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樅ノ木は残った (1990年のテレビドラマ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
樅ノ木は残った
ジャンル 時代劇
原作 山本周五郎
樅ノ木は残った
脚本 杉山義法
監督 山下耕作
出演者 里見浩太朗
秋吉久美子
西郷輝彦
喜多嶋舞
青山裕一
坂上忍
野村真美
船越栄一郎
新田純一
佐野圭亮
沖田浩之
中村嘉葎雄
若山富三郎
高橋幸治
山田五十鈴
ナレーター 黒沢良
オープニング 小椋佳「仮眠」(まどろみ)
時代設定 江戸時代
製作
制作 日本テレビ
製作著作:ユニオン映画
放送
放送チャンネル日本テレビ系列
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1990年1月2日
放送時間火曜 20:04〜23:22
放送枠新春時代劇スペシャル
放送分198分
回数1
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樅ノ木は残った』(もみのきはのこった)は、1990年1月に日本テレビ系で「新春時代劇スペシャル」として放映されたテレビドラマである。主演:里見浩太朗

山本周五郎著の同名小説5回目の映像化作品。1990年1月2日の本放送。1988年まで同局の年末年始の看板大作「年末時代劇スペシャル」の主要出演者だった里見主演として企画されたこともあり、「年末時代劇スペシャル」姉妹編の趣も濃い作品である[1]

概要

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1989年、当時の歳末看板大作として定着していた「年末時代劇スペシャル」第5弾『奇兵隊』(主演:松平健)に、同シリーズ開始(1985年)以来、連続出演してきた里見の出演がないことが決まり、里見主演作として別に、年始大作として本作が企画・制作された。

「年末時代劇スペシャル」(当時は2日がかりの前後編放映)1日分にあたる放送枠[2]にて放映され、CM抜きの本編時間は3時間近くに及ぶ、約167分。

同年末に放送された第6弾『勝海舟』(田村正和田村亮 主演)にも里見は出演しておらず、「新春時代劇スペシャル」第2弾が制作の運びとなり、1991年年始に里見主演作『寛永風雲録』が放映されている。

脚本について

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先述通り、同原作の映像化は数多く、テレビ単発枠でのドラマ化も2度目となる[3][4]

原作の脚色は「年末時代劇スペシャル」を第一作から手がけてきた杉山義法が、年末から「移籍」する形で担当した[5]。1988年までの「年末時代劇スペシャル」4作は基本的にオリジナル脚本だったのに対して、今回は原作付きであることが1988年までの年末作品とは異なるが、内容面では「滅びの交響楽」の側面を持っていた4作と本作には近似性があった[6]

主人公・甲斐の周辺に注目すると、甲斐の側女・おくみの存在感が原作よりも高まっており、秋吉久美子が演じて、事実上のヒロインとして描かれている。

本放送結果

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本放送日は、テレビ東京系12時間超ワイドドラマ『宮本武蔵』第5部〜第6部[7]との「正面対決」となり、視聴率は残念ながら本作の「惨敗」[8]となっている。作品の質として「評価は高かった」といい[8]、数字面で「誠に不運な結果」「時代劇の同士討ち」[8]とも評された。

ソフト発売等

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本放送翌年、1991年1月にVHS版発売(レンタル有)。DVD版(2枚組)でも2001年1月に発売、2008年12月にはDVD版レンタルも開始されている[9]

本放送後、早期にソフト発売が行われてもおり、長らく店舗でのレンタルで比較的容易に視聴可能な作品だったが、2020年代にはレンタルソフト市場の縮小が顕著となって、サービス実施店舗が激減しているのが現状のため、ソフト視聴面では、ネットレンタルが現実的な視聴手段となりつつある。

テレビでの再放送としては、地上波以外でBS日テレで再放送履歴があり、CS時代劇専門チャンネルでも度々再放送されている。

脚注

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  1. ^ 本作DVD版の販売・レンタル共に「年末時代劇スペシャル」シリーズ作品との同時開始であったことにも拠る。
  2. ^ 放送枠については表の通り、『奇兵隊』後編・約207分に匹敵する規模だった。
  3. ^ 日本テレビ系でのドラマ化は初めて。本作の後、2010年に3作目の単発ドラマ版が放送された(テレビ朝日系・2時間15分枠)。
  4. ^ 同原作の単発ドラマ版3作のうち、本作が最も長編。
  5. ^ このため、1989年年末の『奇兵隊』脚本は野上龍雄が書いている。
  6. ^ 先述通り、1990年の年末 - 1991年正月も同様の状況となったが、杉山は年末時代劇に「復帰」して『勝海舟』の脚本に専念しており、新春の里見主演作『寛永風雲録』には関わっていない。
  7. ^ 本作放送の時間帯は、番組のクライマックス・巌流島の決闘へと至る過程を放送していた。
  8. ^ a b c 当時のフジテレビ時代劇プロデューサー・能村庸一の著書「実録テレビ時代劇史」(ちくま文庫版・p435・2014年刊)より
  9. ^ 先に触れた通り、販売DVDは1991年以降の「年末時代劇スペシャル」シリーズ3作と同時発売、DVDレンタルも同シリーズ全9作との同時開始となっている。