本田由紀
人物情報 | |
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全名 | 本田 由紀(ほんだ ゆき) |
生誕 |
沖津 由紀 1964年12月24日(59歳) 日本・徳島県徳島市 |
居住 | 日本 |
国籍 | 日本 |
配偶者 | あり |
子供 | 2人(長男・長女) |
学問 | |
時代 | 平成時代前期 - |
活動地域 | 日本 |
研究分野 | 教育社会学 |
学位 |
博士(教育学) 修士(教育学) |
主な受賞歴 | 第6回大佛次郎論壇賞奨励賞(2005年) |
本田 由紀(ほんだ ゆき、1964年(昭和39年)12月24日 - )は、日本の教育学者。博士(教育学)。東京大学大学院教育学研究科教授。放送大学客員教授。
専門は教育社会学、教育システムと他の社会システムとの関係およびその変化に関する実証的・理論的研究。学校教育と労働・就業問題を検討し、論じる。「ニート」という概念の曖昧さと問題点も指摘し批判。著書に『若者と仕事』『多元化する「能力」と日本社会』(2005年)、『もじれる社会』(2014年)など。旧姓は沖津。
来歴
[編集]伝記の記載を年譜形式のみとすることは推奨されていません。 |
1983年、香川県立高松高等学校を卒業し、東京大学文科三類に入学。1987年、東京大学教育学部教育学科教育社会学コース卒業。1989年、大学院教育学研究科修士課程修了。1994年、大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。2004年、学位論文「教育システムと職業システムとの関係における日本的特徴に関する研究 : トランジションとレリバンスの比較歴史社会学」により博士(教育学)。
1994年10月、日本労働研究機構研究員。2001年、同大社会科学研究所助教授。2003年から2006年まで、同大大学院情報学環助教授併任。2006年、内藤朝雄・後藤和智との共著で刊行した『「ニート」って言うな!』の中で、同僚であった玄田有史の提唱した「ニート」という概念の曖昧さと問題点を指摘して、玄田のニート論を批判・否定した。 2007年、同大学院教育学研究科准教授、2008年、同教授。その後、東京大学教育学部附属中等教育学校校長も務め、学校教育、とりわけ専門高校(旧称:職業高校)と労働や就業の問題への検討を行っている。
ハイパー・メリトクラシー
[編集]本田は2005年に出版した著書『多元化する「能力」と日本社会―ハイパー・メリトクラシー化のなかで』でハイパー・メリトクラシーという概念を提唱した。あえて日本語に訳すと「超業績主義」を意味する。日本の近代社会は、学歴をはじめとする手続き的で客観的な能力が求められてきたという意味で、メリトクラシー的であった。それに対して、今日では、コミュニケーション能力をはじめとする独創性や問題解決力などのような、より本質的で情動に根差した能力が求められるポスト近代社会に移行しつつある。そのような社会を本田はハイパー・メリトクラシーと呼んでいる。
著書
[編集]単著
[編集]- 『若者と仕事――「学校経由の就職」を超えて』(東京大学出版会、2005年)
- 『多元化する「能力」と日本社会――ハイパー・メリトクラシー化のなかで』(NTT出版、2005年) - 第6回大佛次郎論壇賞奨励賞
- 『「家庭教育」の隘路――子育てに強迫される母親たち』(勁草書房、2008年)
- 『軋む社会――教育・仕事・若者の現在』(双風舎、2008年/河出文庫、2011年)
- 『教育の職業的意義――若者、学校、社会をつなぐ 』(ちくま新書、2009年)
- 『学校の「空気」』(若者の気分)(岩波書店、2011年)
- 『社会を結びなおす――教育・仕事・家族の連携へ』(岩波ブックレット、2014年)
- 『もじれる社会――戦後日本型循環モデルを超えて』(ちくま新書、2014年)
- 『教育は何を評価してきたのか』(岩波新書 2020年)
- 『「日本」ってどんな国? ――国際比較データで社会が見えてくる 』(ちくまプリマー新書、2021年)
共著
[編集]- (長尾彰夫・野口克海・宮田彰・志水宏吉・堀家由妃代)『「学力低下」批判――私は言いたい6人の主張』(アドバンテージサーバー[AS選書]、2002年)
- (内藤朝雄・後藤和智)『「ニート」って言うな!』(光文社新書、2006年)
- (湯浅誠・河添誠編、後藤道夫・中西新太郎共著)『「生きづらさ」の臨界――“溜め”のある社会へ』(旬報社、2008年)
- (太田光・田中裕二)『爆笑問題のニッポンの教養 30 我働くゆえに幸あり?』(講談社、2008年)
- (益川敏英・小森陽一・木附千晶・藤田英典)『教育を子どもたちのために』(岩波ブックレット、2009年)
- (遠藤公嗣・木下武男・布川日佐史・後藤道夫・今野晴貴・小谷野毅・河添誠・田端博邦)『労働、社会保障政策の転換を――反貧困への提言』(岩波ブックレット、2009年)
- (芹沢一也・荻上チキ編、飯田泰之・鈴木謙介・橋本努・吉田徹共著)『日本を変える「知」――「21世紀の教養」を身に付ける』(光文社、2009年)
- (神保哲生・宮台真司・山田昌弘ほか)『格差社会という不幸――神保・宮台(激)トーク・オン・デマンド7』(春秋社、2009年)
- (雨宮処凛・新井紀子・石原千秋ほか)『ほかの誰も薦めなかったとしても今のうちに読んでおくべきだと思う本を紹介します。』 (河出書房新社、2012年)
- (古市憲寿・須藤康介)『文系でもわかる統計分析――社会学』 (朝日新聞出版、2012年)
- (小森陽一・成田龍一)『岩波新書で「戦後」をよむ』(岩波新書、2015年)
- (金子勝,大沢真理, 山口二郎,遠藤誠治,猿田佐世)『日本のオルタナティブ:壊れた社会を再生させる18の提言』(岩波書店、2020年)
編著
[編集]- 『社会人大学院修了者の職業キャリアと大学院教育のレリバンス――社会科学系修士課程 (MBAを含む) に注目して』資料編(東京大学社会科学研究所、2003年)
- 『社会人大学院修了者の職業キャリアと大学院教育のレリバンス――社会科学系修士課程 (MBAを含む) に注目して』分析編(東京大学社会科学研究所、2003年)
- 『女性の就業と親子関係――母親たちの階層戦略』(勁草書房、2004年)
- (平沢和司)『リーディングス 日本の教育と社会第2巻 学歴社会・受験競争』(日本図書センター、2007年)
- 『若者の労働と生活世界――彼らはどんな現実を生きているか』(大月書店、2007年)
- 『転換期の労働と「能力」』(労働再審1)(大月書店、2007年)
- (苅谷剛彦)『大卒就職の社会学――データからみる変化』(東京大学出版会、2010年)
- (筒井美紀・櫻井純理)『就労支援を問い直す――自治体と地域の取り組み』(勁草書房、2014年)
- 『現代社会論――社会学で探る私たちの生き方』(有斐閣ストゥディア、2015年)
- (乾彰夫・中村高康共編)『危機のなかの若者たち 教育とキャリアに関する5年間の追跡調査』(東京大学出版会、2017年)
- (伊藤公雄共編)『国家がなぜ家族に干渉するのか 法案・政策の背後にあるもの』(青弓社ライブラリー、2017年)
- 『文系大学教育は仕事の役に立つのか 職業的レリバンスの検討』(ナカニシヤ出版、2018年)
- (中村高康共編)『教育の社会学』(放送大学教育振興会、2025年)
その他
[編集]- (古市憲寿)『希望難民ご一行様――ピースボートと「承認の共同体」幻想』 (光文社新書、2010年) - 解説と反論
- (ヒュー・ローダーほか編)『市場と労働の教育社会学』 (東京大学出版会、2012年) - 広田照幸・吉田文共編訳
- (鈴木翔)『教室内(スクール)カースト』 (光文社新書、2013年) - 解説
出演
[編集]テレビ番組
[編集]- 爆笑問題のニッポンの教養 File031 我働くゆえに幸あり?(NHK総合テレビ、2008年3月18日)
- 視点・論点「家庭の教育力とは?」(NHK教育テレビ、2008年4月22日)
- NHKスペシャル 追跡・秋葉原通り魔事件(NHK総合テレビ、2008年6月20日)
- 地域発!どうする日本「変わる義務教育 学ぶ力をどう伸ばす」(NHK総合テレビ、2008年12月19日)
ウェブ番組
[編集]- デモクラシータイムス(YouTube、不定期)
- ポリタスTV(YouTube、2020年7月28日)
- ビデオニュース・ドットコム(2023年1月14日)
脚注
[編集]外部リンク
[編集]- はてなダイアリー もじれの日々 (2006年8月28日以降非公開)
- 日本の人事部 スペシャルインタビュー(2005年7月11日)
- 森本毅郎・スタンバイ 本田由紀さんインタビュー(2006年1月9日)
- 本田由紀 (@hahaguma) - X(旧Twitter)(2010年2月25日 00:19:37 - )UTC表記
- 本田由紀 - J-GLOBAL
- 論文一覧(KAKEN)
- 本田由紀 - researchmap