宇都宮駅東口地区整備事業 複合施設棟②
宇都宮駅東口地区整備事業 複合施設棟②(仮称) | |
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現況(2024年2月) | |
施設情報 | |
所在地 |
〒321-0969 栃木県宇都宮市宮みらい1番5号 |
座標 | 北緯36度33分30秒 東経139度53分59秒 / 北緯36.55833度 東経139.89972度座標: 北緯36度33分30秒 東経139度53分59秒 / 北緯36.55833度 東経139.89972度 |
状態 | 計画中 |
着工 | 未着工 |
竣工 | 未定 |
開業 | 未定 |
地上高 | |
高さ | 120m |
最上階 | 27階 |
各種諸元 | |
階数 | 27階 |
延床面積 | 58,000 m² |
駐車台数 | 57台 |
宇都宮駅東口地区整備事業 複合施設棟②(以下、本文では複合施設棟②と記す)とは、JR宇都宮駅東口に建設予定の超高層ビルである。ホテル部分の整備事業組成者[注 1]であったColours International(カラーズ・インターナショナル、イーホテルの持株会社)が資金難で撤退した直後に起こったパンデミックの影響でホテル事業者の再選定が進まず[1]、2023年12月に至っても未着工である[2]。
計画が見直されるまでの経緯
[編集]計画の公表
[編集]- 宇都宮駅東口地区整備方針の公表
2018年1月、宇都宮駅東口地区整備方針が策定され、中央街区に民間施設を誘導する方針であることが明らかになる[3]。民間施設の一つが後にウツノミヤテラスとカンデオホテルズが入居する複合施設棟①であり、もう一つがデュシタニホテルが入居する予定だった複合施設棟②である。民間施設の中の宿泊施設は、公共施設の中のコンベンション施設と連携し相乗効果を図るとされている[3]。
- 整備事業の優先交渉権者が決定
2018年6月、野村不動産を代表構成員とするグループ「うつのみやシンフォニー」が優先交渉権者に選定される[4]。うつのみやシンフォニーが選定された理由の一つとして、催事の主賓の宿泊も可能なグレードの高いシティタイプのホテルの導入を提案したことが挙げられている[4]。複合施設棟②の整備事業組成者の一つとなる北関東綜合警備保障株式会社が構成員として名を連ねている[5]が、この時点ではホテルの運営者はまだ決定していない[6]。
- 施設全体の概要の公表
2019年1月、宇都宮駅東口地区整備事業の施設全体の概要が明らかになる。複合施設棟②の1~5階にはフィットネスクラブなどの商業施設が、6~27階にはデュシタニホテルが入居し、施設所有者はそれぞれ北関東綜合警備保障株式会社とColours Internationalとされていた[7]。Colours Internationalは整備事業組成者としてホテル整備資金の調達と、ホテルを整備し所有する特定目的会社の設立を行い、同社とデュシット・インターナショナルが設立した合弁会社であるDusit Colours株式会社がホテルの運営を行う計画であった[8]。デュシタニホテルは国内外の富裕層やVIPを対象とし[9]、整備事業の目玉になるとみなされ[10]、2022年8月に開業する予定であった[11]。
資金難による整備の遅れ
[編集]- 整備の遅れが明らかになる
2020年6月、複合施設棟②の整備に遅れが生じるとの報道がなされる[12]。デュシタニホテルの整備事業組成者であるColours Internationalは2019年8月に特定目的会社である合同会社Dusit Thani宇都宮を設立した[13]後、2019年の期日までにホテル整備資金の具体的裏付けを提示できなかったため[1] [14]、うつのみやシンフォニー[注 2]は新たにホテルの整備事業組成者及び運営者の選定を行ってきたが、直後に起こった世界的な新型コロナウィルスの感染拡大で宿泊需要の回復が見通せず、早期の事業計画作成が難しくなり、デュシタニホテルが入居予定の複合施設棟②の整備を延期せざるをえなくなったという[14]。
- 計画の更なる延期
宇都宮駅東口地区整備事業の複合施設棟②以外の施設は予定通り2020年4月に着工した[10]が、当初2020年9月までに行う予定であった[15]ホテル事業者の再選定は12月になっても決まらず、複合施設棟②の建設予定地は空き地のまま2022年秋のJR宇都宮駅東口地区のまちびらきが行われる見込みであるとの報道がなされる[16]。
整備の見通し立たず
[編集]- 計画が暗礁に乗り上げる
野村不動産が2022年6月に明らかにした宇都宮駅東口地区整備事業完成予想CGには、宇都宮市が2019年1月に明らかにした宇都宮駅東口地区整備事業の施設全体概要で描かれていた複合施設棟②[9]が描かれておらず、代わりに「現在計画中」の文字が記され[17]、複合施設棟②の事業計画作成が暗礁に乗り上げたことが窺える。
- 複合施設棟②以外の施設が開業
2022年11月、ライトキューブ宇都宮の供用が開始し、まちびらき記念式典が開催される[18]が、複合施設棟②は事業計画作成の見通しが立っていない[19]。
- 2023年12月での状況
JR宇都宮駅東口の「まちびらき記念式典」から1年以上経過した2023年12月になっても、複合施設棟②の建設予定地は更地のままで[20]、暫定広場としてイベントのために貸し出されている[21]。宇都宮市は数社のホテル会社と交渉しているが、パンデミック後の建設コストの高騰で整備事業者が決まっていない[20]。
予定されていたフロア構成
[編集]宇都宮駅のシンフォニー病院の西側に建設され、27階建てで120mに及ぶ高さは栃木県内最高層となる予定であった[9]。ビルの規模も以下に記すフロア構成も2019年に公表されたもので、変更される可能性がある。
- 商業施設(1~5階)
- ホテル (6~27階) [9]
曖昧に報道された部分
[編集]資金難の当事者
[編集]資金難を引き起こしたのはデュシット・インターナショナルではなく、Colours Internationalである[14]。Colours Internationalは整備事業組成者としてホテル部分の整備に必要となる資金の調達とホテルを整備し所有する特定目的会社の設立を担当していた[14]。
デュシタニ宇都宮を運営する予定であった[7]Dusit Colours(デュシットカラーズ)株式会社にColours Internationalは51%出資していた[22]ことに加え、Dusit Coloursの代表取締役にはColours Internationalの取締役会長である中村裕が、取締役副会長にはColours Internationalの代表取締役である松本義弘が就任していた[23] [24]ことから、デュシット・インターナショナルはこの件に関してほとんど関係していなかったとみられる。
パンデミックは資金難の原因ではない
[編集]資金難はColours International が抱き合わせ融資を行い、実質法定上限を上回る利息を取り出資法違反の容疑で元社長が逮捕された[25] リベレステ株式会社から多額の融資を受けなければならない[26]程、財務基盤が脆弱であったことが原因であり (「Colours International #リベレステとの関係」を参照)、その問題はコロナ禍以前に生じていた[14]。
うつのみやシンフォニーがホテル事業者の再選定を行っていた時期がコロナ禍と重なっていたため、パンデミックが資金難と結びつけられた[27]ものと思われる。Colours International が資金難を引き起こし、デュシタニホテルの事業自体から撤退した[注 3]後、うつのみやシンフォニーがホテル事業者の再選定を行っていた時期にパンデミックに見舞われたため、複合施設棟②の整備が不透明になったのである[30]。
年表
[編集]- 2018年
- 1月 - 宇都宮駅東口地区整備方針が策定され、民間施設を誘導する方針であることが明らかになる[3]
- 6月 - うつのみやシンフォニーが整備事業の優先交渉権者に選定される[4]
- 2019年
- 1月 - 宇都宮駅東口地区整備事業の施設全体の概要が明らかになり、複合施設棟②にデュシタニホテルの入居が決定する[9]
- 8月 – Colours Internationalはデュシタニ宇都宮を出店するため、特定目的会社である合同会社Dusit Thani宇都宮を設立[13]
- 9~11月頃 - Colours Internationalは期日までにホテル整備資金の具体的裏付けを提示できず[14]
- 12月 - Dusit Colours株式会社がD & J 株式会社に名称を変更 [28](出資比率はデュシット・インターナショナルの100%に変更[29]され、同社の完全子会社となり、事実上、Colours Internationalはデュシタニホテルの事業から撤退)
- 12月以降 - うつのみやシンフォニーはホテル事業者の再選定作業を始める[14]
- 2020年
- 2022年 11月 - JR宇都宮駅東口地区のまちびらき記念式典が行われるが、複合施設棟②着工の目途は立たず[18]
関連項目
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ホテル部分の整備に必要となる資金の調達とホテルを整備し所有する特定目的会社の設立を担当する組織
- ^ 野村不動産を代表構成員とする、宇都宮駅東口地区整備事業の施設の整備・所有を担う企業グループ
- ^ デュシットブランドのホテルを日本に展開することを目的に設立されたDusit Coloursに当初、Colours Internationalは51%出資していた[22]が、Dusit ColoursがD & J 株式会社に名称を変更した2019年12月[28]、同社はデュシット・インターナショナルが100%出資する完全子会社となっていた[29]ため、Colours Internationalがコロナ禍以前にデュシタニホテルの事業から撤退していたことが浮かび上がった。
出典
[編集]- ^ a b “植柳小跡地進出予定ホテル 栃木で開業めど立たず 宇都宮市・再開発事業で資金調達「厳しく」、デュシット・インターナショナルと提携の会社”. 京都民報 (2020年6月27日). 2023年12月27日閲覧。
- ^ “JR宇都宮駅東口 冬も華やか 「まちびらき」1年 宇都宮市がにぎわい創出へ 整備の目玉・高級ホテル建設は不透明”. 読売新聞オンライン (2023年12月16日). 2023年12月27日閲覧。
- ^ a b c “宇都宮駅東口地区整備方針” (PDF). 宇都宮市. p. 17. 2023年12月28日閲覧。
- ^ a b c “宇都宮駅東口地区整備事業 優先交渉権者の決定について” (PDF). 宇都宮市. 2023年12月29日閲覧。
- ^ “宇都宮駅東口地区整備事業 優先交渉権者 提案概要” (PDF). 宇都宮市. 2023年12月30日閲覧。
- ^ “宇都宮駅東口地区整備事業 審査講評” (PDF). 宇都宮市. p. 11 (2018年7月30日). 2023年12月30日閲覧。
- ^ a b “5つ星ホテルの国内初出店など2022年8月に街びらき、“宇都宮駅東口”の再開発概要が明らかに”. ITmedia (2019年1月25日). 2024年1月6日閲覧。
- ^ “元植柳小学校跡地活用事業に関する陳情書” (PDF). 植柳校跡地問題を考える会. p. 7 (2020年6月12日). 2022年9月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “宇都宮駅東口地区整備事業 施設全体概要” (PDF). 宇都宮市. p. 4. 2023年12月23日閲覧。
- ^ a b “JR宇都宮駅東口再開発 コロナで高級ホテル整備大幅遅れ”. 産経新聞社 (2020年9月16日). 2024年1月7日閲覧。
- ^ “デュシタニホテル、宇都宮で22年に開業へ”. NNA (2019年1月22日). 2023年12月17日閲覧。
- ^ “宇都宮駅東口の高級ホテル、コロナ禍で開業未定に”. 日本経済新聞 電子版. (2020年6月1日) 2022年9月21日閲覧。
- ^ a b “合同会社Dusit Thani宇都宮”. 全国法人データバンク. 2023年12月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “元植柳小学校跡地活用事業に関する陳情書” (PDF). 植柳校跡地問題を考える会. p. 8 (2020年6月12日). 2022年9月21日閲覧。
- ^ “宇都宮駅東口の高級ホテル、ブランド決定は20年末に”. 日本経済新聞社 (2020年9月3日). 2024年1月7日閲覧。
- ^ “高級ホテル誘致 難航 宇都宮駅東口 ブランド決まらず”. 日本経済新聞社 (2020年12月17日). 2024年1月7日閲覧。
- ^ “JR 東北新幹線・東北本線「宇都宮」駅・複合開発「宇都宮駅東口地区整備事業」新築分譲マンション『プラウド宇都宮』竣工” (PDF). 野村不動産株式会社 (2022年6月16日). 2022年9月21日閲覧。
- ^ a b “「まちびらき」華やかに 門出祝い式典やイベント JR宇都宮駅東口地区”. 下野新聞社 (2022年11月27日). 2024年1月12日閲覧。
- ^ “宇都宮駅東口地区整備事業の施設配置図” (PDF). 宇都宮市. 2024年1月12日閲覧。
- ^ a b “JR宇都宮駅東口 冬も華やか 「まちびらき」1年 宇都宮市がにぎわい創出へ 整備の目玉・高級ホテル建設は不透明”. 読売新聞オンライン (2023年12月16日). 2023年12月27日閲覧。
- ^ “暫定広場(複合施設棟(2)建設予定地)の貸付”. 宇都宮市 (2023年5月17日). 2023年12月22日閲覧。
- ^ a b “デュシット、日本出店に向け合弁会社設立-1号店は京都”. トラベルビジョン (2017年3月29日). 2023年12月24日閲覧。
- ^ “Board Members 役員紹介”. Dusit Colours株式会社. 2018年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月20日閲覧。
- ^ “役員紹介”. 株式会社 Colours International. 2018年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月26日閲覧。
- ^ “土地抱き合わせ融資 不動産会社「リベレステ」社長ら3人逮捕 出資法違反容疑”. 産経新聞社 (2023年5月25日). 2023年6月27日閲覧。
- ^ “8887 リベレステ 取引(主な資産及び負債の内訳)”. IR BANK. 2023年6月27日閲覧。
- ^ “JR宇都宮駅東口再開発 コロナで高級ホテル整備大幅遅れ”. 産経新聞社 (2020年9月16日). 2024年1月10日閲覧。
- ^ a b “D&J株式会社(旧名称:Dusit Colours株式会社)”. 全国法人リスト. 2022年9月21日閲覧。
- ^ a b “Annual Report 2019”. Dusit International. p. 273. 2023年4月14日閲覧。
- ^ “元植柳小学校跡地活用事業に関する陳情書” (PDF). 植柳校跡地問題を考える会. p. 2 (2020年6月12日). 2022年9月21日閲覧。
- ^ “新型コロナウイルス「これまで起きたこと」時系列で振り返る”. Yahoo!Japan ニュース (2020年5月13日). 2023年12月26日閲覧。
外部リンク
[編集]- Colours International公式サイト アーカイブ 2018年10月6日 - ウェイバックマシン
- Dusit Colours公式サイト アーカイブ 2018年8月4日 - ウェイバックマシン
- ライトキューブ宇都宮公式サイト
- ウツノミヤ テラス公式サイト