コンテンツにスキップ

富士軌道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
富士軌道
路線総延長19.6 km
軌間610 mm
富士身延鉄道
BHFq
大宮町
uexKBHFa
停車場
uexKRZ
富士馬車鉄道
uexBHF
本社
uexBHF
浅間
uexBHF
三軒家
uexBHF
万野
uexBHF
十石
uexBHF
山宮
uexBHF
蒲沢
uexBHF
本門寺
uexBHF
uexBHF
堀久保
uexBHF
大久保
uexBHF
二軒家
uexBHF
中井出
uexBHF
上井出
uexKDSTe
人穴(貨)

富士軌道(ふじきどう)は、かつて静岡県東部に存在した馬車鉄道路線を運営していた鉄道事業者である。

沿革

[編集]
  • 1907年(明治40年)11月29日 富士軌道に対し軌道特許状下付[1]
  • 1908年(明治41年)6月1日 富士軌道株式会社設立[2][3]
  • 1909年(明治42年)11月25日大宮 - 上井出間が開業[4] (貨物のみ[5]
  • 1910年(明治43年)1月28日 旅客営業認可[5]
  • 1912年(大正元年)8月22日 上井出 - 人穴間が開業(貨物のみ)[5]
  • 1915年(大正4年)9月23日 軌道特許状下付(富士郡上井出村上井出-同村人穴間)[6]
  • 1917年(大正6年)12月26日 軌道特許失効(工事認可申請を為さざるため)[7]
  • 1926年(大正15年)7月31日 富士身延鉄道所有の馬車軌道(元富士馬車鉄道)の一部区間を譲受[8]
  • 1939年(昭和14年)3月9日 大宮 - 人穴間の廃止許可[9]

保有路線

[編集]

概要

[編集]

富士山本宮浅間大社のある大宮町(後の富士宮市)より北へ、大石寺白糸の滝への観光客輸送、富士山麓からの木材輸送などを目的にして、上井出までが1909年、人穴までが1912年に開業した。開業時は富士馬車鉄道と接続していたが、1913年より富士身延鉄道へ代わっている。

だが、1924年に開設されたバスへの客の移行が進んだことから、1939年廃線となった。

路線データ

[編集]
  • 路線距離:停車場 - 人穴(小俣沢)間19.6km(なお、客扱いは上井出まで)
  • 軌間:610mm

停留所一覧

[編集]

停車場 - 本社 - 浅間 - 三軒家 - 万野 - 十石 - 山宮 - 蒲沢 - 本門寺 - 峰 - 堀久保 - 大久保 - 二軒家 - 中井出 - 上井出 - 人穴(貨)

大正三年七月改正の富士軌道株式会社客車時間表によれば

大宮 - 浅間 - 万野一 - 万野二 - 山宮一 - 山宮二 - 本門寺 - 北山一 - 北山二 - 北山三 - 北山四 - 上井出

上下線とも所要時間2時間30分、一日6往復している

接続路線

[編集]

輸送・収支実績

[編集]
年度 輸送人員(人) 貨物量(トン) 営業収入(円) 営業費(円) 営業益金(円) その他益金(円) その他損金(円) 支払利子(円) 客車 貨車
1910 1,610 12,221 17,810 12,699 5,111 2 30
1911 8,514 21,938 27,819 23,278 4,541 2 30
1912 14,433 26,589 18,504 17,056 1,448 3 30
1913 14,600 4,745 17,705 14,189 3,516 3,454 3 20
1914 22,341 5,318 13,882 12,555 1,327 2,900 3 20
1915 18,251 4,298 15,680 13,706 1,974 5,000 3 20
1916 9,949 13,542 4,731 3,425 1,306 3 20
1917 33,346 100,400 34,000 25,772 8,228 3 24
1918 33,453 6,126 28,590 20,557 8,033 3 24
1919 32,483 5,467 31,952 23,902 8,050 4 24
1920 30,709 4,550 29,268 23,653 5,615 3,221 2,938 4 24
1921 26,961 5,300 38,594 31,075 7,519 4 26
1922 27,903 3,746 34,028 27,084 6,944 5 26
1923 27,935 2,483 24,539 22,305 2,234 1,904 1,644 5 26
1924 13,093 3,414 23,403 23,593 ▲ 190 2,106 1,816 5 26
1925 1,647 8,686 143,363 111,821 31,542 6,468 4,350 5 26
1926 754 2,940 22,227 24,824 ▲ 2,597 5 20
1927 1,837 6,409 32,988 31,375 1,613 1,351 5 20
1928 1,806 4,275 25,225 24,597 628 償却金2,000 5 20
1929 1,703 5,610 30,883 28,139 2,744 償却金1,000 1,152 5 20
1930 1,657 3,570 18,038 15,016 3,022 雑損1,876 733 5 20
1931 1,430 3,278 12,772 13,186 ▲ 414 雑損423 1,048 5 20
1932 1,463 5,325 16,799 14,567 2,232 1,256 3 20
1933 1,475 5,290 18,690 12,964 5,726 雑損4,263 1,463 2 20
1934 1,457 5,957 24,135 14,609 9,526 雑損8,814 712 2 20
1935 1,368 5,646 17,955 12,888 5,067 雑損4,611 456 2 20
1936 1,314 2,638 8,007 8,198 ▲ 191 雑損2,517 394 2 20
1937 1,231 2,187 7,028 7,666 ▲ 638 189 2 20
  • 鉄道院年報、鉄道院鉄道統計資料、鉄道省鉄道統計資料、鉄道統計資料、鉄道統計各年度版

脚注

[編集]
  1. ^ 『鉃道院年報. 明治41年』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  2. ^ 『地方鉄道及軌道一覧 : 附・専用鉄道. 昭和10年4月1日現在』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  3. ^ 『日本全国諸会社役員録. 明治42年』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  4. ^ 『鉃道院年報. 明治42年』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. ^ a b c 『静岡県鉄道興亡史』132-133頁
  6. ^ 『鉄道院年報. 大正4年』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. ^ 「軌道特許失効」『官報』1917年12月26日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ 『鉄道統計資料. 昭和元年』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  9. ^ 「軌道運輸営業廃止許可」『官報』1939年3月14日(国立国会図書館デジタルコレクション)

参考文献

[編集]
  • 今尾恵介(監修)『日本鉄道旅行地図帳』 7 東海、新潮社、2008年。ISBN 978-4-10-790025-8 
  • 森信勝『静岡県鉄道興亡史』静岡新聞社、1997年
  • 山本義彦(監修)『懐かしのアルバム静岡県鉄道写真集』郷土出版社、1993年(富士軌道株式会社客車時間表が掲載されている)