内池廉吉
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内池 廉吉(うちいけ れんきち、1876年 - 1949年)は日本の商学者、財政学者。神戸高等商業学校(現神戸大学)教授や東京商科大学(現一橋大学)教授、立教大学教授を務めた。
日本におけるマーケティングの紹介者としても知られる[1]。倉庫論、市場論、財政学などを研究した。
人物・経歴
[編集]現在の福島県福島市で醤油醸造業内池家に生まれる。1899年高等商業学校(のちの東京高等商業学校、現一橋大学)専攻部卒業。商業教員養成所講師を経て、1902年に神戸高等商業学校(現神戸大学)が設立されると、同校教授に就任。
1906年から2年間イギリス、フランス、ドイツに自費で留学した。1915年から文部省によりアメリカ合衆国に留学する。
1919年から東京高等商業学校教授、翌20年から大学に昇格した東京商科大学(現一橋大学)教授を務め、担当者が定まらず他校に比べて遅れていた財政学を1934年頃まで継続して担当し、その後の一橋大での財政学研究の基礎を築いた。
大正期から昭和期にかけて、立教大学商学部およびその後の経済学部教授も長く務め、財政学や商業政策を講じた[2][3][4]。
1937年定年退官。門下に「市場論」を継いだ深見義一や、「財政学」を継いだ井藤半彌[5][6][7][8][9][10]、「交通論」の野村寅三郎などがいる[11]。
また神戸高商で出光佐三(出光興産創業者)に「商業概論」を講じ大きな影響を与えたことでも知られ、のちに弟の出光計助(出光興産第2代社長)の東京商大でのゼミの指導教官も務めた。他に川又克二(元日産自動車社長)、庭野正之助(元日本鉱業(現ENEOSホールディングス)社長なども内池ゼミ出身[12][13]。
主な著作
[編集]- 『倉庫経営論』同文館 1914年
- 『農産物倉庫論』同文館 1917年
- 『商業学概論』同文館 1918年
- 『商業問題』現代経済学全集(第21巻)日本評論社 1929年
- 『市場組織論』巌松堂書店 1929年
- 『小売商許可制の研究』小売商問題研究叢書 内池廉吉 (著), 深見 義一 (著) 同文館 1937年
- 『商学論集』内池廉吉博士還暦祝賀記念 同文館 1938年
親族
[編集]脚注
[編集]- ^ 井徳正吾『マーケティングリサーチ』
- ^ 『立教大学新聞 第29号』 1926年(大正15年)3月15日
- ^ 国立国会図書館デジタルコレクション 『立教大学一覧 昭和8年3月』 1933年
- ^ 国立国会図書館デジタルコレクション 『立教大学一覧 昭和15年度』 1941年
- ^ 井上真由美; 玉井芳郎 (sep 2014). “出光佐三の理念と神戸高等商業学校の教育者”. 産業研究 (高崎経済大学産業研究所) 50 (1): 53-69. ISSN 0915-5996. NAID 110009841820 .
- ^ 元東京商科橋大学附属商学専門部教授安藤春夫「内池廉吉先生の人となりと学風」一般社団法人如水会
- ^ 田内幸一「一橋のマーケティングの系譜」一般社団法人如水会
- ^ 小原博「内池廉吉-商業学の白眉・社会経済的マーケティング論へ-」マーケティング史研究会編『マーケティング学説史-日本編-』同文舘出版、1998年
- ^ 一橋大学経済学部教授大川政三「一橋財政学の伝統と新視点」一般社団法人如水会
- ^ 「内池廉吉」一橋大学
- ^ 野村先生 : 人と学問 (野村寅三郎博士記念號)国民経済雑誌巻(号)114(4)ページ112-130神戸大学経済経営学会刊行日1966-10
- ^ 木本正次『士魂商才の経営者出光佐三語録』
- ^ 1994/01/10, 日本経済新聞
- ^ 人事興信所編『人事興信録 第14版 上』人事興信所、1943年、ウ47頁。