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朝鮮宇宙空間技術委員会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
朝鮮宇宙空間技術委員会
Korean Committee of Space Technology
조선우주공간기술위원회
組織の概要
設立年月日1980年代
管轄朝鮮民主主義人民共和国政府
本部所在地朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国
平壌直轄市
国家航空宇宙技術総局
National Aerospace Technology Administration
국가항공우주기술총국
組織の概要
設立年月日2023年9月27日
継承前組織
  • 国家宇宙開発局
管轄朝鮮民主主義人民共和国政府(KCST?)
本部所在地朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国
平壌直轄市

朝鮮宇宙空間技術委員会(ちょうせんうちゅうくうかんぎじゅついいんかい、朝鮮語:조선우주공간기술위원회: Korean Committee of Space Technology - KCST)は、朝鮮民主主義人民共和国国営の宇宙機関国家航空宇宙技術総局(National Aerospace Technology Administration - NATA)は、本組織の別名にすぎないと見做されている[1]

概要

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KCSTに関する公的に入手可能な情報は非常に少なく、1980年代に設立された[2]ことが知られており、朝鮮人民軍ミサイル指導局英語版と繋がりがあると見られている。KCSTは人工衛星の製造といった北朝鮮の全ての宇宙開発関連の計画を担当しており、射場舞水端里東倉里の2箇所にあるとされている。

2009年、北朝鮮は独自の有人宇宙飛行計画や、部分的再利用可能な有人ロケットの開発を含めた、より野心的な将来の宇宙計画を発表し[3]、同年3月12日宇宙条約宇宙物体登録条約に署名した[4]

2015年10月に北朝鮮の国家宇宙開発局(National Aerospace Development Administration - NADA)が、国際宇宙航行連盟(IAF)へ加盟を申請して一度は加盟が承認されたと発表したものの、同月中に韓国航空宇宙研究院と国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルがIAFに対してNADAは国連安保理による制裁対象である朝鮮宇宙空間技術委員会の別名であるにすぎないとする書簡を送付し、IAFはNADAの加盟を取り消した[1]。その後、NADAは2023年に2回の偵察衛星打ち上げ失敗を経て9月に国家航空宇宙技術総局(National Aerospace Technology Administration - NATA)へと名称を変更され[5]、背水の陣で11月22日の衛星打ち上げに臨み、軌道投入に成功させ衛星の運用も行っていると主張している[6][7]

光明星1号・2号の打上げ

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北朝鮮は、1998年8月31日テポドン1号(北朝鮮名:『白頭山1号』)で北朝鮮初となる人工衛星『光明星1号』を、2009年4月5日テポドン2号改良型(北朝鮮名:『銀河2号』)で人工衛星『光明星2号』を打上げ、地球周回軌道への投入に成功したと主張しているが、北朝鮮以外のいずれの国においても、軌道上にあるとするこれらの人工衛星の存在を確認できていない。日本アメリカ合衆国韓国は、これらの打ち上げについて、仮に人工衛星が積まれていたとしても軌道の投入には失敗しており、打ち上げは人工衛星の打ち上げを口実にした事実上の弾道ミサイルの発射実験であったと分析した。

光明星3号の打上げ

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2012年、北朝鮮は新たに人工衛星を打ち上げることを国際社会に向けて発表した。北朝鮮は、今度の打ち上げが、北朝鮮が弾道ミサイル技術を使用した飛翔体の発射をすることを禁止した過去の国連安保理決議169517181874に抵触せず、いかなる国も宇宙を平和利用する権利はあると主張するために、新たに建設された東倉里の射場と管制センターに各国のマスコミを異例的に大々的に招待して公開した。そして4月13日に東倉里の射場から、人工衛星『光明星3号』を搭載したとされるテポドン2号改良型(北朝鮮名:『銀河3号』)を打ち上げた。しかし銀河3号は打ち上げ後まもなく爆発し、バラバラになって黄海に墜落した。北朝鮮は同日中の朝鮮中央通信のニュースで公式に打ち上げの失敗を認めた。各国のメディアは、「北朝鮮はこの打ち上げを成功させることで、金日成生誕100周年を大々的に祝い、金正恩新体制を権威付ける予定であったが、失敗したことで金正恩新体制は発足当初から苦しいものとなった」と報じた。また打ち上げの責任者が粛清される可能性についても報じた。

同年12月12日に、4月に行われた発射実験の時と同名の『銀河3号』で『光明星3号2号機』が打ち上げられた。打上げ後まもなくして北朝鮮は衛星の軌道投入に成功した事を発表し、同日中に北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)も、この発射により北朝鮮が人工衛星の軌道投入に成功したと見られる事を発表した[8]

国連安全保障理事会による制裁

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2013年1月23日、光明星3号の打上げを受けて召集された国連安全保障理事会において、朝鮮宇宙空間技術委員会を含む北朝鮮の4団体と個人6名を資産凍結の制裁対象とする国連安保理決議2087が全会一致で採択された[9]

関連項目

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脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b “北朝鮮の国際宇宙航行連盟加盟取り消し”. 産経新聞. (2015年10月20日). オリジナルの2016年3月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160304113010/http://www.sankei.com/world/news/151020/wor1510200021-n1.html 2023年11月15日閲覧。 
  2. ^ Despite Clinton, Korea has rights. February 25, 2009
  3. ^ 朝鲜宣布发展太空计划抗衡“西方强权””. Rodong Sinmun (2009年2月7日). 2023年12月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月20日閲覧。
  4. ^ KCNA Report on DPRK's Accession to International Space Treaty and Convention”. KCNA (2009年3月12日). 2009年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年3月14日閲覧。
  5. ^ “NASAそっくり!“衛星”発射の北朝鮮科学者の服に「NADA」のロゴが…”. FNNプライムオンライン. (2023年11月22日). https://www.fnn.jp/articles/-/619096 2023年11月25日閲覧。 
  6. ^ “North Korea's Kim says satellite launch was exercise of right to self-defence”. ロイター. (2023年11月24日). https://www.reuters.com/world/asia-pacific/north-koreas-kim-says-satellite-launch-was-exercise-right-self-defence-2023-11-24/ 2023年11月25日閲覧。 
  7. ^ “北朝鮮「偵察衛星で在韓米軍基地を撮影」 写真公開せず”. 日本経済新聞. (2023年11月25日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB250OY0V21C23A1000000/ 2023年11月25日閲覧。 
  8. ^ 北朝鮮ミサイル発射 米NORAD、衛星の軌道進入確認 Archived 2012年12月12日, at the Wayback Machine.、朝日新聞 2012年12月12日
  9. ^ 北朝鮮によるミサイル発射に関する安保理決議の採択(概要) 外務省 2015年1月23日