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創作四字熟語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

創作四字熟語(そうさくよじじゅくご)は、住友生命保険がその年の世相を反映した四字熟語を募集し、発表するイベントである[1]1990年から実施されている。「創作四字熟語」は同社の登録商標である。

概要

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例年9月下旬~11月上旬にかけて、郵便や同社Webサイトで応募を受け付ける。近年は毎回10,000作を超える作品が寄せられている。

基本的に既存の四字熟語の漢字や読みを活かす形で、その一部の漢字を変えて新たな四字熟語を作るスタイルである(応募時に変更元の四字熟語も記載する)。しかし、変更元が四字熟語でない作品や、漢字以外の仮名やアルファベット(ラテン文字)を含む作品の入選例もある[2]

開始当初から俵万智が審査員を務めており、12月中旬に「講評・傾向」とともに、50編(最優秀作1編、優秀作9編、入選作40編/2019年までは優秀作10編、入選作40編)が発表される。入選者には、入選作品集(小冊子)、クオカード(2012年まで図書カード)、同社のノベルティグッズなどが贈られる。2017年以降、TWIN21アトリウムにおいて、優秀作の1編を上宮高等学校の書道パフォーマンス部が披露して発表している。

第一生命サラリーマン川柳日本漢字能力検定協会今年の漢字東洋大学現代学生百人一首自由国民社新語・流行語大賞と並んで、現代の世相を反映する一つの指標として使われることが多い。発表日以降、朝日新聞天声人語をはじめとする新聞各紙のコラムや、テレビのニュースでも1年を振り返る恰好の題材としてよく取り上げられる。

一覧

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歴代の最優秀作は、以下の通り[3]

四字熟語
(元熟語)
読み 意味
1990年 異旗統合
(意気投合)
いきとうごう 東西ドイツ統合
1991年 台風逸果
(台風一過)
たいふういっか 度重なる台風により、出荷目前の果実が多数落下した。
1992年 紫煙楚歌
(四面楚歌)
しえんそか フランスで禁煙令が施行され、日本でも禁煙ムードが高まった。
1993年 扇扇狂狂
(戦々兢々)
せんせんきょうきょう 扇子を持って踊り狂うお立ち台ギャル。
1994年 政転辟易
(青天霹靂)
せいてんへきえき 青天の霹靂で首相になった村山富市
1995年 震傷膨大
(針小棒大)
しんしょうぼうだい 阪神・淡路大震災は人々の心にも大きな傷を残した。
1996年 高官無恥
(厚顔無恥)
こうかんむち 官僚のスキャンダル。
1997年 靴下象様
(隔靴掻痒)
かかぞうよう ルーズソックス
1998年 倒行巨費
(登校拒否)
とうこうきょひ 倒れる金融機関に巨額な公的資金を投入すること。
1999年 着歌繚乱
(百花繚乱)
ちゃっかりょうらん 街にでるとあちらこちらからケータイの着メロが賑やかに乱れ飛んでくる。
2000年 圏外孤独
(天涯孤独)
けんがいこどく いつも携帯電話でコミュニケーションをとっている人にとって、圏外になった時の孤独感はひとしお。
2001年 万国胸痛
(万国共通)
ばんこくきょうつう 米国でのテロ、それに対する報復。世界はどちらにも胸を痛めている。
2002年 日本熱闘
(日本列島)
にっぽんねっとう サッカーW杯では日本全国が熱くなった。
2003年 八方取税
(発泡酒税)
はっぽうしゅぜい あらゆる所から税金を取ろうと、発泡酒も増税。
2004年 様様様様 よんさま ヨン様ペ・ヨンジュン)ブーム。
2005年 無職無習
(無色無臭)
むしょくむしゅう ニートの増加は大きな社会問題に。
2006年 住人怒色
(十人十色)
じゅうにんどいろ 耐震強度を偽装した建物とは知らずに買った住人、怒りの色は隠せない。
2007年 医師薄寂
(意志薄弱)
いしはくじゃく 医師不足による急患問題。
2008年 苦労長寿
(不老長寿)
くろうちょうじゅ 後期高齢者医療制度。長寿医療制度という愛称もむなしく何かと不評。|-
2009年 遠奔千走
(東奔西走)
とうほんせいそう 土日休日の高速道路料金が遠くまで走っても千円に。
2010年 諸牛無情
(諸行無常)
しょぎゅうむじょう 口蹄疫の感染拡大防止のため、大量の牛を処分する非情な事態となった。
2011年 帰路騒然
(理路整然)
きろそうぜん 大地震(東日本大震災)や台風で帰宅困難に。
2012年 税途多難
(前途多難)
ぜいとたなん 消費増税復興税の使途により政治混乱。
2013年 凍庫写寝
(投稿写真)
とうこしゃしん 悪ふざけ写真のネット投稿(バカッター)が頻発。
2014年 用意終活
(用意周到)
よういしゅうかつ 死後のことまで生前に準備する(終活)。
2015年 仮装狂騒
(仮装競争)
かそうきょうそう 年々盛んになるハロウィーンイベント。
2016年 四士奮銀
(獅子奮迅)
ししふんぎん 五輪陸上男子400mリレーで、日本チームが銀メダルを獲得。
2017年 棋聡天才
(奇想天外)
きそうてんさい 将棋の天才、藤井聡太棋士。
2018年 台量発生
(大量発生)
たいりょうはっせい 台風が多発し、次々と日本列島に襲いかかった。
2019年 国祭令和
(国際平和)
こくさいれいわ 新元号「令和」に変わり、国中がお祭りムードに。
2020年 医師奮診
(獅子奮迅)
いしふんしん 新型コロナウイルスが広がる中、医師をはじめ医療従事者の方々が奮闘してくれている。
2021年 七菌八起
(七転八起)
ななころなやおき リバウンドがあってもコロナに負けずに起き上がる。
2022年 遠客再来
(千客万来)
えんきゃくさいらい 水際対策の緩和で、遠方から旅行客が再びやって来るようになった。
2023年 アレ貫徹
(初志貫徹)
あれかんてつ 阪神タイガースの「アレ」、ファンの見事な徹底ぶり。
2024年 盗打随一
(当代随一)
とうだずいいち 大谷翔平選手が59盗塁、54本塁打という圧倒的な成績でシーズンを終了した。

関連項目

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脚注

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  1. ^ コロナで「七菌八起」 最優秀創作四字熟語”. 産経ニュース (2021年12月21日). 2021年12月21日閲覧。
  2. ^ 2008年の世相を反映した『創作四字熟語』50編 (PDF) - “暗増景気”(クリスマスケーキ)、“グ美人走”(虞美人草)など
  3. ^ 過去の優秀作品一覧 - 住友生命

外部リンク

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