日本トンデモ本大賞
と学会 |
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関連項目 |
トンデモ本 |
日本トンデモ本大賞 |
運営委員 |
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一般会員 |
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物故会員 |
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公式サイト |
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日本トンデモ本大賞(にほんトンデモぼんたいしょう)は、日本で前年度に刊行された数多の書物の内でもっともトンデモないもの、すなわち最高のトンデモ本を選んでしまおうという企画である。と学会で選定した数冊のノミネート本のほか、一般投票で候補作として推薦された本のうち、最も多くの票を集めた本が大賞とされた。
第1回は1992年に日本SF大会の一コーナーとして行なわれ、第2回以降はこれをきっかけに発足したと学会によって、やはり主に日本SF大会の一部として開催されてきたが、2003年からは同団体主催の独立したイベント[注釈 1]になった。
選考方法・投票の傾向
[編集]前年で一年間に発売された書籍の中から「特にトンデモないもの」数冊がノミネートされた。第22回までの選考権者は会長の山本弘。
会長はじめ運営委員を中心とするメンバーによって座談会形式のプレゼンテーションが行われ、ノミネート作の紹介の後それ以外の本も紹介された。大賞受賞作は会場の観客の投票によって決定され、ノミネート作以外にも(当日紹介されていないものも含めて)投票することができた(ノミネート外の作品が次点となったこともあった)。
大賞受賞者には賞状と粗品が送られることになっていたが、会長(京都府出身、大阪在住)名義で郵送していたため、身内への報復を恐れてか[注釈 2]、当時大阪に在住していた武田了円には送らなかったという[1]。また、暗号解読系の人が賞に勝手な解釈をしたり、陰謀論系の人が自説の正当性の証明に使ったりしないかといった危惧が(冗談めかして)語られることもある。
初期の受賞作には内容が独創性の強いもの、「濃い」ものが多かったが、近年の傾向としては、内容はあまり深くないがインパクトの強いもの、間違いや突込みどころが多いものが大賞に選ばれる傾向が強い。
受賞リスト
[編集]- 第1回(1992年) - 川尻徹 『ノストラダムス複合解釈』 ISBN 4195047072、『ノストラダムス戦争黙示』 ISBN 4195045312 徳間書店(トクマブックス)
- 第2回(1993年) - 三上晃 『植物は警告する』[注釈 3] ISBN 4884812913 たま出版
- 第3回(1994年) - 小石泉 『悪魔最後の陰謀』 ISBN 4887190131 第一企画出版(キリスト教根本主義系陰謀論)[注釈 4]
- 第4回(1995年) - ヤミリ・キリー 『アトランティスのミンダ王女 500機のUFO従え「生命の樹」へ』 (桑原啓善監修) ISBN 4795291829 でくのぼう出版(「人類を守るためサタンと戦っている」という内容)[注釈 6]
- 第5回(1996年) - 武田了円 『世界の支配者は本当にユダヤか』 ISBN 4887190271 第一企画出版(ニャントロ人)
- 第6回(1997年) - 松平龍樹 『発情期ブルマ検査』[注釈 7][注釈 8] ISBN 4576961764 マドンナ社(マドンナメイト文庫)(ヒロインがアニメファンという異色の官能小説)。
- 第7回(1998年) - シャーマン武田 『想造結果』 ISBN 4884819446 たま出版(「人間の意識が現実を創造する」とする説)
- 第8回(1999年) - 阿修羅王 『異次元の扉』 ISBN 488629278X 鳥影社(エロスな心霊体験)
- 第9回[注釈 9](2000年) - 山下弘道 『大地からの最終警告』 ISBN 4812700116 たま出版(陰謀論&超古代文明)[注釈 10]
- 第10回[注釈 11](2001年) - 渓由葵夫 『奇想天外SF兵器』 ISBN 4883173399 新紀元社(間違いだらけのSF解説書)
- 第11回(2002年) - 天野仁 『忍者のラビリンス』 ISBN 4789301087 創土社(オカルト交じりの忍者論)
- 第12回[注釈 12](2003年) - 村津和正 『歯は中枢だった』[注釈 13]ISBN 4990066626 KOS九州口腔健康科学センター(歯を生物の中心とみなす疑似医学)
- 第13回(2004年) - 塩瀬中乗 『ガチンコ神霊交友録』[注釈 14] ISBN 4879195847 三交社
- 第14回(2005年) - 副島隆彦 『人類の月面着陸は無かったろう論』 ISBN 4198618747 徳間書店(アポロ計画陰謀論)[注釈 15]
- 第15回(2006年) - 前田文彬 『量子ファイナンス工学入門』[注釈 16] ISBN 4817191457 日科技連出版社(量子論とファイナンス論という異色の取り合わせ。文部科学省から科学研究費補助金が出ている点も評価された)
- 第16回(2007年) - 枡谷猛 『人類の黙示録』 ISBN 4286003981 文芸社(「世界の歴史は日本の歴史を繰り返す形で動く」とする説に基づく近未来の世界情勢の予言[注釈 17])
- 特別賞[注釈 18] 木村守一『絹と立方体』(フィクションなどに登場する「架空の文字」を集めた自費出版本)、MOSAIC.WAV「ギリギリ科学少女ふぉるしぃ」(疑似科学をパロディにした楽曲)
- 第17回(2008年)[注釈 19] - ウォレス・ワトルズ 『富を「引き寄せる」科学的法則』(『The science of getting rich 』)[注釈 20] ISBN 4042972012(英語版原本の刊行が1911年であり、その理論は20世紀の歴史を通じて多くが否定されたにもかかわらず、近年になって日本語訳されて「新しい理論」として話題となった)
- 第18回(2009年) - 船瀬俊介 『新・知ってはいけない!?』ISBN 4198626332 徳間書店(日本人だけが知らない世界の100の常識を紹介するシリーズの第2弾。中には科学的根拠のあるものも含むものの、結果的には典型的な陰謀論・トンデモ説の現状を集成する内容になってしまっているとしている。[注釈 21])
- 第19回(2010年) - 杉山徹宗 『平和宇宙戦艦が世界を変える』ISBN 4829504587 芙蓉書房出版
- ベスト・オブ・ベスト[注釈 22](2011年) - 副島隆彦 『人類の月面着陸は無かったろう論』
- 第20回[注釈 23](2011年) - 大川隆法 『宇宙人との対話』ISBN 4863950470 幸福の科学出版
- 第21回(2012年) - 泉パウロ 『3・11[人工地震説の根拠]衝撃検証 本当かデマか』ISBN 4905027438 ヒカルランド
- 第22回(2013年) - ポストメディア編集部 編 『お城でBL』ISBN 9784758012713 一迅社(城を擬人化してBL的な意味で「城攻め」する本)
- 2014年度 - 諸般の事情により、史上初の中止となった[3]。後にそれまで候補作を選んでいた山本弘がと学会を退会したことが理由と発表された[4]。
- 第23回(2015年) - 文部科学省 『私たちの道徳 小学五・六年生』ISBN 978-4-331-75187-9 廣済堂あかつき[5](似非科学の江戸しぐさが載っている。文部科学省作成という点も評価された。)
- 2016年度 - 諸般の事情により、2度目の中止となった[6]。
2度目の中止となった2016年度以降、開催されていない。
備考
[編集]- 選考会の様子の一部は、『と学会年鑑』で読むことができる。
- と学会が独立してイベントを行うようになった背景には、SF大会が日本各地で開かれるため遠隔地や交通機関のアクセスが悪い所が会場となる場合もあるというデメリットがある。実際開催地が島根県玉造温泉であった第11回ではパネリストのと学会メンバーの集まりが悪く、イベント終了後からと学会の自主開催で毎年東京で開催する方針が持ち上がり結果この年が最後のSF大会内開催となった。
- 2015年、ドイツにおいてGoldener Aluhutという似たような賞が発足した。Aluhutとはアルミホイルで作った帽子のことで、電磁波の影響やマインドリーディング・マインドコントロールを防いだり、宇宙と交信したりする意図で使われる。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 正式名称は「日本トンデモ本大賞選考式・授賞式」。
- ^ 『トンデモ世紀末の大暴露』にそれをほのめかす記述がある[1]。
- ^ 疑似科学系トンデモ本の代名詞だが、当時は無名でダークホース的存在だった。また受賞者の三上からは「これからもトンデモない本を書き続けていきたいです」と、賞の趣旨を勘違いした感謝の手紙が届けられた。
- ^ 有名政治家や俳優などを「悪魔組織」の一員と主張したり、妄想か都市伝説まがいの「陰謀」が記されている。
- ^ この受賞に対し、大槻本人は「私の宜保愛子批判は金儲けのためと『表彰』した」と受賞を拒否、更にと学会を「表面的には反オカルトのように見えますが、実は本質的にはオカルト、オカルトモドキだと思っています」と非難している[2]なお副賞として、「大槻と宜保愛子がお金の山を前に論争しているという切り絵がついていた。」と主張しているが、実際は「宜保愛子がお金の山の前でご満悦のところに、大槻が現れてこぶしを振り上げている」という切り絵であり、大槻は二重の意味で事実誤認をしていることになる。
- ^ 「ミンダ王女」とは著者の前世名。「生命の樹」とは監修者が主催するオカルト団体の名(著者も会員)。
- ^ 著者の経歴に「トンデモ本大賞受賞」が加えられた唯一の例(出版社の方針)。
- ^ 本人は受賞に戸惑ったとはいえ「著者の意図に反して」というトンデモ本の定義に沿うか疑問視する声も(小説などフィクション分野のトンデモは「作者がそれを狙っていないこと」が重要とされる。この場合アニメネタによりポルノとして成り立たないことが「トンデモ」とされた理由だが、それがこの著者の作風であるのもまた事実)。
- ^ ノミネートされてはいないが小林よしのり『戦争論』 週刊金曜日『買ってはいけない』にも言及。ちなみに『買ってはいけない』については日垣隆 が「トンデモ本大賞確定」と同書を批判する文面においてコメントしていたが、これについては「勝手に決めてはいけません」との事。
- ^ ムー大陸を舞台にした妙なファンタジー小説も入っているが、登場人物や設定など考証がメチャクチャで、昨今の文化風俗を批判しながらも、現在の漫画やアニメに影響を受けたとしか思えない至極ありがちな展開だらけという内容だった。
- ^ ノミネート作に江本勝の「水の結晶」本も。他には日木流奈についても言及される(翌年NHKスペシャル『奇跡の詩人』で肯定的に取り上げられ、その直後から大問題になった)。
- ^ と学会単独で開催の第一回目。
- ^ 本命と目されていた森昭雄『ゲーム脳の恐怖』を押さえて受賞。2007年3月に著者がTVの情報番組に出演したことが週刊誌で取り上げられた(山本弘のコメント付き)。
- ^ 筆者の守護霊との交友録、靖国神社に赴いてA級戦犯に退去するように求める描写がある。
- ^ 約76%という圧倒的な得票率で、公式HPや書籍での扱いの大きさも歴代受賞作中随一。なお、歴代受賞者のうち唯一「トンデモ本の世界」シリーズに収録されていない例でもあるが、別枠のと学会レポート 『人類の月面着陸はあったんだ論』(山本弘、植木不等式、江藤巌、志水一夫、皆神龍太郎) ISBN 4903063011 という反論本を出版している。
- ^ イベント後、「この本がとりたててトンデモなのではなく金融工学全体が疑似科学」という指摘が相次いだという。
- ^ 出口王仁三郎の世界雛形論をベースにした主張で、近い将来起こる「ハルマゲドン」は(数々の偽史や陰謀論を含んだ)武家政権の興亡を(フォトンベルトやUFOといった要素をまじえて)再現したものになるという。
- ^ いずれも評価しての授与。
- ^ なぜか岡田斗司夫の著作『いつまでもデブと思うなよ』が複数票獲得。「あのやせ方は超常現象だ」とのこと(来場者コメント)。また、1票ネタや白紙票(該当作なし)もかなり多かった。
- ^ >受賞作は角川文庫版であるが、原書の著作権が切れているため、同じ原書が違う訳者・題名で複数出版社から刊行されている(三笠書房・イースト・プレス・フォレスト出版・ぜんにち出版)。なお、著者が外国人、および(イベント時点で)故人である本が受賞したそれぞれ初のケースである。
- ^ 同様の傾向を持つ佐野雄二 『聖書は日本神話の続きだった!』 ISBN 4938907488 と接戦になり、わずか1票差で選ばれた。
- ^ 2011年は20周年大会として、歴代大賞受賞作品から「ベスト・オブ・ベスト」を選考した。また、この選考のため、後述のように第20回の投票は別途行われ、大会では受賞作の発表のみが行われた。
- ^ 第20回大会では「ベスト・オブ・ベスト」の選考が行われることになったため、4月に行われた「日本トンデモ本大賞前月祭」において候補作の発表と投票が実施され、大会当日に受賞作が公表された。なお、「前月祭」はニコニコ生放送でも中継され、視聴者による投票(100票分)も加算された。
出典
[編集]関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- と学会公式HP - 公式サイト。「日本トンデモ本大賞」の情報が掲載されている。
- 山本弘のSF秘密基地 〜トンデモの部屋〜 - と学会初代会長のサイト内にある部屋。近年の受賞作のレビューが紹介されている。
- 日本トンデモ本大賞と関連イベントの紹介 (nihontondemobookprize) - Facebook