクではなく、リ・イメージとして、内容を一新。現代的な青春ガールズムービーとなっている。名門お嬢様女子高、櫻華学園では、ある事情によりチェーホフ『桜の園』の上演が禁じられており、そこに転校してきた元ヴァイオリニストの女の子が、その上演を復活させようと仲間と共に奔走する話、という設定に変えられている。

キャスト

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スタッフ

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ロケ地

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  • 武蔵野音楽大学入間キャンパスバッハザール(埼玉県入間市)
  • 紅秀峰橋付近の道路(山形県寒河江市)
  • 加藤学園御殿場キャンパス(静岡県御殿場市)
  • 天鏡閣(福島県耶麻郡 外観のみ)
  • 寒河江公園(山形県寒河江市)
  • 山形県立寒河江高等学校(山形県寒河江市)
  • 山形県農業総合研究センター(山形県山形市)
  • 白石川堤一目千本桜(本編及び特典映像 宮城県大河原町)
  • 山形駅前ペデストリアンデッキ付近(山形県山形市)
  • create junction ULURU(神奈川県川崎市)
  • 若宮公園(神奈川県厚木市)
  • スタジオピアB福町(東京都杉並区 ハウススタジオ)
  • 多摩川河川敷(東京都調布市 左岸)
  • 川崎市市民ミュージアム(メイキング映像 神奈川県川崎市)
  • 山形県立博物館教育資料館(特典映像 山形県山形市)
  • 文翔館(特典映像 山形県山形市)
  • 十思スクエア(ビジュアルブック 東京都中央区)

受賞

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主題歌

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オフィシャルビジュアルブック

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  • 「櫻の園」オフィシャルビジュアルブック:撮影 蜷川実花

ノベライズ携帯小説

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  • 「櫻の園」:かな(スターツ出版 ¥1,080)

舞台

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1994年版

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初演

1994年4月5日から4月10日まで東京芸術劇場小ホール1で上演。

キャスト

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その他スタッフ

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再演

1994年10月26日から10月30日まで青山円形劇場で上演。 第8回青山演劇フェスティバル参加作品

キャスト

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その他スタッフ

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  • 脚本:じんのひろあき
  • 構成・演出:堤泰之
  • 美術:本江義治
  • 照明:倉本泰史
  • 音楽:伊東尚司
  • 衣装:池田しょう子
  • 舞台監督:二本松武
  • 演出助手:米田まゆみ
  • 企画・制作:プラチナペーパーズ

2007年版

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2007年6月24日から7月1日まで青山円形劇場で上演。一部はWキャスト(表記は星組公演、月組公演の順)

キャスト

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その他スタッフ

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2009年版

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2009年4月22日から4月29日まで青山円形劇場で上演。一部はWキャスト(表記は星組公演、月組公演の順)

キャスト

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その他スタッフ

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2011年版

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2011年7月13日から7月18日まで相鉄本多劇場で上演。2011年春に上演予定だったが、東日本大震災の影響で延期となった。

キャスト

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その他スタッフ

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外部リンク

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脚注

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注釈

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出典

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