塩沢美代子
塩沢 美代子(しおざわ みよこ、1924年9月18日[1] - 2018年[2])は、昭和から平成時代の労働問題評論家[† 1]。
経歴
[編集]東京生まれ。父は経済学者の塩沢昌貞[2]。1944年日本女子大学校家政学部第3類(社会事業専攻)卒。1946年から1947年同学部社会福祉学科助手[3]。戦時中の勤労動員の経験から年少労働者の指導を志し、YWCA体育専門学院及び指導者養成コースに学ぶ[4]。1948年東京YWCA体育専門学院修了。鐘淵紡績に入社、東京工場の社内学校に勤務[2]。
1949年全国蚕糸労働組合連合会(全蚕糸労連)書記に転職、1963年まで14年間オルグ活動に従事。この間、日本繊維産業労働組合連合会(繊維労連)への改称(1960年)、主要組合の繊維労連から全繊同盟への分裂を経験[1][2]。1964年から1966年名古屋YWCA幹事、1966年から1970年大洋漁業労働組合書記を経て[3]、評論活動に従事[4]。
1976年頃からアジアに視点を広げ[5]、1981年アジア女性委員会(CAW)の設立に参加、1983年日本での活動拠点としてアジア女子労働者交流センター(AWWC)を設立し所長に就任(2000年まで)[2]。AWWC所長として東南アジアの女子労働者の労働条件の解明、アジアの女子労働者のネットワークづくりに取り組む[5]。共栄学園短期大学社会福祉学科教授(国際福祉、産業福祉)を経て[6][5]、1988年から1995年恵泉女学園大学教授[2]。
受賞歴
[編集]- 1987年、第5回浅野順一賞
- 1999年、第8回東京女性財団賞[7]
著書
[編集]主な著書に『結婚退職後の私たち――製糸労働者のその後』(岩波新書、1971年)、『ひとり暮しの戦後史――戦中世代の婦人たち』(島田とみ子共著、岩波新書、1975年)、『メイドイン東南アジア――現代の『女工哀史』』(岩波ジュニア新書、1983年)などがある。2021年1月に西田藍のツイート[8]がきっかけで『ひとり暮しの戦後史』がTwitterで話題となり、版元の岩波書店が緊急重版を行った[9][10]。
単著
[編集]- 『労働環境の繊維年少労働者の労働者意識に及ぼす影響――蚕糸業の実態分析による』 日本労働協会調査研究部[調査研究資料]、1961年
- 『片隅の発言――ある労組書記の手記』 日本基督教団出版局、1968年
- 『結婚退職後の私たち――製糸労働者のその後』 岩波書店[岩波新書]、1971年
- 『ひたむきに生きて――ある戦後史 塩沢美代子評論集』 創元社、1980年
- 『メイドイン東南アジア――現代の『女工哀史』』 岩波書店[岩波ジュニア新書]、1983年
- 『アジアの片隅から』 日本基督教団出版局、1985年
- 『アジアの民衆vs.日本の企業』 岩波書店[岩波ブックレット]、1986年
- 『語りつぎたいこと――年少女子労働の現場から』 ドメス出版、2004年
- 『続 語りつぎたいこと――日本・アジアの片隅から』 ドメス出版、2010年
共著
[編集]- 島田とみ子共著 『ひとり暮しの戦後史――戦中世代の婦人たち』 岩波書店[岩波新書]、1975年
編著
[編集]監修
[編集]- 広木道子著 『アジアに生きる女性たち――女性労働者との交流十五年』 ドメス出版、1999年
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 『現代人物事典』(1977年)・『現代人名情報事典』(1987年)では「婦人労働問題研究家」。『「現代日本」朝日人物事典』(1990年)・『新訂 現代日本人名録2002』(2002年)・『デジタル版 日本人名大辞典+Plus』では「労働問題評論家」。
出典
[編集]- ^ a b 樋口恵子「塩沢美代子」、朝日新聞社編『現代人物事典』朝日新聞社、1977年、606頁
- ^ a b c d e f わたしの労働運動ものがたり〜塩沢 美代子 民主の社会をめざして Labor Now TV
- ^ a b 語りつぎたいこと 続 / 塩沢 美代子【著】 紀伊國屋書店ウェブストア
- ^ a b 一番ヶ瀬康子「塩沢美代子」、朝日新聞社編『「現代日本」朝日人物事典』朝日新聞社、1990年、779頁
- ^ a b c 「表現の自由」研究会編著『現代マスコミ人物事典』二十一世紀書院、1989年、81頁
- ^ 平凡社教育産業センター編『現代人名情報事典』平凡社、1987年、467頁
- ^ 日外アソシエーツ編『新訂 現代日本人名録2002 2.かな~せ』日外アソシエーツ、2002年、1458頁
- ^ https://twitter.com/iCharlotteblue/status/1345314195592552450
- ^ 今もいる。見えてない。隠されている。――『ひとり暮しの戦後史』重版に寄せて 岩波新書編集部
- ^ 岩波新書編集部のツイート