即興曲
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即興曲(そっきょうきょく)は、自由な形式で書かれた性格的小品の一種。フランス語のままアンプロンプチュ(またはアンプロンプテュ、仏: Impromptu)と表記される場合もある。即興的な要素はあるが、即興的に作られたわけではなく、また即興演奏そのものでもない(なお、即興風の音楽という発想自体は決して19世紀固有のものではなく、それ以前には「トッカータ」や「カプリッチョ(奇想曲)」など様々な名称で呼ばれた[1])。
語源はラテン語で「準備不足[2]」や「即座に何かに対応できる状態」を意味する "in prōmptū" であり、「即座に音楽を興す」という意味合いで「即興曲」と訳された[3]。
"Impromptu" という単語は、18世紀以前には即興詩(あるいは劇の幕間の出し物)を意味した[4]が、曲のタイトルとして "Impromptu" の名が初めて登場するのは、チェコの作曲家ヤン・ヴァーツラフ・ヴォジーシェクが1821年に出版した『6つの即興曲 作品7』である(ただし、これはヴォジーシェク自身が命名したものではなく、出版社によって提案されたものだという説が有力である)[3]。
主な作品
[編集]- ヨハン・ネポムク・フンメル…全1曲。
- 即興曲 ハ長調 S. 205(1836年頃)
- ヤン・ヴァーツラフ・ヴォジーシェク…全1曲。
- 6つの即興曲 作品7(作曲年不詳、1821年出版)
- フランツ・シューベルト…全8曲。
- 4つの即興曲 作品90, D 899(1827年)
- 4つの即興曲 作品142, D 935(1827年)
- フレデリック・ショパン…全4曲。
- 即興曲第1番 変イ長調 作品29(1837年)
- 即興曲第2番 嬰ヘ長調 作品36(1839年)
- 即興曲第3番 変ト長調 作品51(1842年)
- 即興曲第4番 嬰ハ短調 作品66『幻想即興曲』(1834~35年)
- ロベルト・シューマン…全1曲。
- クララ・ヴィークの主題による即興曲 ハ長調 作品5(1833年)
- フランツ・リスト…全2曲。
- 即興曲(夜想曲)嬰ヘ長調 S. 191(1872年)
- 即興円舞曲 変イ長調 S. 213(1842~52年)
- ベドルジハ・スメタナ…全11曲。
- 即興曲 変ホ長調 JB 1:4, B. 22, T. 6(1841年)
- 即興曲 ロ短調 JB 1:5, B. 23, T. 7(1841年)
- 即興曲 変イ長調 JB 1:6, B. 24, T. 11(1842年)
- バガテルと即興曲 JB 1:19, B. 40, T. 27(全8曲、1844年)
- ツェーザリ・キュイ…全3曲。
- 3つの即興曲 作品35(1886年)
- カミーユ・サン=サーンス…全7曲。
- 7つの即興曲 作品150, R. 100(1916~17年)
- ジョルジュ・ビゼー…全1曲。
- 『子供の遊び』作品22, GB 142より第2曲「こま(即興曲)」(1871年)
- ピョートル・チャイコフスキー…全3曲。
- 即興曲=カプリス ト長調 TH 144(1884年)
- 即興曲 変イ長調 TH 147(1889年)
- 即興曲『抒情的な時』変イ長調 TH 149(1892~93年)
- エマニュエル・シャブリエ…全1曲。
- 即興曲 ハ長調(1860年頃)
- ガブリエル・フォーレ…全6曲。→「即興曲 (フォーレ)」も参照
- 即興曲第1番 変ホ長調 作品25(1881年)
- 即興曲第2番 ヘ短調 作品31(1883年)
- 即興曲第3番 変イ長調 作品34(1883年)
- 即興曲第4番 変ニ長調 作品91(1905年)
- 即興曲第5番 嬰ヘ短調 作品102(1909年)
- 即興曲第6番 変ニ長調 作品86bis(ハープのための即興曲 変ニ長調 作品86)(1904年)
- ジャン・シベリウス…全10曲。
- 6つの即興曲 作品5(1890~93年)
- 即興曲『誰が星を導いたのか』作品19(1902年)
- 即興曲 ト短調 作品24-1(1894~1903年)
- 即興曲 イ短調 作品78-1(1915~19年)
- 即興曲 ハ長調 作品99-4(1922年)
- アルベール・ルーセル…全1曲。
- 即興曲 作品21, L. 23(1919年)
- アレクサンドル・スクリャービン…全9曲。
- マズルカ風即興曲 ハ長調 作品2-3(1889年)
- 2つのマズルカ風即興曲 作品7(1892年)
- 2つの即興曲 作品10(1894年)
- 2つの即興曲 作品12(1895年)
- 2つの即興曲 作品14(1895年)
- マックス・レーガー…全8曲。
- 8つの即興曲 作品18(1896年)
- エルマンノ・ヴォルフ=フェラーリ…全3曲。
- 3つの即興曲 作品13(1904年)
- アレクサンドル・ゲディケ…全6曲。
- 管弦楽のための6つの即興曲『戦時中に』作品26(1915年)
- バルトーク・ベーラ…全8曲。
- ハンガリー農民の歌による即興曲 作品20, Sz. 74, BB. 83(全8曲、1920年)
- ジャック・イベール…全1曲。
- 即興曲(1951年)
- ダリウス・ミヨー全1曲。
- 即興曲 作品91(1926年)
- ジョージ・ガーシュウィン…全1曲。
- 2つの調のための即興曲(1929年)
- フランシス・プーランク…全20曲。→「15の即興曲 (プーランク)」も参照
- 5つの即興曲 FP 21(1920~21年)
- 10の即興曲 FP 63(1932~34年)
- 2つの即興曲 FP 113(1941年)
- 2つの即興曲 FP 170(1958年)
- 即興曲第15番 ハ短調『エディット・ピアフを讃えて』FP 176(1959年)
- ロベール・カサドシュ…全1曲。
- 即興曲 作品67-4(1967年)
- ウィリアム・ウォルトン…全1曲。
- ブリテンの即興曲による即興曲(1969年)
- ニコライ・カプースチン…全4曲。
- 3つの即興曲 作品66(1991年)
- 即興曲 作品83(1997年)
脚注
[編集]- ^ 即興曲 第1番 変イ長調 Op.29/Impromptu no.1 As-Dur Op.29 - ショパン - ピティナ・ピアノ曲事典
- ^ アンプロンプチュ(即興曲)の由来や特徴、おすすめの曲【音楽のジャンルを分かりやすく解説!】(2023年8月16日閲覧)
- ^ a b アンプロンプチュ:日本語では「即興曲」、語源のラテン語はもともとどういう意味?|音楽っていいなぁ、を毎日に。 - Webマガジン「ONTOMO」(2023年8月16日閲覧)
- ^ アンプロンプチュとは? 意味や使い方 - コトバンク(2023年8月16日閲覧)