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富山市池多駐在所襲撃事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

富山市池多駐在所襲撃事件(とやましいけだちゅうざいしょしゅうげきじけん)は、2019年1月24日午後3時ごろ、富山市にある富山西警察署池多駐在所で発生した襲撃事件。

概要

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拾得物を届けに来たと装って駐在所を訪れた大学生が居合わせた警察官を襲撃。大学生はハンマーで警官の頭を殴り、ナイフで顔を切りつけたが、警官側も反撃して男を取り押さえ殺人未遂の現行犯で逮捕した[1]。 襲撃を受けた警官は、偶然にも逮捕術の全国大会に出場歴がある術科特別訓練員であった[2]

富山県警察では前年に、警官が死亡した富山市奥田交番襲撃事件が発生している。

裁判

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一審

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2020年1月14日、逮捕された元大学生は、富山地方裁判所裁判員裁判初公判で、強盗殺人未遂罪の起訴内容を認めた。富山地方検察庁は、冒頭陳述で動機について「恋人ふられ、強い喪失感から警官を襲って拳銃を奪い、自殺しようと思い立った」ことを指摘。強固な意志に基づき襲ったことを指摘した。弁護士は、鑑定留置で大学生が自閉症スペクトラム障害と診断されており、「他人とうまく関係がつくれず、長年、自殺願望があった。拳銃を奪うのが目的で、警官を殺害しようとまでは考えていなかった」と反論[3]。 同年1月20日、富山地方裁判所で判決が行われ、裁判官は元大学生に対して「身勝手な動機による犯行」と言及した上で、懲役14年(求刑懲役20年)を言い渡した[4]

二審

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元大学生側は刑が重すぎるとして控訴、控訴審では弁護側が自閉症スペクトラム障害の評価に誤りがあるとして主張した。2020年7月7日名古屋高等裁判所金沢支部は、懲役14年とした一審判決を破棄して懲役12年に減刑した。争点となった自閉症スペクトラム障害については「犯行時は自らの判断や行動に重大な影響を与えるほどの症状はなく、評価は不合理なものではない」と退けられたが、被害者側と一部和解が成立し、減刑が認められた[5]

関連項目

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  • 東村山署警察官殺害事件 - 1976年(昭和51年)に発生。警視庁東村山警察署管内の派出所(東村山市)で発生した警察官殺害・拳銃強奪事件(警察官1人死亡)。加害者は1988年に死刑が確定し、1995年に死刑執行。
  • 勝田清孝事件 - 1982年(昭和57年)10月に発生。犯人の勝田清孝(2000年に死刑執行)は本事件の死刑囚Sと同様に、強盗目的で警察官から拳銃を強奪。その拳銃を用い、翌1983年1月に逮捕されるまでに連続強盗殺傷事件(警察庁広域重要指定113号事件)を起こした。
  • 京都・大阪連続強盗殺人事件(警察庁広域重要指定115号事件) - 1984年(昭和59年)に発生。元警察官の男(1997年に死刑確定)が強盗に用いる拳銃を得るため、京都市内で警察官を襲って拳銃を強奪した上で射殺し、大阪市内の消費者金融で店員を射殺した。
  • 東村山警察署旭が丘派出所警察官殺害事件 - 1992年(平成4年)に発生。派出所で勤務中の警察官1名が何者かに刺殺され、拳銃を強奪された。未解決事件のまま、2007年2月14日に公訴時効が成立。
  • 河瀬駅前交番警察官射殺事件 - 2018年(平成30年)4月に発生。19歳の巡査(事件後に懲戒免職/2019年に懲役22年が確定)が上司である巡査部長から「嫌がらせをされている」と思い込み貸与された拳銃で巡査部長を殺害後、拳銃を所持したまま逃走。
  • 富山市奥田交番襲撃事件 - 2018年6月に発生。(本事件の死刑囚Sと同じく)元陸上自衛官の男が警察官を刺殺して拳銃を奪い、付近の小学校にいた警備員1人を射殺した。
  • 東仙台交番襲撃事件 - 2018年9月に発生。21歳の大学生が拳銃強奪を目的に警察官1名を殺害し、別の警察官に射殺された。
  • 吹田警察署千里山交番警察官襲撃事件 - 2019年(令和元年)6月に発生。元海上自衛官の男が虚偽の110番通報を行い、交番から出動しようとした警察官1名を襲撃後、拳銃を強奪した。被害者の警察官は一時意識不明に陥ったが、後に回復して職務復帰した。

脚注

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  1. ^ 富山の駐在所で警察官襲撃 大学生を殺人未遂容疑で逮捕”. 朝日新聞 (2019年1月24日). 2020年10月4日閲覧。
  2. ^ 拳銃を狙い続発する交番襲撃、大惨事を防ぐ対策は進んでいるのか”. ダイヤモンドオンライン. 2020年10月5日閲覧。
  3. ^ 富山の駐在所襲撃、元大学生が起訴内容認める”. 日本経済新聞 (2020年1月14日). 2020年10月5日閲覧。
  4. ^ 富山の駐在所で警察官襲撃 大学生を殺人未遂容疑で逮捕”. 朝日新聞 (2020年1月24日). 2020年10月5日閲覧。
  5. ^ 富山・駐在所襲撃 懲役12年に減刑 和解成立など考慮 高裁金沢支部判決”. 毎日新聞 (2020年7月7日). 2020年10月5日閲覧。