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岡島百貨店 (旧店舗)

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岡島 (百貨店) > 岡島百貨店 (旧店舗)
岡島百貨店
Okajima Department Store
岡島百貨店旧店舗
地図
地図
店舗概要
所在地 400-8660
山梨県甲府市丸の内1丁目21-15
開業日 1936年(昭和11年)3月1日
閉業日 2023年令和5年)2月14日
施設所有者 株式会社岡島百貨店[注 1]
施設管理者 株式会社岡島百貨店[注 1]
延床面積 32,044 m²
商業施設面積 29,520 m²
後身 ココリ
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岡島百貨店(Okajima Department Store)は株式会社岡島百貨店[注 1]山梨県甲府市丸の内にて1938年昭和13年)から2023年(令和5年)まで営業していた商業施設である。

概要

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1938年(昭和13年)9月に地上5階の鉄筋コンクリート造で竣工し、営業を開始[1]アール・デコを意識した西洋風の内装で、天井はモルタルを吹き付けて石に見立てるなど工夫を凝らしたものであった[2]。また、当時山梨県では珍しいエレベーターが付いており、先に営業を開始した松林軒デパートと並び甲府のシンボルとなった。

1945年(昭和20年)の甲府空襲で罹災し、内部は全焼したものの外構は残った[注 2]。 終戦後は品物を集めて営業を続けながら復旧・改修工事を実施し、1952年(昭和27年)に工事が全面完了。1955年(昭和30年)には屋上遊園地をオープンした[4]

1964年(昭和39年)と1974年(昭和49年)に増床や改装を実施し、1974年のリニューアルオープンで地上7階地下2階に立体駐車場が付帯した規模となる[5]。1985年(昭和60年)に甲府商業会議所の商業活動調整協議会で条件付ながら増床が認められたため3度目の大規模増床に着手し[6]、1988年(昭和63年)に売場面積32,044m2という山梨県内最大、全国でも当時4番目の大きさを誇る店舗がオープンした[4] [注 3]2001年平成13年)より外柱に鉄骨の支柱を追加するなどの耐震工事を実施している[pdf 3]

1988年のリニューアルから間もなくしてバブル崩壊や市街地空洞化の影響を受け、二度の債権放棄を受けるなど経営危機に陥り施設の改修もままならない状態となる。2009年平成21年)に甲府市中心市街地活性化基本計画の補助を受けて1988年以来となる大規模改装が発表される[7]も出店交渉の難航で規模が縮小され[8]、交渉のまとまった店舗のみを入れ替える形で2012年(平成24年)より工事が開始され、2015年(平成27年)に完了した[4]

しかし平成から令和に元号が変わった2019年に入ると初期の建物で築80年、1988年に増築した部分も築30年が経過し、老朽化が目立つようになる。また、容積や建蔽に余裕がなく[注 4]、これ以上の改築や改修は困難とされ、今後の扱いについて話し合いが持たれた。そして2022年(令和4年)7月28日にタカラレーベン(現:MIRARTHホールディングス)との連名でプレスリリースを行ない、会見で2023年(令和5年)2月を以て現店舗での営業を終了し、建物を解体することを発表した[pdf 4]。2023年(令和5年)2月14日に予定通り本施設での営業を終了し、内装の撤去を経て2024年(令和6年)2月より本格的な解体工事が開始された[9]

岡島百貨店は岡島に改称のうえ2023年3月3日より斜め向かいのココリで営業を再開[10]。また、旧店舗の跡地には居住棟地上28階建、商業棟6階建の複合施設が建設され[11]2025年(令和7年)に着工、2028年(令和10年)に竣工予定である[12]

店舗概要

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営業時間

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  • 10:00 - 19:00
  • 11:00 - 18:00(7階レストラン街、ラストオーダー17:00)

フロア構成

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  • 8、9階 - 「岡島ローヤル会館」、「山梨文化学園(山日YBSカルチャーセンター)」
    •  山日YBSカルチャーセンターは閉館後山梨文化会館に隣接して建設されたANNEX IIIへ移転。
  • 7階 - 催事場、レストラン街
    • 北端に物産展等のイベントが開催される催事場、屋上駐車場への出入口があった。
    • レストラン街では最大面積の店舗であった南端の「クリスタル」[13]は長年営業していたが、2012年9月以降に閉店。跡地には「カーブス」が入居した。
    • そのほか、寿司レストラン「寿しとすいーつ 夢かんざし」[14][15](開店日不明)があったが、2019年以降に閉店している。
  • 6階 - 書籍、文具
    • ゲームコーナー「岡島甲府プレイランド」が1980年頃に開店、6階北端に位置していた。2021年2月7日閉店。
    • サンリオショップ」があった。開店日不明、2023年1月31日閉店。
    • ジュンク堂書店が2011年10月頃に開店、数年後に6階ほぼ全域に店舗を拡大。2023年1月31日閉店。2023年2月14日まで「ファイナルセール」として本の一部を販売していた。
    • 丸善が2011年10月頃に開店、2023年1月31日閉店。
  • 5階 - 家具、インテリア、子供用品
  • 4階 - 紳士服
    • 学生服売場もあり、学校を通しての予約や、店舗での採寸を受け付けていた。2022年12月31日閉店。
  • 3階 - 婦人服、婦人用品
  • 2階 - 婦人用品
  • 1階 - 化粧品、装飾品、靴
  • 地下1階 - 食料品(デパ地下
    2003年4月開店[19]、2023年2月14日閉店。

駐車場

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専用駐車場(本館に付帯する第1駐車場(立体駐車場)と4箇所の店外駐車場、2箇所の駐輪場)と2箇所の契約駐車場が存在した。なお、専用駐車場と契約駐車場では無料サービスの基準が異なるので注意を要した。また駐車場が満車になった場合(休日や7階の催事場でイベントがある場合など)は、第1駐車場入口前の道路が渋滞することもあった[注 5]

旧本館駐車場のアスベスト問題

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本館に付帯していた第1駐車場(1974年稼働開始、2023年2月14日閉鎖)について、アスベストがむき出しの状態であったことが報じられ、岡島は2010年の検査でその事実を把握しており、甲府市からも建築基準法に基づく行政指導を受けていたが、岡島は「除去費用が捻出できなかった」と説明している[20]

このアスベストの撤去について岡島から施設と土地を買収したMIRARTHホールディングスは補助金の申請をせず、甲府市も費用が多額になることやこれまでの経緯から解体時のアスベスト除去費用については補助対象外とした[21]。立体駐車場のアスベスト除去は2023年8月より開始され[22]、本体の解体工事が開始される前に完了している。

脚注

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注釈

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  1. ^ a b c 現・株式会社岡島
  2. ^ この時焼けた内部は撤去されずに残り、解体時の調査で黒焦げになった部分が確認されている[3]
  3. ^ 山梨県最大規模は2009年(平成21年)にラザウォーク甲斐双葉(延床面積82,715m2、商業施設面積31,785m2[pdf 1])が開業するまで維持していた。 その後2011年(平成23年)にイオンモール甲府昭和が開業(2017年(平成29年)増築。延床面積109,000m2、商業施設面積45,600m2[pdf 2])し、岡島百貨店は山梨県内の商業施設としては3番目の規模となっている。
  4. ^ 延床面積32,044m2に対し商業施設面積が29,520m2と先述のラザウォーク甲斐双葉やイオンモール甲府昭和は勿論、この年閉店した山交百貨店(延床面積39,363m2、商業施設面積15,774m2)と比較しても延床に対して商業施設の面積が著しく高い。
  5. ^ 入口に隣接する城東通りが片側1車線しかなく、かつ酒折方面(東側)からは右折禁止で入ることができなかったため立ち往生する車が続出。桜町通りから出る形であったが、南にある城東通りとの交差点の信号に引っ掛かることが多く、やはり渋滞を引き起こしていた。

出典

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  1. ^ 『山梨県史 資料編17 近現代4 経済社会II』山梨日日新聞社、2000年3月1日、380頁。ISBN 978-4897108100 
  2. ^ “旧岡島店舗ビル 解体工事内部に潜入! そこには甲府の歴史を知る手掛かりが(4)”. テレビ山梨. (2024年3月14日). オリジナルの2024年3月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240314233143/https://newsdig.tbs.co.jp/articles/uty/1054668?page=4 2024年3月14日閲覧。 
  3. ^ “旧岡島店舗ビル 解体工事内部に潜入! そこには甲府の歴史を知る手掛かりが(5)”. テレビ山梨. (2024年3月14日). オリジナルの2024年3月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240316085228/https://newsdig.tbs.co.jp/articles/uty/1054668?page=5 2024年3月14日閲覧。 
  4. ^ a b c 移りゆく景色ー長年親しんだ地元デパート・岡島百貨店の建物を記録”. [NPO法人地域資料デジタル化研究会 (2023年3月14日). 2024年6月30日閲覧。
  5. ^ (岡島社史編集委員会 編『岡島百五十年の歩み』岡島、1994年)
  6. ^ 牛島利明. “戦後小売業における地域間競争と規模間関係 ―山梨県甲府市の事例―”. 『三田商学研究』第48巻第5号 (慶応義塾大学商学部) (2005-12). 
  7. ^ “岡島再生へ 全館一新 山梨中銀、債権50億放棄 新計画策定 中心街活性化めざす”. 『山梨日日新聞』 (山梨日日新聞社). (2009年2月27日) 
  8. ^ “岡島、来春改修縮小へ テナント出そろわず”. 『読売新聞』 (読売新聞社). (2010年12月26日)
  9. ^ “岡島の旧本館ビル 解体はじまる 80年以上親しまれた甲府のシンボル”. テレビ山梨. (2024年2月27日). オリジナルの2024年2月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240228025013/https://newsdig.tbs.co.jp/articles/uty/1021392 2024年2月27日閲覧。 
  10. ^ “甲府の岡島が小型百貨店に 営業を再開”. (2023年3月4日). オリジナルの2023年6月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230601124715/https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC034F30T00C23A3000000/ 2023年3月13日閲覧。 
  11. ^ “岡島跡地再開発計画を見直しへ 商業棟は4階から6階建てに変更など 山梨県”. YBSニュース. (2024年2月28日). オリジナルの2024年2月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240302214823/https://news.ntv.co.jp/n/ybs/category/economy/yscfe698b3c65e46388ef0ad95ad09d9db 
  12. ^ “「懐かしんで買い物を」岡島で歩みの写真展とカウントダウンセール 現店舗での営業は残り2カ月”. テレビ山梨. (2022年12月14日). オリジナルの2022年12月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20221223214121/https://newsdig.tbs.co.jp/articles/uty/233091?page=2 
  13. ^ 【閉店】クリスタル 食べログ、カカクコム、2023年6月30日閲覧。
  14. ^ 寿しとすいーつ 夢かんざし 富士の国やまなし、公益社団法人やまなし観光推進機構、2023年6月30日閲覧。
  15. ^ 夢かんざし 食べログカカクコム、2023年6月30日閲覧。
  16. ^ 【閉店】マクドナルド 甲府岡島店 食べログ、カカクコム、2023年6月30日閲覧。
  17. ^ マクドナルド甲府岡島店 2012年12月30日(日)閉店 開店閉店.com、2012年12月30日、2023年6月30日閲覧。
  18. ^ 「山梨1号店のマクドナルドが閉店(地方のニュース - 山梨県)甲府市の岡島百貨店1階に入居していた「マクドナルド」が閉店した。」日テレNEWS24、2013年1月8日。
  19. ^ アマノパークス
  20. ^ “甲府の百貨店駐車場、石綿むき出しで13年 「費用捻出できず」放置”. 朝日新聞. (2023年4月29日). オリジナルの2023年9月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230928162926/https://www.asahi.com/articles/ASR4X6S6PR4DUZOB00G.html 2023年4月29日閲覧。 
  21. ^ “岡島の石綿放置問題、再開発の補助金から除去費を対象外に”. 朝日新聞. (2023年6月6日). オリジナルの2023年6月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230612154654/https://www.asahi.com/articles/ASR6576JZR65UZOB005.html 2023年6月6日閲覧。 
  22. ^ “百貨店・岡島の旧店舗 解体の準備作業始まる 甲府市中心街のシンボルが見納めへ”. テレビ山梨. (2023年8月1日). オリジナルの2023年8月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230801161328/https://newsdig.tbs.co.jp/articles/uty/636785?display=1 2023年8月1日閲覧。 

出典(PDF)

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関連項目

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