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山口玲子 (作家)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
山口 玲子
誕生 1934年3月(90歳)
日本の旗 愛知県名古屋市
職業 伝記作家
言語 日本語
最終学歴 名古屋大学文学部
代表作 『とくと我を見たまえ 若松賤子の生涯』(1980年)
デビュー作 『泣いて愛する姉妹に告ぐ 古在紫琴の生涯』(1977年)
活動期間 1975年 - 2002年
配偶者 一般男性
子供 1人(女性)
ウィキポータル 文学
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山口 玲子(やまぐち れいこ、1934年3月31日[1] - )は、日本伝記作家近代の日本を生きた女性の伝記を著した。

来歴・人物

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愛知県名古屋市生まれ[2]1957年名古屋大学文学部社会学専攻を卒業後、1964年まで東海テレビ放送に勤務[2]。当時は婦人向けの教養番組を作っており、仕事はおもしろかったと述べている[3]。以降はフリーランステレビディレクターおよびライターとして活動[2]。夫と娘の3人家族であり、夫は大学のゼミの先輩で、東海テレビでは同じ1期生であった[3]。のちに名古屋市千種区山門町[4]から静岡県伊東市へ移住[5]

1960年代末に『明治文学全集』に収録されていた『したゆく水』を読み、のちに伝記を著すことになる古在紫琴を知る[3][6]。それまでは明治時代の女性作家は、皆「女心の城にこもってしまう人ばかり」なのだと思っており[3]、紫琴に対する一般の認識を変えることが伝記を執筆する動機であったと述べている[6]1975年頃から執筆を開始し、1977年草土文化から刊行された[2]。その後は、若松賤子川上貞奴巖本真理の伝記を執筆し、新潮社から刊行された。貞奴の伝記は1993年朝日文庫からも刊行されている。

「春の波濤」事件

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1985年に放送された川上貞奴が登場する大河ドラマ春の波涛』において、原作者が杉本苑子のみで、自著『女優貞奴』の描写がありながら共同原作者や原案者に含まれないことを不服とし、同年にNHK日本放送出版協会、および脚本を担当した中島丈博を相手に著作権を侵害しているとして損害賠償謝罪広告の掲載を求める訴えを起こした[4]。しかし名古屋地方裁判所1994年に著作権侵害を認めずに請求を棄却しており[5][7]名古屋高等裁判所1997年に山口の控訴を棄却[8][9]最高裁判所1998年に山口の上告を棄却した[10][11]朝日新聞では、地裁判決の記事において「事実を主体にした著作物にどこまで著作権を認めるか、判決はその難しさを浮き彫りにした」と評しており、先行資料の内容から作品が「どのように創作的に展開し、表現しているか」の検討が十分とは思えないとする弁護士北村行夫のコメントも掲載している[5]

著作

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著書

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記事

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  • 「古在柴琴のこと」『文学』43巻9号、1975年9月、1134-1140頁。
  • 「『女優貞奴』その後」『文芸春秋』61巻1号、1983年1月、90-92頁。
  • 「若松賤子-社会の浄化をねがって」『季刊女子教育もんだい』23号、1985年4月、63-70頁。
  • 「古在紫琴-『こわれ指環』を声に出して読んで下さい」『季刊女子教育もんだい』32号、1987年8月、62-69頁。
  • In memory of Mrs. Kashi Iwamoto」(解説記事)『叢書女性論 別巻』大空社、1997年12月。

脚注

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  1. ^ 『著作権台帳』
  2. ^ a b c d 山口 1977、山口 1984
  3. ^ a b c d 「山口玲子さん 明治の女を掘り起こす」『毎日新聞』1980年7月14日付朝刊、15面。
  4. ^ a b 「NHK『春の波涛』は著作権侵害と女流作家提訴」『朝日新聞』1985年12月22日付朝刊、22面。
  5. ^ a b c 「伝記著者側が敗訴 NHKドラマ著作権訴訟の名地裁判決」『朝日新聞』1997年7月30日付朝刊、名古屋版23面。
  6. ^ a b 「『とくと我を見たまえ 若松賤子の生涯』を書いた山口玲子さん」『北海道新聞』1980年6月10日付朝刊、12面。
  7. ^ 「NHK大河ドラマ『春の波涛』 伝記の著作権侵害なし 名地裁判決 作家側敗訴 『同一個所は史実』」『中日新聞』1994年7月30日付朝刊、29面。
  8. ^ 「名古屋高裁、作家の控訴を棄却 大河ドラマ著作権訴訟」『朝日新聞』1997年5月15日付夕刊、名古屋版2面。
  9. ^ 「貞奴は歴史的事実 名古屋高裁、著作権侵害の訴えを棄却--NHK『春の波濤』訴訟」『毎日新聞』1997年5月15日付夕刊、中部版7面。
  10. ^ 「作家の上告を最高裁棄却 NHK著作権訴訟」『朝日新聞』1998年9月10日付夕刊、15面。
  11. ^ 「著作権侵害認めず 大河ドラマ訴訟 作家の上告棄却 最高裁」『中日新聞』1998年9月10日付夕刊、10面。