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大隅石

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大隅石
大隅石
大隅石(ドイツ産)
分類 ケイ酸塩鉱物
シュツルンツ分類 9.CM.05
Dana Classification 63.2.1a.6
化学式 (K,Na)(Fe,Mg)2(Al,Fe)3(Al2Si10O30)・H2O
結晶系 六方晶系
単位格子 a = 10.15Å、c = 14.25Å
へき開 なし
モース硬度 7
光沢 ガラス光沢
深青色
条痕 白色
比重 2.6
文献 [1][2][3]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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大隅石(おおすみせき、osumilite)は、鉱物ケイ酸塩鉱物)の一種。化学組成は (K,Na,Ca)(Fe,Mg)2(Al,Fe3+)3Si10Al2O30・H2O、結晶系六方晶系大隅石グループの鉱物。

鹿児島県垂水市咲花平で発見され、1956年都城秋穂によって新種記載された。名前は発見地の大隅半島にちなむ。

産出地

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日本では、原産地のほかに、鹿児島県内各地の流紋岩内や岐阜県飛騨市月ヶ瀬や伊豆諸島神津島などで産する。

主に流紋岩やデイサイトなどの優白質火山岩中に産する。

性質・特徴

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菫青石によく似ている(色合い及び多色性が酷似する)。

普通は結晶の大きさは数mm程度までである。

マグネシウム2価よりも多いものは苦土大隅石と呼ばれるが、肉眼での判別はできない。

サイド・ストーリー

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戦前に益富壽之助によって初めて発見され[4]1942年森本良平がもらい受けて分析し、1949年に論文として発表された[5]が、当時は菫青石と誤認された。ただし、この時点で菫青石にはないカリウムの存在及び光学的一軸性が指摘されていた。

東京大学の都城は、森本から試料を譲り受けて分析した結果、1951年には新鉱物という結論に達し、1953年に日本語論文で発表、1956年に正式に新種記載された。命名は久野久による。

都城が発表した化学式及び構造はその後修正され[6][7]端成分とされた。一部の論文に記述[8][9]されていたマグネシウムを含む「苦土大隅石」は、記載論文が無いまま国際鉱物学連合において既成事実化した。その点に注目したロシアの研究チームがドイツ産の標本を元に論文を発表し、苦土大隅石は2012年に新種記載された[10]

益富は、大隅石発見に貢献したことから1973年櫻井賞の第3号メダルを授与された。

大隅石グループ

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  • アルミノ杉石(Aluminosugilite) - KNa2Al2Li3Si12O30[11]
  • armenite(?) - BaCa2Al6Si9O30・2H2O
  • berezanskite - KLi3Ti2Si12O30
  • brannockite - KLi3Sn2Si12O30
  • chayesite - K(Mg,Fe2+)4Fe3+Si12O30
  • darapiosite - KNa2Li(Mn,Zn)2ZrSi12O30
  • dusmatovite - K(K,Na,□)(Mn2+,Y,Zr)2(Zn,Li)3Si12O30
  • eifelite - KNa3Mg4Si12O30
  • emeleusite - Na4Li2Fe3+2Si12O30
  • merrihueite - (K,Na)2(Fe2+,Mg)5Si12O30
  • ミラー石 (milarite) - KCa2AlBe2Si12O30・0.5H2O
  • 大隅石 (osumilite) - (K,Na)(Fe2+,Mg)2(Al,Fe3+)3(Si,Al)12O30
  • 苦土大隅石 (osumilite-(Mg)) - (K,Na)(Mg,Fe2+)2(Al,Fe3+)3(Si,Al)12O30
  • poudretteite - KNa2B3Si12O30
  • ロダー石 (roedderite) - (Na,K)2(Mg,Fe2+)5Si12O30
  • ソグディアナイト (sogdianite) - (K,Na)2(Li,Fe2+)3(Zr,Ti,Fe3+)Si12O30
  • 杉石 (sugilite) - KNa2(Fe2+,Mn2+,Al)2Li3Si12O30
  • 八木石 (yagiite) - (Na,K)1.5Mg2(Al,Mg)3(Si,Al)12O30

脚注

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  1. ^ 国立天文台編『理科年表 平成20年』丸善、2007年、645頁。ISBN 978-4-621-07902-7 
  2. ^ Osumilite (英語), MinDat.org, 2011年11月7日閲覧 (英語)
  3. ^ Osumilite-(Fe) (英語), WebMineral.com, 2011年11月7日閲覧 (英語)
  4. ^ Morimoto (1948) On the Modes of Occurrence of Cordierite from Sakkabira, Town Taru-mizu, Kimo-tsuki Province, Kagoshima Prefecture, Japan. Bulletin of the Earthquake Research Institute, 25, 33-35.
  5. ^ 森本,湊 (1949) 鹿皃島縣肝屬郡垂水町早崎咲花平産菫青石の産出状態. 岩石鉱物鉱床学会誌, 33, 51-61.
  6. ^ Brown, Gibbs (1969) Refinement of the crystal structure of osumilite. American Mineralogrst, 54, 101-116.
  7. ^ Armbruster T., Oberhänsli R. (1988) Crystal chemistry of double-ring silicates: structural, chemical, and optical variation in osumilites. American Mineralogist, 73, 585-594.
  8. ^ Chinner, Dixon (1973) Irish osumilite. Mineralogical Magazine, 39, 189-192.
  9. ^ 横溝, 宮地 (1978) 万年山熔岩中の大隅石の化学組成. 73, 180-182.
  10. ^ Chukanov, Pekov, Rastsvetaeva, Aksenov, Belakovskiy, Van, Schuller, Ternes (2012) Osumilite-(Mg): Validation as a mineral species and new data. Zapiski Rossiiskogo Mineralogicheskogo Obshchetstva, 141, 27-36.
  11. ^ 新鉱物「アルミノ杉石」を発見!山口大学、2019年6月7日

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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